285 / 386
伝わらない想い
伝わらない想い・・・その5
しおりを挟む
私も、好きって・・・。直美?
「私ね、今は、いつでも、夏樹さんに電話が出来るのよ。いつでも、私の好きな時に夏樹さんの声が聴けるの。昨日も、二回も夏樹さんと電話でお話をしたの・・・羨ましい?」
「別に・・・」
「少しは、焼きもちを焼いた?」
「好きにすればいいでしょ?」
「どうして、焼きもちを焼かないの?どうして、羨ましいって思わないの?」
「どうして、私が、焼きもちを焼かなきゃいけないのよ」
「その程度だったんだ。京子が、夏樹さんを想う気持ちって?」
「別に、離婚したんだし、今更、関係ないでしょ?それに・・・」
「それに、な~に?京子が、夏樹さんの事を、いつまでもネチネチ想っていたら、夏樹さんに迷惑だろうって?」
「その方が、あの人には、いいんじゃないの?」
「ふ~ん・・・」
「何よ・・・?」
「京子、初めて言ったわね。夏樹さんを気遣う言葉・・・。ふ~ん、なるほどね」
「何が、なるほどよ?」
「夏樹さんって、京子の、そういうところが好きだったのかなって、ちょっと思ったの?」
「何、それ・・・?」
「なるほど、なるほど・・・」
「ちょっと、直美、勘違いしないでよね」
「でも、京子?いいの?このまま、夏樹さんに会わないままの終わりで、本当にいいの?」
「もう、とっくに終わってるんだから、別にいいわよ」
「そっか・・・うん、わかった、それなら、もう、何も言わないわ」
そう言った直美が、少しは寂しそうな顔をするかな?と、思った京子だったが。
「お腹減ったわね、何か食べようよ」と、
急に、いつもの直美に戻って、テーブルの上にあるメニュー表を覗き込んでいた。
「やっと、いつもの直美に戻ったみたいね。でも、直美?省吾と、どんな話をしてたの?」
「どんなって、省吾君は、何も言っていなかったの?」
「さっきも言ったけど、何も言わないのよ。省吾だけじゃないわ、亜晃もなのよ」
「二人とも、京子が嫌がるような話は、したくないんじゃないかな?」
「私って、そんなに嫌な顔とかしてるのかしら?」
「きっと、あの子たちなりに気を使ってるのよ」
「そんなの、別に気を使ってもらわなくてもいいわよ」
「でもさ、亜晃君や、省吾君に、浮いた話とかってないの?」
「浮いた話?」
「誰か、付き合ってる彼女とか・・・」
「さあね、そういうのは、どっちも言わないから」
「でも、時々、連れてきたりとかってしているんでしょ?」
「連れてくるって、彼女とか?」
「そうそう・・・」
「全然・・・いったい、誰に似たのか」
「誰にって、夏樹さんも、そうだったの?」
「それが、まったく逆・・・。あの人は、とっかえひっかえみたいだったらしいから」
「とっかえひっかえって、京子は、知ってたの?」
「知らないけど、そういう話をよく聞いてたから。それに、知らない女性を車に乗せて走ってるのとかって、よく見かけたりしてたし」
「やっぱ、夏樹さんって、モテてたのね!」
「だから、大変だったのよ。あの人と付き合っていた頃なんて、街とかで、一緒に買い物とかしてると、見てる女性がいるのよ」
「見てるって、夏樹さんを?」
「そうなの。しかも、じーっとって感じで。だから、この女性とも?あの女性とも?って、その度に思ってたわよ!」
「うわ~っ!そんなにいたの?」
「知らないけど、いたんじゃないの?」
「おぬしも、悪よの~を、地で行ってたような人だったのね。京子が言ってた口が上手いって、まんざら嘘でもないみたい」
「だから言ったでしょ、あの人は、口が上手いんだからって」
「私も、引っ掛かってみたいな~、夏樹さんの、蜘蛛の糸に」
「なに、バカな事を言ってるのよ」
「あはは!冗談よ、冗談。ささ、食べよう、食べよう!」
運ばれてきた料理を、美味しそうに食べ始める直美を、
少し困った笑顔で見つめながら、京子も、お箸に手を付ける。
「私ね、今は、いつでも、夏樹さんに電話が出来るのよ。いつでも、私の好きな時に夏樹さんの声が聴けるの。昨日も、二回も夏樹さんと電話でお話をしたの・・・羨ましい?」
「別に・・・」
「少しは、焼きもちを焼いた?」
「好きにすればいいでしょ?」
「どうして、焼きもちを焼かないの?どうして、羨ましいって思わないの?」
「どうして、私が、焼きもちを焼かなきゃいけないのよ」
「その程度だったんだ。京子が、夏樹さんを想う気持ちって?」
「別に、離婚したんだし、今更、関係ないでしょ?それに・・・」
「それに、な~に?京子が、夏樹さんの事を、いつまでもネチネチ想っていたら、夏樹さんに迷惑だろうって?」
「その方が、あの人には、いいんじゃないの?」
「ふ~ん・・・」
「何よ・・・?」
「京子、初めて言ったわね。夏樹さんを気遣う言葉・・・。ふ~ん、なるほどね」
「何が、なるほどよ?」
「夏樹さんって、京子の、そういうところが好きだったのかなって、ちょっと思ったの?」
「何、それ・・・?」
「なるほど、なるほど・・・」
「ちょっと、直美、勘違いしないでよね」
「でも、京子?いいの?このまま、夏樹さんに会わないままの終わりで、本当にいいの?」
「もう、とっくに終わってるんだから、別にいいわよ」
「そっか・・・うん、わかった、それなら、もう、何も言わないわ」
そう言った直美が、少しは寂しそうな顔をするかな?と、思った京子だったが。
「お腹減ったわね、何か食べようよ」と、
急に、いつもの直美に戻って、テーブルの上にあるメニュー表を覗き込んでいた。
「やっと、いつもの直美に戻ったみたいね。でも、直美?省吾と、どんな話をしてたの?」
「どんなって、省吾君は、何も言っていなかったの?」
「さっきも言ったけど、何も言わないのよ。省吾だけじゃないわ、亜晃もなのよ」
「二人とも、京子が嫌がるような話は、したくないんじゃないかな?」
「私って、そんなに嫌な顔とかしてるのかしら?」
「きっと、あの子たちなりに気を使ってるのよ」
「そんなの、別に気を使ってもらわなくてもいいわよ」
「でもさ、亜晃君や、省吾君に、浮いた話とかってないの?」
「浮いた話?」
「誰か、付き合ってる彼女とか・・・」
「さあね、そういうのは、どっちも言わないから」
「でも、時々、連れてきたりとかってしているんでしょ?」
「連れてくるって、彼女とか?」
「そうそう・・・」
「全然・・・いったい、誰に似たのか」
「誰にって、夏樹さんも、そうだったの?」
「それが、まったく逆・・・。あの人は、とっかえひっかえみたいだったらしいから」
「とっかえひっかえって、京子は、知ってたの?」
「知らないけど、そういう話をよく聞いてたから。それに、知らない女性を車に乗せて走ってるのとかって、よく見かけたりしてたし」
「やっぱ、夏樹さんって、モテてたのね!」
「だから、大変だったのよ。あの人と付き合っていた頃なんて、街とかで、一緒に買い物とかしてると、見てる女性がいるのよ」
「見てるって、夏樹さんを?」
「そうなの。しかも、じーっとって感じで。だから、この女性とも?あの女性とも?って、その度に思ってたわよ!」
「うわ~っ!そんなにいたの?」
「知らないけど、いたんじゃないの?」
「おぬしも、悪よの~を、地で行ってたような人だったのね。京子が言ってた口が上手いって、まんざら嘘でもないみたい」
「だから言ったでしょ、あの人は、口が上手いんだからって」
「私も、引っ掛かってみたいな~、夏樹さんの、蜘蛛の糸に」
「なに、バカな事を言ってるのよ」
「あはは!冗談よ、冗談。ささ、食べよう、食べよう!」
運ばれてきた料理を、美味しそうに食べ始める直美を、
少し困った笑顔で見つめながら、京子も、お箸に手を付ける。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説


白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。



【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

融資できないなら離縁だと言われました、もちろん快諾します。
音爽(ネソウ)
恋愛
無能で没落寸前の公爵は富豪の伯爵家に目を付けた。
格下ゆえに逆らえずバカ息子と伯爵令嬢ディアヌはしぶしぶ婚姻した。
正妻なはずが離れ家を与えられ冷遇される日々。
だが伯爵家の事業失敗の噂が立ち、公爵家への融資が停止した。
「期待を裏切った、出ていけ」とディアヌは追い出される。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる