307 / 386
霞んでいく記憶
霞んでいく記憶・・・その7
しおりを挟む
12月も10日を過ぎて、そろそろ、大晦日へのカウントダウンが始まろうとしている。
窓の外から見える12月の季節は、雪もなく、冷たい風だけが遊び相手の雪を探しているみたいである。
直美は、省吾からの連絡で、何か相談があるらしく、
いつもの病院近くのレストランで待ち合わせをしていた。
でも、まさか、あの京子が事故るなんて、ちょっと信じられないわ?
まあ、それでも、人身事故とか、どっかのお店に突っ込んだとかじゃなかったのは不幸中の幸いかもね。
自爆っていえば自爆なんだろうけど、しかし、普通、あんな場所で事故るかな?
本人は、助手席の足元に落ちたバッグを取ろうとしたって言ってたけど、
そのまま、大きな木に正面衝突しちゃうなんて、まるでマンガみたいな事故だし。
しっかし、あの、京子がね~。
いくら、自宅から国道まで出る細い道だからとしても、シートベルトをしないままって。
とはいえ、もし、シートベルトをしていたらバッグは拾えなかったんだろうけど。
本人は、うっかりしてた、な~んて言ってたけど・・・でもね~、京子らしくないわ。
まあ、今回は、腕の骨折だけで、あとは、打ち身程度だったからよかったものの。
もし、あれが国道とかで対向車とか、歩行者とかにぶつかってたらって思うと、ちょっと怖いわ。
でも、2週間くらいの入院っだって言ってたから、なんとか年内中には退院出来るのかな?
それに、京子も元気そうだったし、まあ、一安心かな・・・なんか、変な一安心だけど。
ミルクティーに口につけながら、外の景色を眺めていると省吾がやってきたようである。
直美に軽く挨拶をしてから、着ていたコートをたたんで席に着いた隣の椅子に置いた。
「省吾君、今日はバイトは?」
「今日は、午後から早退してきました」
「そう・・・でも、何かと大変じゃない?ご飯とか、お洗濯とかって?」
「ええ、まあ、ちょっと・・・」
「それで、夕飯とかはどうしているの?自分たちで作ってるの?」
「コンビニで買ったりって感じです」
「そうなんだ。まあ、順調に回復していれば、年内中には退院出来ると思うから、もう少しの辛抱ね」
「ええ・・・まあ・・・」
「それで、私に話っていうのは?」
「はあ・・・実は、今回、ちょっと考えてしまったっていうか」
「考えてしまったって、なに?お母さんの事?」
「ええ、まあ・・・僕も兄さんもバイトっていうか、まあ、どこかに勤めていても同じなんだと思うんですけど・・・」
「自由が利かないって事?」
「ええ、まあ、そんなとこです・・・」
「でも、それは仕方がないんじゃないの?どこの家庭だって同じようなもんよ」
「まあ、それはそうなんですけど、何か自分で商売っていっても先立つものもないし」
「自分で商売って、省吾君は何かやってみたい商売とかってあるの?」
「はあ・・・まあ、ちょっとは」
「ふ~ん、あるんだ・・・で、どんな商売をしてみたいの?」
「商売っていうか、ネット販売みたいな感じなんですけど」
「ネットって?インターネット?」
「まあ・・・そんな感じ、とはいっても、そこから始めていきたいって感じで」
「ふ~ん・・・で、何を売るの?」
「とりあえずは自動車のパーツかな?」
「かな?って、なんか頼りないわね」
「はあ・・・実は、前に父さんが少しやっていたのを見てた事があって、それで、僕もなんというか興味があったっていうか・・・」
「ネット販売に?」
「いえ、自動車の方にですけど・・・でも、修理屋とかは、なんか許可とか難しいみたいだし、中古車販売はお金がかかるみたいだし」
「自動車のパーツとかはお金はかからないの?」
「まあ、最初は趣味みたいな感じからで、廃車の車を買ってきて、それをばらしてみたいな」
「ふ~ん・・・なんか難しい事は分からないけど・・・って、夏樹さんってパーツ販売とかってやってたの?」
窓の外から見える12月の季節は、雪もなく、冷たい風だけが遊び相手の雪を探しているみたいである。
直美は、省吾からの連絡で、何か相談があるらしく、
いつもの病院近くのレストランで待ち合わせをしていた。
でも、まさか、あの京子が事故るなんて、ちょっと信じられないわ?
まあ、それでも、人身事故とか、どっかのお店に突っ込んだとかじゃなかったのは不幸中の幸いかもね。
自爆っていえば自爆なんだろうけど、しかし、普通、あんな場所で事故るかな?
本人は、助手席の足元に落ちたバッグを取ろうとしたって言ってたけど、
そのまま、大きな木に正面衝突しちゃうなんて、まるでマンガみたいな事故だし。
しっかし、あの、京子がね~。
いくら、自宅から国道まで出る細い道だからとしても、シートベルトをしないままって。
とはいえ、もし、シートベルトをしていたらバッグは拾えなかったんだろうけど。
本人は、うっかりしてた、な~んて言ってたけど・・・でもね~、京子らしくないわ。
まあ、今回は、腕の骨折だけで、あとは、打ち身程度だったからよかったものの。
もし、あれが国道とかで対向車とか、歩行者とかにぶつかってたらって思うと、ちょっと怖いわ。
でも、2週間くらいの入院っだって言ってたから、なんとか年内中には退院出来るのかな?
それに、京子も元気そうだったし、まあ、一安心かな・・・なんか、変な一安心だけど。
ミルクティーに口につけながら、外の景色を眺めていると省吾がやってきたようである。
直美に軽く挨拶をしてから、着ていたコートをたたんで席に着いた隣の椅子に置いた。
「省吾君、今日はバイトは?」
「今日は、午後から早退してきました」
「そう・・・でも、何かと大変じゃない?ご飯とか、お洗濯とかって?」
「ええ、まあ、ちょっと・・・」
「それで、夕飯とかはどうしているの?自分たちで作ってるの?」
「コンビニで買ったりって感じです」
「そうなんだ。まあ、順調に回復していれば、年内中には退院出来ると思うから、もう少しの辛抱ね」
「ええ・・・まあ・・・」
「それで、私に話っていうのは?」
「はあ・・・実は、今回、ちょっと考えてしまったっていうか」
「考えてしまったって、なに?お母さんの事?」
「ええ、まあ・・・僕も兄さんもバイトっていうか、まあ、どこかに勤めていても同じなんだと思うんですけど・・・」
「自由が利かないって事?」
「ええ、まあ、そんなとこです・・・」
「でも、それは仕方がないんじゃないの?どこの家庭だって同じようなもんよ」
「まあ、それはそうなんですけど、何か自分で商売っていっても先立つものもないし」
「自分で商売って、省吾君は何かやってみたい商売とかってあるの?」
「はあ・・・まあ、ちょっとは」
「ふ~ん、あるんだ・・・で、どんな商売をしてみたいの?」
「商売っていうか、ネット販売みたいな感じなんですけど」
「ネットって?インターネット?」
「まあ・・・そんな感じ、とはいっても、そこから始めていきたいって感じで」
「ふ~ん・・・で、何を売るの?」
「とりあえずは自動車のパーツかな?」
「かな?って、なんか頼りないわね」
「はあ・・・実は、前に父さんが少しやっていたのを見てた事があって、それで、僕もなんというか興味があったっていうか・・・」
「ネット販売に?」
「いえ、自動車の方にですけど・・・でも、修理屋とかは、なんか許可とか難しいみたいだし、中古車販売はお金がかかるみたいだし」
「自動車のパーツとかはお金はかからないの?」
「まあ、最初は趣味みたいな感じからで、廃車の車を買ってきて、それをばらしてみたいな」
「ふ~ん・・・なんか難しい事は分からないけど・・・って、夏樹さんってパーツ販売とかってやってたの?」
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。
なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。
追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。
優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。
誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、
リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。
全てを知り、死を考えた彼女であったが、
とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。
後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。


白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。


【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる