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対価の罪
対価の罪・・・その18
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直美は、雪子によく似た女性が小さくなっていくのを、サイドミラー越しに追いかけながら、
省吾がバイトをしているという、県立病院近くのコンビニへと車を走らせる。
どうしよう・・・?
どうしたらいいのかしら・・・?
いくらなんでも、まさかね?・・・。
どう考えても、雪子さんがいるわけないわよね?
でもでも・・・もし、雪子さんだったら?
でもでもでも・・・もしかして、雪子さんに何かあったのかしら?
それで夏樹さんを訪ねて・・・う~ん。
というか、夏樹さんってば、雪子さんに引っ越した事を教えてなかったのかしら?
いえいえ、その前に、さっきの女性が雪子さんであるはずがない・・・と、思う・・・けど。
直美は、通りにあるコンビニの駐車場でUターンして来た道を戻り始めた。
やっぱり、確認しておいた方がいいわよね?
違っていたらいたで、それはそれで勘違いって事で一安心出来るし。
もし違っていなくて、本当に雪子さんだったら、それはそれで大問題だし。
ん・・・?
どうして、大問題・・・?
う~ん・・・とりあえず、確認が先。
雪子似の先ほどの女性がまだいる事を確認すると、少し速度を落としながら近づいていく。
残り約10メートルくらいになった時に、車が近づいてくる気配に気が付いたのか、
不意に、その女性が、直美が運転する車の方を振り返った。
あっ・・・可愛い・・・。
というか、やっぱり雪子さんだわ。
振り返った雪子が、直美に気づいたかどうかは分からないが目が合ってしまったのは確かである。
しかし、雪子は、直美を知らないはずである。
そう思った直美は、何事もなかったかのように雪子の横を通り過ぎて行った。
だって、止まれないわよね?
まあ、止まるのはいいわよ。でも、何て言うの?
もしかして雪子さんですか?
まではいいわよ?・・・でもさ、でもね・・・
そういうあなたはどちらさん?って、訊かれたら何て答えるわけ?
いや~私は、あの~夏樹さんが離婚した京子の友達で・・・あの。な~んて、言えるわけないし。
でも、ほんと可愛いんだわ!・・・。
あの可愛さで、私よりも年上だなんて、とてもじゃないけど思えないんだわさ。
というか、雪子さんの、あの可愛さって、ある意味、反則よね?
ううん、違うわ!
いや、違ってないけど違うのよ・・・。
問題はですよ?
雪子さんの反則的な可愛さ?・・・も、だけど。
それよりも、この場合って、やっぱり、夏樹さんに連絡した方がいいわよね?
いいわよね?って言っても、私しかいないんだけど・・・。
だって、おかしいわよ?
だって、どう見ても、夏樹さんが引っ越した事を知らないとしか思えないわよね?
そうじゃなかったら、あそこに立って夏樹さんが住んでいた家の方を見ているはずないと思うし。
とりあえず、夏樹さんに連絡した方がいいわよね?うん、私も、そう思う。
などと、一人二役みたいな会話を、走る車の中で繰り広げている直美である。
省吾がバイトをしているという、県立病院の近くのコンビニの駐車場に車を入れると、
少し離れたところに駐車してから、夏樹の番号へ連絡をしてみた。
「もしもし・・・あの・・・」
「ん?カメさんにでも電話してるの?」
「あっ、夏樹さんだ!あの、お久しぶりです、直美です、覚えてますか?」
「あはは!で、あたしは、どれに答えたらいいのかしら?」
ふふっ、やっぱり、女言葉で話してる・・・。
「あのですね・・・私、見たんです!」
「ん・・・?」
「あの可愛さって、やっぱり反則ですよね?」
「あい?・・・あんた、主語を忘れてるわよ?」
「あっ・・あっ、そうでした・・・ははは!」
「その慌てぶりだと、雪子でも見かけたのかしら?」
「えっ?どうして分かったんですか?」
「そうでなかったら、あんたがあたしに連絡なんてよこすわけないと思っただけよ」
夏樹さん、変わってないわ・・・。
特に、雪子さんの反則的な可愛さを否定しないところなんて、夏樹さんらしいんだわ!
「な~に?否定した方がよかったかしら?」
あはっ、やっぱり夏樹さんだわ。
私の考えてる事が分かっちゃう。不思議な夏樹さんのままだ!
省吾がバイトをしているという、県立病院近くのコンビニへと車を走らせる。
どうしよう・・・?
どうしたらいいのかしら・・・?
いくらなんでも、まさかね?・・・。
どう考えても、雪子さんがいるわけないわよね?
でもでも・・・もし、雪子さんだったら?
でもでもでも・・・もしかして、雪子さんに何かあったのかしら?
それで夏樹さんを訪ねて・・・う~ん。
というか、夏樹さんってば、雪子さんに引っ越した事を教えてなかったのかしら?
いえいえ、その前に、さっきの女性が雪子さんであるはずがない・・・と、思う・・・けど。
直美は、通りにあるコンビニの駐車場でUターンして来た道を戻り始めた。
やっぱり、確認しておいた方がいいわよね?
違っていたらいたで、それはそれで勘違いって事で一安心出来るし。
もし違っていなくて、本当に雪子さんだったら、それはそれで大問題だし。
ん・・・?
どうして、大問題・・・?
う~ん・・・とりあえず、確認が先。
雪子似の先ほどの女性がまだいる事を確認すると、少し速度を落としながら近づいていく。
残り約10メートルくらいになった時に、車が近づいてくる気配に気が付いたのか、
不意に、その女性が、直美が運転する車の方を振り返った。
あっ・・・可愛い・・・。
というか、やっぱり雪子さんだわ。
振り返った雪子が、直美に気づいたかどうかは分からないが目が合ってしまったのは確かである。
しかし、雪子は、直美を知らないはずである。
そう思った直美は、何事もなかったかのように雪子の横を通り過ぎて行った。
だって、止まれないわよね?
まあ、止まるのはいいわよ。でも、何て言うの?
もしかして雪子さんですか?
まではいいわよ?・・・でもさ、でもね・・・
そういうあなたはどちらさん?って、訊かれたら何て答えるわけ?
いや~私は、あの~夏樹さんが離婚した京子の友達で・・・あの。な~んて、言えるわけないし。
でも、ほんと可愛いんだわ!・・・。
あの可愛さで、私よりも年上だなんて、とてもじゃないけど思えないんだわさ。
というか、雪子さんの、あの可愛さって、ある意味、反則よね?
ううん、違うわ!
いや、違ってないけど違うのよ・・・。
問題はですよ?
雪子さんの反則的な可愛さ?・・・も、だけど。
それよりも、この場合って、やっぱり、夏樹さんに連絡した方がいいわよね?
いいわよね?って言っても、私しかいないんだけど・・・。
だって、おかしいわよ?
だって、どう見ても、夏樹さんが引っ越した事を知らないとしか思えないわよね?
そうじゃなかったら、あそこに立って夏樹さんが住んでいた家の方を見ているはずないと思うし。
とりあえず、夏樹さんに連絡した方がいいわよね?うん、私も、そう思う。
などと、一人二役みたいな会話を、走る車の中で繰り広げている直美である。
省吾がバイトをしているという、県立病院の近くのコンビニの駐車場に車を入れると、
少し離れたところに駐車してから、夏樹の番号へ連絡をしてみた。
「もしもし・・・あの・・・」
「ん?カメさんにでも電話してるの?」
「あっ、夏樹さんだ!あの、お久しぶりです、直美です、覚えてますか?」
「あはは!で、あたしは、どれに答えたらいいのかしら?」
ふふっ、やっぱり、女言葉で話してる・・・。
「あのですね・・・私、見たんです!」
「ん・・・?」
「あの可愛さって、やっぱり反則ですよね?」
「あい?・・・あんた、主語を忘れてるわよ?」
「あっ・・あっ、そうでした・・・ははは!」
「その慌てぶりだと、雪子でも見かけたのかしら?」
「えっ?どうして分かったんですか?」
「そうでなかったら、あんたがあたしに連絡なんてよこすわけないと思っただけよ」
夏樹さん、変わってないわ・・・。
特に、雪子さんの反則的な可愛さを否定しないところなんて、夏樹さんらしいんだわ!
「な~に?否定した方がよかったかしら?」
あはっ、やっぱり夏樹さんだわ。
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