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伝わらない想い
伝わらない想い・・・その9
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「ねえ、愛奈ちゃん?見えるって、ぬいぐるみが動いているのが見えるの?」
「ううん。動いているのが見えるんじゃなくて、動いているんだって分かるって感じかな?」
「そうなの?私には、最初から、あそこのテーブルの上で、クマのぬいぐるみがジュースを飲んでいるように置いてあったとしか思えないんだけど?」
「えっ?ジュース?・・・あっ、ホントだ!」
「ホントだって?愛奈ちゃんが見た時は違うの?」
「違うのって?だって、さっきは絵本を読んでいたんですよ?」
「今も、絵本を読んでいるみたいよ」
「そうなんですけど、さっきはジュースはなかったんですよ」
「おばあさんのお孫さんには、どんな風に見えているんですか?」
「愛奈ちゃんと同じような感じに見えているみたいですよ。でも、一度だけ、おかしな事を言っていたんですよ」
「おかしな事?」
「ええ。クマさんのぬいぐるみさんたちと一緒に、お母さんのお見舞いに行ってきたとかって」
「お母さんって、お孫さんのお母さんは、どこか、お悪いんですか?」
「いえ、もう、亡くなって1年くらいになるんです。もともと体が弱い子でしてね、肺炎が原因で亡くなったんです」
「そうなんですか・・・えっ?・・・でも、今?」
「きっと、夢でも見たんでしょうね。あの子は、いつも、あそこのクマさんと一緒にお昼寝をするのが好きですから」
「ですよね・・・。でも、もし、本当だったなら、とても素敵なお話ですね」
「ええ。あの子から、その話を聞かされた時には、思わず涙が出そうになったくらいでした」
「お孫さんは、よくここに来るんですか?」
「私は体の調子が良い時だけですけど、あの子は、すっかり、おかみさんになついているみたいで、今では、まるで自分の家みたいに思ってるみたいで、毎日、こちらのアトリエにお邪魔しているんですよ」
「あの夏樹さんが・・・ふふっ、ちょっと、信じられないですけど」
「父親を知らないで育った子ですから、あの子にとって、母親を失った悲しみは言葉には表せない程の悲しみだったんだと思うんです。でも、ここに来るようになってから、少しずつ元気を取り戻してくれまして、今では、笑顔も見せてくれて、色んなお話をしてくれるようになったんですよ」
「父親を知らないというのは?」
「あの子が生まれる前に交通事故で亡くなったんです」
「そうだったんですか・・・」
「でも、あの子が元気になってくれて、おかみさんには感謝してもしきれないくらいなんですよ」
これが、夏樹さんなんだ・・・。
愛奈は、とても暖かい気持ちになっていく感情を感じていた。
とはいえ、愛奈のそんな感情とは別に、
裕子は、夏樹を知っているだけに、ちょっと信じられないらしい。
あの夏樹さんが・・・確か、子供は苦手とかって言ってたんじゃなかったかしら?
「お孫さんって、いくつになるんですか?」
「今年の8月で4歳になりました。名前は冴子って言います」
「冴子ちゃんって言うんですね。素敵な名前ですね」
「気持ちの優しい子でしてね。私にとっては、亡き娘の大切な忘れ形見なんですよ」
「あっ、帰ってきたみたい!」
道路側の窓際で、愛奈が、幼い女の子と手をつないで歩いてくる夏樹を見つけたらしい。
「愛奈ちゃん、それじゃ、一緒にお外で夏樹さんたちをお迎えしましょ!」
裕子は、そう言って、愛奈と玄関の外へ出て夏樹たちを待つことにした。
まもなく、幼い女の子と手をつないで歩いてくる夏樹が、裕子たちを見つけると優しく笑みを浮かべた。
「裕子は、いつ見ても綺麗なのね。羨ましいんだわ!」
「またまた、心にもない事を言うんだから」
夏樹は、裕子の少し後ろで控えるように立っている愛奈を見つけると・・・
「あなたが、愛奈ちゃんね?」
「はじめまして、愛奈と言います」
初めて見る二人に警戒しているのか、冴子は、少し下がりながら夏樹の手を引いた。
そんな冴子に、夏樹は、ふわっとしゃがんで冴子と同じ目線になると、
心配しなくても大丈夫という仕草で、冴子に優しく微笑んで見せる。
と、次の瞬間、愛奈にとっては衝撃な一言を冴子が口にした。
「おじ様の、お友達さんなの?」
「ううん。動いているのが見えるんじゃなくて、動いているんだって分かるって感じかな?」
「そうなの?私には、最初から、あそこのテーブルの上で、クマのぬいぐるみがジュースを飲んでいるように置いてあったとしか思えないんだけど?」
「えっ?ジュース?・・・あっ、ホントだ!」
「ホントだって?愛奈ちゃんが見た時は違うの?」
「違うのって?だって、さっきは絵本を読んでいたんですよ?」
「今も、絵本を読んでいるみたいよ」
「そうなんですけど、さっきはジュースはなかったんですよ」
「おばあさんのお孫さんには、どんな風に見えているんですか?」
「愛奈ちゃんと同じような感じに見えているみたいですよ。でも、一度だけ、おかしな事を言っていたんですよ」
「おかしな事?」
「ええ。クマさんのぬいぐるみさんたちと一緒に、お母さんのお見舞いに行ってきたとかって」
「お母さんって、お孫さんのお母さんは、どこか、お悪いんですか?」
「いえ、もう、亡くなって1年くらいになるんです。もともと体が弱い子でしてね、肺炎が原因で亡くなったんです」
「そうなんですか・・・えっ?・・・でも、今?」
「きっと、夢でも見たんでしょうね。あの子は、いつも、あそこのクマさんと一緒にお昼寝をするのが好きですから」
「ですよね・・・。でも、もし、本当だったなら、とても素敵なお話ですね」
「ええ。あの子から、その話を聞かされた時には、思わず涙が出そうになったくらいでした」
「お孫さんは、よくここに来るんですか?」
「私は体の調子が良い時だけですけど、あの子は、すっかり、おかみさんになついているみたいで、今では、まるで自分の家みたいに思ってるみたいで、毎日、こちらのアトリエにお邪魔しているんですよ」
「あの夏樹さんが・・・ふふっ、ちょっと、信じられないですけど」
「父親を知らないで育った子ですから、あの子にとって、母親を失った悲しみは言葉には表せない程の悲しみだったんだと思うんです。でも、ここに来るようになってから、少しずつ元気を取り戻してくれまして、今では、笑顔も見せてくれて、色んなお話をしてくれるようになったんですよ」
「父親を知らないというのは?」
「あの子が生まれる前に交通事故で亡くなったんです」
「そうだったんですか・・・」
「でも、あの子が元気になってくれて、おかみさんには感謝してもしきれないくらいなんですよ」
これが、夏樹さんなんだ・・・。
愛奈は、とても暖かい気持ちになっていく感情を感じていた。
とはいえ、愛奈のそんな感情とは別に、
裕子は、夏樹を知っているだけに、ちょっと信じられないらしい。
あの夏樹さんが・・・確か、子供は苦手とかって言ってたんじゃなかったかしら?
「お孫さんって、いくつになるんですか?」
「今年の8月で4歳になりました。名前は冴子って言います」
「冴子ちゃんって言うんですね。素敵な名前ですね」
「気持ちの優しい子でしてね。私にとっては、亡き娘の大切な忘れ形見なんですよ」
「あっ、帰ってきたみたい!」
道路側の窓際で、愛奈が、幼い女の子と手をつないで歩いてくる夏樹を見つけたらしい。
「愛奈ちゃん、それじゃ、一緒にお外で夏樹さんたちをお迎えしましょ!」
裕子は、そう言って、愛奈と玄関の外へ出て夏樹たちを待つことにした。
まもなく、幼い女の子と手をつないで歩いてくる夏樹が、裕子たちを見つけると優しく笑みを浮かべた。
「裕子は、いつ見ても綺麗なのね。羨ましいんだわ!」
「またまた、心にもない事を言うんだから」
夏樹は、裕子の少し後ろで控えるように立っている愛奈を見つけると・・・
「あなたが、愛奈ちゃんね?」
「はじめまして、愛奈と言います」
初めて見る二人に警戒しているのか、冴子は、少し下がりながら夏樹の手を引いた。
そんな冴子に、夏樹は、ふわっとしゃがんで冴子と同じ目線になると、
心配しなくても大丈夫という仕草で、冴子に優しく微笑んで見せる。
と、次の瞬間、愛奈にとっては衝撃な一言を冴子が口にした。
「おじ様の、お友達さんなの?」
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