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繋がる刹那
繋がる刹那・・・その15
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「やっぱり、隠していたんですね?」
「ううん。きっと、愛奈ちゃんの質問の答えは、隠していないわ・・・に、なるの」
「それって、どういう意味なんですか?」
「雪子はね、夏樹さんと一緒にいるところはね、私には、一度も見せたことがないの。ううん、それだけじゃないわ、雪子は、私の前では、滅多に、夏樹さんの話をした事さえなかったのよ」
「うそみたい・・・」
「本当の事なの、驚いたでしょ?」
「ええ・・・ちょっと、信じられないっていうか」
「だから、私が知っているのは、夏樹さんの恋人だった頃の雪子の姿だけ」
「どうしてですか?どうして、裕子さんに隠さないといけなかったんですか?」
「それは、夏樹さんに会った時に訊いてみるといいわ。きっと、愛奈ちゃんには教えてくれると思うから」
「もしかして・・・むむ・・・やっぱり、裕子さんも女性を・・・?」
だから、どうして、そこで夏樹さんを疑わないのよ・・・愛奈ちゃん?
「でも、やっぱり、お父さん連絡してたみたいでしたね」
「まあね。普通は、そんなもんじゃないかしら?とはいえ、私としては、おかげでお話がしやすかったから助かったけどね」
「私としては、少し、がっかりしちゃった感じです」
「それは仕方がないわよ。お父さんからしたら、朝に出勤する時までは何も変わらない、いつもの雪子だったんだし、そして、何も変わらない、いつもの風景だったんだし。どうしたって、雪子に会って、なぜなのか?を、訊きたいはずよ」
「そこを、じっと我慢して、そっとしておいてあげるのが、優しさだと思うんだけどな~」
「それは、難しいわよ、やっぱり。旦那さんからしたら、自分の何が悪かったのか知りたいだろうし、どうして、何も言わないでいなくなってしまったのか、その理由だって知りたいだろうし」
「ううん・・・お父さんは知っていたはず。いつか、こんな日が来る事を知っていたはずなんです」
知っていたはず?・・・初めて聞いたわ・・・。
いったい、どういう事なのかしら?
もしかして、私の知らないところで、雪子に暴力を振るっていたとか?
それとも、大人しい雪子に、ネチネチと意地悪みたいな事をしていたとかって?
「知っていたはずって?愛奈ちゃん、それって、どういうことなの?」
「実は、何年か前に聞いたことがあるんです。お父さんは、いつも、夜には晩酌とかいってお酒を飲むんですよね。でも、飲むっていっても、次の日の仕事に差し支えない程度なんですけど」
「その時に・・・?」
「ええ、ちょうど、その夜は、私の進路とかのお話をお父さんと二人でしていたんです。そのついでにって思って、いつも不思議だなって?思っていた事を訊いてみたんです」
「不思議だなって?・・・雪子の事?」
「はい。お父さんは、お母さんのする事に一度も文句を言った事もないし、注文を付けた事もないんです。それが、ずっと不思議だなって思っていたんです」
「まあ、言われてみれば、確かに、そうかもしれないわね」
「裕子さんの旦那さんは、どんな感じなんですか?やっぱり文句を言ったりとかってするもんでしょ?」
「あはは・・・その逆かもね」
「逆・・・?ですか?」
「まあね。うちの旦那が私に逆らった事なんて一度もないし、私に文句なんて、夢のまた夢なんじゃないかしら?」
「裕子さんって、家庭ではそんなに怖いんですか?」
「ふふっ・・・旦那は、そう思っているみたいよ」
「今となっては、何となく分かるような・・・」
「なあに?私が、愛奈ちゃんのお父さんを一喝しちゃったから?」
「ええ・・・まあ・・・」
「そうなの?ふふっ・・・変なとこ見られちゃったわね」
「いえ、そんな事はないです」
「でもね、私なんかよりも、雪子の方がずっと怖いのよ」
「うそですよ。だって、お母さんって、いつも物静かだし、大声出した事もないし、お母さんは、ほんのちょっとだって怒ったりもしないんですよ」
「そういう怖さとは、ちょっと違うかもしれないわね。でも、それで、お父さんは雪子の事で何か言ってたの?」
「はい・・・その時、お父さんはこう言ったんです、自分は、知らない誰かの身代わりなんだって」
えっ・・・?
知らない誰かの身代わりって・・・まさか・・・ 。
「ううん。きっと、愛奈ちゃんの質問の答えは、隠していないわ・・・に、なるの」
「それって、どういう意味なんですか?」
「雪子はね、夏樹さんと一緒にいるところはね、私には、一度も見せたことがないの。ううん、それだけじゃないわ、雪子は、私の前では、滅多に、夏樹さんの話をした事さえなかったのよ」
「うそみたい・・・」
「本当の事なの、驚いたでしょ?」
「ええ・・・ちょっと、信じられないっていうか」
「だから、私が知っているのは、夏樹さんの恋人だった頃の雪子の姿だけ」
「どうしてですか?どうして、裕子さんに隠さないといけなかったんですか?」
「それは、夏樹さんに会った時に訊いてみるといいわ。きっと、愛奈ちゃんには教えてくれると思うから」
「もしかして・・・むむ・・・やっぱり、裕子さんも女性を・・・?」
だから、どうして、そこで夏樹さんを疑わないのよ・・・愛奈ちゃん?
「でも、やっぱり、お父さん連絡してたみたいでしたね」
「まあね。普通は、そんなもんじゃないかしら?とはいえ、私としては、おかげでお話がしやすかったから助かったけどね」
「私としては、少し、がっかりしちゃった感じです」
「それは仕方がないわよ。お父さんからしたら、朝に出勤する時までは何も変わらない、いつもの雪子だったんだし、そして、何も変わらない、いつもの風景だったんだし。どうしたって、雪子に会って、なぜなのか?を、訊きたいはずよ」
「そこを、じっと我慢して、そっとしておいてあげるのが、優しさだと思うんだけどな~」
「それは、難しいわよ、やっぱり。旦那さんからしたら、自分の何が悪かったのか知りたいだろうし、どうして、何も言わないでいなくなってしまったのか、その理由だって知りたいだろうし」
「ううん・・・お父さんは知っていたはず。いつか、こんな日が来る事を知っていたはずなんです」
知っていたはず?・・・初めて聞いたわ・・・。
いったい、どういう事なのかしら?
もしかして、私の知らないところで、雪子に暴力を振るっていたとか?
それとも、大人しい雪子に、ネチネチと意地悪みたいな事をしていたとかって?
「知っていたはずって?愛奈ちゃん、それって、どういうことなの?」
「実は、何年か前に聞いたことがあるんです。お父さんは、いつも、夜には晩酌とかいってお酒を飲むんですよね。でも、飲むっていっても、次の日の仕事に差し支えない程度なんですけど」
「その時に・・・?」
「ええ、ちょうど、その夜は、私の進路とかのお話をお父さんと二人でしていたんです。そのついでにって思って、いつも不思議だなって?思っていた事を訊いてみたんです」
「不思議だなって?・・・雪子の事?」
「はい。お父さんは、お母さんのする事に一度も文句を言った事もないし、注文を付けた事もないんです。それが、ずっと不思議だなって思っていたんです」
「まあ、言われてみれば、確かに、そうかもしれないわね」
「裕子さんの旦那さんは、どんな感じなんですか?やっぱり文句を言ったりとかってするもんでしょ?」
「あはは・・・その逆かもね」
「逆・・・?ですか?」
「まあね。うちの旦那が私に逆らった事なんて一度もないし、私に文句なんて、夢のまた夢なんじゃないかしら?」
「裕子さんって、家庭ではそんなに怖いんですか?」
「ふふっ・・・旦那は、そう思っているみたいよ」
「今となっては、何となく分かるような・・・」
「なあに?私が、愛奈ちゃんのお父さんを一喝しちゃったから?」
「ええ・・・まあ・・・」
「そうなの?ふふっ・・・変なとこ見られちゃったわね」
「いえ、そんな事はないです」
「でもね、私なんかよりも、雪子の方がずっと怖いのよ」
「うそですよ。だって、お母さんって、いつも物静かだし、大声出した事もないし、お母さんは、ほんのちょっとだって怒ったりもしないんですよ」
「そういう怖さとは、ちょっと違うかもしれないわね。でも、それで、お父さんは雪子の事で何か言ってたの?」
「はい・・・その時、お父さんはこう言ったんです、自分は、知らない誰かの身代わりなんだって」
えっ・・・?
知らない誰かの身代わりって・・・まさか・・・ 。
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