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伝わらない想い
伝わらない想い・・・その15
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「怖くなったでしょ?」
「怖いって言っていいのか分かりませんけど・・・でも・・・」
「それでいいのよ。あたしも最初は怖いって思ったんだから」
「夏樹さんも?」
「そうよ。でも、いつの間にか、そんな風には思わなくなったけどね。きっと、お庭で冴ちゃんと遊んでいる、あのクマのぬいぐるみのおかげかもね」
「あのクマって、くまっくまくん?」
「そうなの。最初のうちはね、あたしがお出かけする時に、何気なく後ろを振り返って見るとね、あのクマのぬいぐるみがお庭のテーブルの上に座ってるのよ。あれっ?家に入れ忘れたのかしら?って思ってね、すぐに戻って、あのクマのぬいぐるみを家の中に入れて、鍵をかけてから出かけようと少し行ってから何気なく振り返って見ると、いるのよ?あのクマのぬいぐるみが?しかも、さっきと同じようにお庭のテーブルの上にちょこんと座ってるのよ」
「うそ?」
「本当なの。あたしも、ちょっと変わってるからだけど、まあ~いいかな?って思ったりして。そのままにしてお出かけしちゃったの。そんで帰ってくると、あのクマのぬいぐるみが、ちゃんとお家の中に入っているのよ」
「うそみたい・・・」
「それがね、いつからか、気がつくとね、今度は絵本を読んでいるようになったのよ。でも、あたしもだんだん慣れてきちゃってたから、別に気にしなくなったんだけどね。そしたら、今度はジュースまで勝手に持ってきて飲むようになっちゃったのよ」
「絵本って、そういえば、さっきも」
「でしょ?で、それでね、これがまた面白いんだけど、飲むジュースは決まってオレンジジュースなの。あたしもオレンジジュースが好きでよく飲んでいたんだけど、冷蔵庫を開けて、さてオレンジジュースでもって思ってパックを取り出すと減ってるのよ、あたしはまだ開けてもいないのによ?」
「でも、どうしてオレンジジュースなんですか?」
「さあ、分からないけど。んでね、試しに他のジュースを買ってきた事があったんだけど、全然、飲もうとしないの。で、あたしは考えた!ここはひとつ試してみましょう!って事で、もし、この子たちが生きているのなら、あたしの声も聞こえているはずよね?って、思ったの。んで、わざと聞こえるように、炭酸ってどうしてこんなに美味しいのかしら?って」
「そしたら、どうなったんですか?」
「気がついたら、あのクマのぬいぐるみが庭でひっくり返ってたわよ!で、テーブルには炭酸が入ったコップがあったの。やっぱり、飲んだのね~って!あたしゃ可笑しくて可笑しくて一人で笑い転げていたんだから」
夏樹が話すクマのぬいぐるみとの不思議なエピソードに、愛奈も可笑しくなって笑いが出てしまう。
「確かに、あの子たちが動いているのは見えないし、お話をしているのも聞こえない。でもね、確かに生きているの。僕はここにいるよ、私もここにいるよって・・・そう言ってるような気がするの」
「あの・・・裕子さんは驚かないんですか?」
「夏樹さんがそう言うのなら、きっと、そうなんだと思うわ」
「そういう問題ですか?」
「ふふっ、それに、前に雪子も同じような事を言っていたし」
「お母さんもって・・・お母さんが夏樹さんに会いに行ったのは、病院で見かけた時だけではなかったんですか?」
「そうね、愛奈ちゃんには言ってなかったわね」
「それじゃ・・・」
「そんなに頻繁にってわけじゃないけど・・・ねぇ、夏樹さん?」
「ちょっと、どこで、あたしに話を振ってるのよ・・・確かに、裕子の言う通り何度か会っていたわ」
「そうだったんですか?私、全然、知りませんでした」
「どう?少しは、あたしの事が嫌いになったかしら?」
「どうして夏樹さんは、私に嫌いになって欲しいんですか?」
「あら、どうして?」
「だって、さっきも、夏樹さんの事は憎んでも、お母さんの事を憎んじゃダメよって」
「う~ん・・・最後に(よ)って付けたまま返されちゃうと、あたしが言った言葉なのに妙に恥ずかしいわね」
「そう返されちゃうと、そのまま返しちゃった私も、少し恥ずかしいかも・・・です」
「あはは・・・でもね、愛奈ちゃん?自分に対する悲しみを背負う前に、その悲しみをあたしへの憎しみに変えないとダメよ!」
予想していなかった夏樹の意外な言葉に、少し戸惑う愛奈である。
「怖いって言っていいのか分かりませんけど・・・でも・・・」
「それでいいのよ。あたしも最初は怖いって思ったんだから」
「夏樹さんも?」
「そうよ。でも、いつの間にか、そんな風には思わなくなったけどね。きっと、お庭で冴ちゃんと遊んでいる、あのクマのぬいぐるみのおかげかもね」
「あのクマって、くまっくまくん?」
「そうなの。最初のうちはね、あたしがお出かけする時に、何気なく後ろを振り返って見るとね、あのクマのぬいぐるみがお庭のテーブルの上に座ってるのよ。あれっ?家に入れ忘れたのかしら?って思ってね、すぐに戻って、あのクマのぬいぐるみを家の中に入れて、鍵をかけてから出かけようと少し行ってから何気なく振り返って見ると、いるのよ?あのクマのぬいぐるみが?しかも、さっきと同じようにお庭のテーブルの上にちょこんと座ってるのよ」
「うそ?」
「本当なの。あたしも、ちょっと変わってるからだけど、まあ~いいかな?って思ったりして。そのままにしてお出かけしちゃったの。そんで帰ってくると、あのクマのぬいぐるみが、ちゃんとお家の中に入っているのよ」
「うそみたい・・・」
「それがね、いつからか、気がつくとね、今度は絵本を読んでいるようになったのよ。でも、あたしもだんだん慣れてきちゃってたから、別に気にしなくなったんだけどね。そしたら、今度はジュースまで勝手に持ってきて飲むようになっちゃったのよ」
「絵本って、そういえば、さっきも」
「でしょ?で、それでね、これがまた面白いんだけど、飲むジュースは決まってオレンジジュースなの。あたしもオレンジジュースが好きでよく飲んでいたんだけど、冷蔵庫を開けて、さてオレンジジュースでもって思ってパックを取り出すと減ってるのよ、あたしはまだ開けてもいないのによ?」
「でも、どうしてオレンジジュースなんですか?」
「さあ、分からないけど。んでね、試しに他のジュースを買ってきた事があったんだけど、全然、飲もうとしないの。で、あたしは考えた!ここはひとつ試してみましょう!って事で、もし、この子たちが生きているのなら、あたしの声も聞こえているはずよね?って、思ったの。んで、わざと聞こえるように、炭酸ってどうしてこんなに美味しいのかしら?って」
「そしたら、どうなったんですか?」
「気がついたら、あのクマのぬいぐるみが庭でひっくり返ってたわよ!で、テーブルには炭酸が入ったコップがあったの。やっぱり、飲んだのね~って!あたしゃ可笑しくて可笑しくて一人で笑い転げていたんだから」
夏樹が話すクマのぬいぐるみとの不思議なエピソードに、愛奈も可笑しくなって笑いが出てしまう。
「確かに、あの子たちが動いているのは見えないし、お話をしているのも聞こえない。でもね、確かに生きているの。僕はここにいるよ、私もここにいるよって・・・そう言ってるような気がするの」
「あの・・・裕子さんは驚かないんですか?」
「夏樹さんがそう言うのなら、きっと、そうなんだと思うわ」
「そういう問題ですか?」
「ふふっ、それに、前に雪子も同じような事を言っていたし」
「お母さんもって・・・お母さんが夏樹さんに会いに行ったのは、病院で見かけた時だけではなかったんですか?」
「そうね、愛奈ちゃんには言ってなかったわね」
「それじゃ・・・」
「そんなに頻繁にってわけじゃないけど・・・ねぇ、夏樹さん?」
「ちょっと、どこで、あたしに話を振ってるのよ・・・確かに、裕子の言う通り何度か会っていたわ」
「そうだったんですか?私、全然、知りませんでした」
「どう?少しは、あたしの事が嫌いになったかしら?」
「どうして夏樹さんは、私に嫌いになって欲しいんですか?」
「あら、どうして?」
「だって、さっきも、夏樹さんの事は憎んでも、お母さんの事を憎んじゃダメよって」
「う~ん・・・最後に(よ)って付けたまま返されちゃうと、あたしが言った言葉なのに妙に恥ずかしいわね」
「そう返されちゃうと、そのまま返しちゃった私も、少し恥ずかしいかも・・・です」
「あはは・・・でもね、愛奈ちゃん?自分に対する悲しみを背負う前に、その悲しみをあたしへの憎しみに変えないとダメよ!」
予想していなかった夏樹の意外な言葉に、少し戸惑う愛奈である。
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