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伝わらない想い
伝わらない想い・・・その17
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「さっきもですけど、私がお母さんを憎んだり恨んだりはしないと思います」
「やっぱり、面白い返し方をするのね?」
「えっ?」
「普通なら、どうして憎んだりするんですか?って、訊き返してくるもんでしょ?」
「いや~、そう言われましても・・・」
「だからなの・・・そんな愛奈ちゃんだから言っておきたいの」
「はあ・・・」
「今はまだ、その先にある未来が見えているだけで体感はしていないの。いい?これから愛奈ちゃんはお母さんのいない家庭の中で暮らしていくの。春も夏も秋も、そして冬も、家の中のどこを探してもお母さんはいないの。そんな日々の中で、愛奈ちゃんの目に映るのは、一人ぼっちになってしまった父親の姿、そして、色のない日常の風景・・・分かる?」
「でも、それは・・・」
「寂しそうにしている父親の姿を毎日見ながら、母親は今どうしているんだろう?どうして、母親だけが幸せになって自分たちは・・・ってね」
「だからって、お母さんを憎んだり恨んだりはしないと思います」
「だからなのよ・・・。今の愛奈ちゃんを見ているとね、どうしても心配になっちゃうの」
「どうしてですか?」
「それに気がついていないからなの。いつもの愛奈ちゃんなら、すぐに気がつくような簡単な事なのに、今の愛奈ちゃんにはそれが出来ない・・・なぜかしら?」
「・・・」
「それはね・・・怯えなのよ」
「怯え・・・?」
「いつか、母親を憎んでしまうかもしれない・・・」
「それは・・・」
「最後まで聞きなさいな・・・。問題は、その先にあるの!いい?この世の中で、誰一人憎む事も恨む事もしないで生きている人なんて一人もいないの。それは、あたしにも言える事なの。あたしも例外ではないのよ」
「でも、それは・・・」
「んもう~、最後まで聞きなさいなって、ほんと、あやつに似てるんだから。それじゃ、あたしとしては、防御しながら言わなきゃいけなくなるじゃないのよ」
「えっ・・・?」
すると、急に裕子が笑い出した。
「ちょっと、裕子・・・。あんた、愛奈ちゃんに教えてないんでしょ?」
「だって・・・それは、ちょっとっていうかなんていうか・・・。私だって、いまだに信じられないのよ?」
「あははっ!確かにそうかもしれないわね。あんたじゃなくても信じられないかもね!」
「でしょ・・・?」
「あの・・・いったい・・・」
「ごめんなさいね、変な事を言っちゃったわね、愛奈ちゃんは気にしなくてもいいのよ」
「あの・・・今さら、そう言われましても・・・」
「いいのよ。たぶん、言っても信じられないと思うから」
「さっき、夏樹さん防御って言いましたよね?それって、ビンタと関係あるんでしょうか?」
「へっ・・・?なんで、愛奈ちゃんが知ってるの?」
「いえ、あの・・・。知ってるというわけではないんですけど、ちょっと気になってるというか、ずっと気になってるというか」
「ビンタが・・・?」
「はい、そうなんです・・・。実は、前にお母さんとお話をしていた時になんですけど、お母さんとお話をしている時に、前々から気になっていた事があったんです。お母さんって、一度も怒った事や私たちを叱った事がないんですよね。それで、どうしてお母さんは怒らないのって?、普通は怒ったり叱ったりするもんでしょ?って。翔太が小さい頃に、どんなに悪さしても叩いた事もないしって。そしたら、お母さんが珍しく訊き返してきたんです・・・。叩く?って。だから、ビンタの事よって言ったら、お母さんがいきなり大きな声で笑い出したんです。それで、私がびっくりしてると、お母さんがこう言ったんです・・・(ごめんさいね、愛奈さん。どうやら、お母さんにはツボだったみたい)って」
愛奈がそこまで言った瞬間、夏樹と裕子が一緒に笑い出してしまった。
「やっぱり、面白い返し方をするのね?」
「えっ?」
「普通なら、どうして憎んだりするんですか?って、訊き返してくるもんでしょ?」
「いや~、そう言われましても・・・」
「だからなの・・・そんな愛奈ちゃんだから言っておきたいの」
「はあ・・・」
「今はまだ、その先にある未来が見えているだけで体感はしていないの。いい?これから愛奈ちゃんはお母さんのいない家庭の中で暮らしていくの。春も夏も秋も、そして冬も、家の中のどこを探してもお母さんはいないの。そんな日々の中で、愛奈ちゃんの目に映るのは、一人ぼっちになってしまった父親の姿、そして、色のない日常の風景・・・分かる?」
「でも、それは・・・」
「寂しそうにしている父親の姿を毎日見ながら、母親は今どうしているんだろう?どうして、母親だけが幸せになって自分たちは・・・ってね」
「だからって、お母さんを憎んだり恨んだりはしないと思います」
「だからなのよ・・・。今の愛奈ちゃんを見ているとね、どうしても心配になっちゃうの」
「どうしてですか?」
「それに気がついていないからなの。いつもの愛奈ちゃんなら、すぐに気がつくような簡単な事なのに、今の愛奈ちゃんにはそれが出来ない・・・なぜかしら?」
「・・・」
「それはね・・・怯えなのよ」
「怯え・・・?」
「いつか、母親を憎んでしまうかもしれない・・・」
「それは・・・」
「最後まで聞きなさいな・・・。問題は、その先にあるの!いい?この世の中で、誰一人憎む事も恨む事もしないで生きている人なんて一人もいないの。それは、あたしにも言える事なの。あたしも例外ではないのよ」
「でも、それは・・・」
「んもう~、最後まで聞きなさいなって、ほんと、あやつに似てるんだから。それじゃ、あたしとしては、防御しながら言わなきゃいけなくなるじゃないのよ」
「えっ・・・?」
すると、急に裕子が笑い出した。
「ちょっと、裕子・・・。あんた、愛奈ちゃんに教えてないんでしょ?」
「だって・・・それは、ちょっとっていうかなんていうか・・・。私だって、いまだに信じられないのよ?」
「あははっ!確かにそうかもしれないわね。あんたじゃなくても信じられないかもね!」
「でしょ・・・?」
「あの・・・いったい・・・」
「ごめんなさいね、変な事を言っちゃったわね、愛奈ちゃんは気にしなくてもいいのよ」
「あの・・・今さら、そう言われましても・・・」
「いいのよ。たぶん、言っても信じられないと思うから」
「さっき、夏樹さん防御って言いましたよね?それって、ビンタと関係あるんでしょうか?」
「へっ・・・?なんで、愛奈ちゃんが知ってるの?」
「いえ、あの・・・。知ってるというわけではないんですけど、ちょっと気になってるというか、ずっと気になってるというか」
「ビンタが・・・?」
「はい、そうなんです・・・。実は、前にお母さんとお話をしていた時になんですけど、お母さんとお話をしている時に、前々から気になっていた事があったんです。お母さんって、一度も怒った事や私たちを叱った事がないんですよね。それで、どうしてお母さんは怒らないのって?、普通は怒ったり叱ったりするもんでしょ?って。翔太が小さい頃に、どんなに悪さしても叩いた事もないしって。そしたら、お母さんが珍しく訊き返してきたんです・・・。叩く?って。だから、ビンタの事よって言ったら、お母さんがいきなり大きな声で笑い出したんです。それで、私がびっくりしてると、お母さんがこう言ったんです・・・(ごめんさいね、愛奈さん。どうやら、お母さんにはツボだったみたい)って」
愛奈がそこまで言った瞬間、夏樹と裕子が一緒に笑い出してしまった。
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