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消えていく未来
消えていく未来・・・その11
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しかし、まあ~。夏樹さんの話になると元気100倍っていうか、
まるで、夏樹さんって、京子にとっての栄養ドリンクみたい。
それじゃなくても、どの話も、ちょっとでも夏樹さんがチラ見えしちゃうと、
無理くり、そっちに話を持っていっちゃうし・・・。う~ん、なんか漫才みたいかも。
しかも、ちゃんとオチまでついちゃってたりするし。
「京子はさ、省吾君たちの将来とかってどう考えているの?」
「別に、さっきも言ったじゃない?どこかにでも上手く就職でもしてくれたら、それでいいわよ」
「いや、そうじゃなくて。それに、それって京子の希望でしょ?そっちじゃなくて、省吾君にとっての将来っていうかさ、ねえ、省吾君って将来こうなりたいとかってないのかな?」
「そんなの知らないわよ」
「知らないわよって、京子、そういう話とかってしないの?」
「さあね、本人は何かなりたいのとかってあったみたいだけど中卒じゃね、諦めるしかないんじゃないの?」
「そんな~・・・」
「大体にして、高卒だって社会に出ればスタートの時点で大卒には負けてるんだから、中卒なんて論外でしょ?」
「でも、通信教育とかってあるじゃない?あれだって、卒業すればちゃんと高卒と同じになるんでしょ?」
「まあね、今は、個性を生かすとかって、わざわざ一般の高校には行かないで、あえて通信教育を選ぶ人とかも、けっこう多いみたいだし」
「でしょ?」
「それが、今の省吾なんじゃないの?」
「今のって?」
「高校に行く気なんてさらさらないって事でしょ?その気があったら、とっくに通信教育でもなんでもやってるんじゃないの?」
「なるほど。確かに、まあ、そうかも」
「口ばっかりで、ほんと、誰に似たんだか」
「誰にって、それって、夏樹さんにって事?」
「違うから言ってるんでしょ?」
「へっ・・・?」
「省吾も、亜晃も、あの人には似ても似つかないわよ。私が、借金に対して異常なくらいに過敏な性格じゃなかったらって、私が、思ってないとでも思ってたの?」
「えっ・・・?あの・・・」
「それくらい、私だって分かるわよ・・・。ただ、それが分かるのが、ちょっと遅かっただけ」
「京子・・・?」
「商売でも事業でもトラック一台あればいいとか、機械があればいいとか、そういうもんじゃないって分かったのが遅かっただけ。あの人、何も言わないから分かるわけないじゃない?」
「それじゃ、離婚してから・・・」
「まあね・・・きっと、子供達は、私に似たのかもしれないわね」
「夏樹さんね、言ってたのよ、結婚した事は何一つ後悔はしていないって。ただ、離婚する時期を間違えた事だけが唯一の後悔だって。もっと早くに離婚していたら、京子にも子供たちにも苦労なんてさせなかったのにって」
「それって、私や子供たちが邪魔だったって言いたいわけ?」
「あはは・・・それも言ってた。京子なら絶対にそう言うわね?って、女言葉で」
直美の言葉が、壁の隙間に吸い込まれていくように、不意に静まり返っていく病室の中で、
少し気まずさを感じた直美が、そらした視線の先に映った花瓶に挿した花。
自分の命の儚さも知らずに、窓の外の方を向いて一生懸命に生きようとしているように映る姿に
どこか今の夏樹と重なって見えてしまうのが少し寂しくて、また、視線の先を移してしまう。
「子供達が必要としてしるのは、私じゃなくて、あの人の方なのよ」
澄んだ病室の中、京子が静かに言葉を声にする。
「私では、何の力にもなってあげられない」
「そんな事はないと思うよ」
「認めたくないけど、そうなの。いくら親だからとは言っても、男と女ではやっぱり違うのよ」
いえ・・・あの・・・夏樹さんも今は女性なんですけど・・・一応だけど。
「でも、それは夏樹さんが景気良くなったからっていうか、省吾君たちの力になれるまでになったからであって、そうじゃなかったら、省吾君だって、私に相談なんてしなかったと思うわよ」
「それって、さりげなく、妻だった頃の私が原因って聞こえてくるんだけど・・・」
んもう~、どうして、すぐに、そこにいっちゃうんだか・・・。
なんか、京子って、夏樹さんって名前の底なし沼にハマってしまってさあ大変って感じみたい。
まるで、夏樹さんって、京子にとっての栄養ドリンクみたい。
それじゃなくても、どの話も、ちょっとでも夏樹さんがチラ見えしちゃうと、
無理くり、そっちに話を持っていっちゃうし・・・。う~ん、なんか漫才みたいかも。
しかも、ちゃんとオチまでついちゃってたりするし。
「京子はさ、省吾君たちの将来とかってどう考えているの?」
「別に、さっきも言ったじゃない?どこかにでも上手く就職でもしてくれたら、それでいいわよ」
「いや、そうじゃなくて。それに、それって京子の希望でしょ?そっちじゃなくて、省吾君にとっての将来っていうかさ、ねえ、省吾君って将来こうなりたいとかってないのかな?」
「そんなの知らないわよ」
「知らないわよって、京子、そういう話とかってしないの?」
「さあね、本人は何かなりたいのとかってあったみたいだけど中卒じゃね、諦めるしかないんじゃないの?」
「そんな~・・・」
「大体にして、高卒だって社会に出ればスタートの時点で大卒には負けてるんだから、中卒なんて論外でしょ?」
「でも、通信教育とかってあるじゃない?あれだって、卒業すればちゃんと高卒と同じになるんでしょ?」
「まあね、今は、個性を生かすとかって、わざわざ一般の高校には行かないで、あえて通信教育を選ぶ人とかも、けっこう多いみたいだし」
「でしょ?」
「それが、今の省吾なんじゃないの?」
「今のって?」
「高校に行く気なんてさらさらないって事でしょ?その気があったら、とっくに通信教育でもなんでもやってるんじゃないの?」
「なるほど。確かに、まあ、そうかも」
「口ばっかりで、ほんと、誰に似たんだか」
「誰にって、それって、夏樹さんにって事?」
「違うから言ってるんでしょ?」
「へっ・・・?」
「省吾も、亜晃も、あの人には似ても似つかないわよ。私が、借金に対して異常なくらいに過敏な性格じゃなかったらって、私が、思ってないとでも思ってたの?」
「えっ・・・?あの・・・」
「それくらい、私だって分かるわよ・・・。ただ、それが分かるのが、ちょっと遅かっただけ」
「京子・・・?」
「商売でも事業でもトラック一台あればいいとか、機械があればいいとか、そういうもんじゃないって分かったのが遅かっただけ。あの人、何も言わないから分かるわけないじゃない?」
「それじゃ、離婚してから・・・」
「まあね・・・きっと、子供達は、私に似たのかもしれないわね」
「夏樹さんね、言ってたのよ、結婚した事は何一つ後悔はしていないって。ただ、離婚する時期を間違えた事だけが唯一の後悔だって。もっと早くに離婚していたら、京子にも子供たちにも苦労なんてさせなかったのにって」
「それって、私や子供たちが邪魔だったって言いたいわけ?」
「あはは・・・それも言ってた。京子なら絶対にそう言うわね?って、女言葉で」
直美の言葉が、壁の隙間に吸い込まれていくように、不意に静まり返っていく病室の中で、
少し気まずさを感じた直美が、そらした視線の先に映った花瓶に挿した花。
自分の命の儚さも知らずに、窓の外の方を向いて一生懸命に生きようとしているように映る姿に
どこか今の夏樹と重なって見えてしまうのが少し寂しくて、また、視線の先を移してしまう。
「子供達が必要としてしるのは、私じゃなくて、あの人の方なのよ」
澄んだ病室の中、京子が静かに言葉を声にする。
「私では、何の力にもなってあげられない」
「そんな事はないと思うよ」
「認めたくないけど、そうなの。いくら親だからとは言っても、男と女ではやっぱり違うのよ」
いえ・・・あの・・・夏樹さんも今は女性なんですけど・・・一応だけど。
「でも、それは夏樹さんが景気良くなったからっていうか、省吾君たちの力になれるまでになったからであって、そうじゃなかったら、省吾君だって、私に相談なんてしなかったと思うわよ」
「それって、さりげなく、妻だった頃の私が原因って聞こえてくるんだけど・・・」
んもう~、どうして、すぐに、そこにいっちゃうんだか・・・。
なんか、京子って、夏樹さんって名前の底なし沼にハマってしまってさあ大変って感じみたい。
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