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対価の罪
対価の罪・・・その17
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さっきの電話だけど、京子、どう思ったかしら?変に思わなかったかな?
でも、何か引っかかるのよね・・・夏樹さんの言ってた言葉が・・・。
亜晃君の考え方が、夏樹さんの言っていた通りだったのにも驚いた事は驚いたけど。
それよりも、夏樹さんが言ってた京子の未来・・・それが、いったい何なのか?
亜晃君と話をすればするほど頭から離れなくなっていくのよ、夏樹さんの言葉が。
京子の家族って夏樹さんを悪者にする事で、何とか家族としてまとまってるみたいに思えるけど。
それじゃ、もし、誰かが、夏樹さんを悪者にしなくなったとしたら、京子の家族はどうなるんだろう?
それだけじゃないわ。
京子の10年先20年先っていったい・・・。
今はまだ、京子にしても亜晃君たちにしても、これといってどこか身体の調子が悪いとか、
何かしらの大きな病気を患ってるとかってわけじゃないし、京子だってまだ50代前半だから、
普通に仕事だって出来るんだろうし、どこに行くにしても、車だって普通に運転も出来るんだろうけど。
これが、あと10年もすれば京子だって、もちろん私もだけどその頃はもう60代のおばあちゃん。
あと20年もすれば、70代のおばあちゃんになってるわけでしょ?
それじゃ、亜晃君は?省吾君は?その頃はどうなっているのかしら?
今はまだ、バイトの方が気楽でいいからなんて言ってるけど、
この先、40代になっても50代になっても、ずっとバイトしながら生きていくつもりなの?
父親である夏樹さんの悪口を、家族全員で言い合いながら、
この先も、何十年も、父親のせいでこうなった、父親が悪いからこうなった、
父親の失敗のせいで自分たちの人生が狂ったって、言い続けながら生きていくわけ?
だけど、それじゃ、何も解決しないって、なぜ、分からないのかしら?
とはいっても、私も人生負け組みたいなものだから、あんまり偉そうな事は言えないんだけどさ。
ただ、どうしても、気になってしまうのが、京子の10年先20年先なのよね。
亜晃君たちは、その頃には一応は中年になっているとしても、それでも、まだ何とかなる年かもしれないけど。
でも、京子の場合はそうはいかない。
だって、その頃には、もう60代70代のお年寄り。
身体のどこかが調子悪くなってたりしたら、
亜晃君か省吾君のお世話にならないといけなくなってしまう。
それで、さっきの亜晃君の考え方・・・。
いったい、京子の老後ってどうなってしまうのかしら?
だけど、それと、夏樹さんが言っていた京子の未来とは、何かが、違うような気がするし。
何か、嫌な予感がするわ・・・。気のせいならいいんだけど。
とにかく、省吾君に会って話をしてみないと、なぜか落ち着かないし。
もし、省吾君も亜晃君と同じように考えているのなら・・・どうしたらいいのかしら?
でも、私がしようとしているのって、京子からしたら、きっと、余計なお世話になるんだろうな。
それじゃ、どうして、そんな余計なお世話みたいな事を、私はしようとしているんだろう?
きっとそれは、夏樹さんが望んでいる事だから・・・な~んてね・・・んなわけないわよね。
直美は、そんな事を考えながら車を走らせていた。
人というのは、何か、考え事をしなから車を運転していると、
どこをどう走っているのか、分かっているようで分かっていないような感覚になってしまう。
直美もその一人のようで、ふと、気が付くと夏樹が住んでいた家のすぐ近くまで来ていた。
つい2~3か月くらい前までは、夏樹さんはあそこの家に住んでいたのよね。
沢山のぬいぐるみさんたちやお人形さんたちと・・・。
ほんの数か月前の事なのに、な~んか、今では、懐かしい感じに思えてしまう。
直美が運転する車が、夏樹が住んでいた家の500メートル程手前あたりまでくると、
ちょうど県道から夏樹の住んでいた家に続く細い道に入るあたりに人影が見えてきた。
あれ・・・誰かしら?
直美がそう思ったのは、その人影が道を歩いているのではなく、
細い道の前で立ち止まって、その先にある家の方を見ているように、直美には見えたからである。
もしかしたら、貸家を探している人かしら?
でも、この辺の人じゃなさそうね・・・
こんな田舎じゃ、あんなお洒落な人はまずいないから。
赤いロングコートに黒のロングワンピース。
その裾の方には、綺麗な色の花がちりばめられている。
都会の方から来たのかしら?と、思いながらも、走る速度を落とさないまま走る直美は、
とりあえず早めに省吾に会っておかなければという思いの方が強く、
おしゃれな女性という事以外は、それほど気にとめる事もなく、その女性の横を通り過ぎようとした時・・・。
一瞬、ドキッとするような感覚に襲われた直美は、通り過ぎていく車の窓からその女性を見返した。
あれ・・・?もしかして・・・雪子さん・・・じゃない?
でも、何か引っかかるのよね・・・夏樹さんの言ってた言葉が・・・。
亜晃君の考え方が、夏樹さんの言っていた通りだったのにも驚いた事は驚いたけど。
それよりも、夏樹さんが言ってた京子の未来・・・それが、いったい何なのか?
亜晃君と話をすればするほど頭から離れなくなっていくのよ、夏樹さんの言葉が。
京子の家族って夏樹さんを悪者にする事で、何とか家族としてまとまってるみたいに思えるけど。
それじゃ、もし、誰かが、夏樹さんを悪者にしなくなったとしたら、京子の家族はどうなるんだろう?
それだけじゃないわ。
京子の10年先20年先っていったい・・・。
今はまだ、京子にしても亜晃君たちにしても、これといってどこか身体の調子が悪いとか、
何かしらの大きな病気を患ってるとかってわけじゃないし、京子だってまだ50代前半だから、
普通に仕事だって出来るんだろうし、どこに行くにしても、車だって普通に運転も出来るんだろうけど。
これが、あと10年もすれば京子だって、もちろん私もだけどその頃はもう60代のおばあちゃん。
あと20年もすれば、70代のおばあちゃんになってるわけでしょ?
それじゃ、亜晃君は?省吾君は?その頃はどうなっているのかしら?
今はまだ、バイトの方が気楽でいいからなんて言ってるけど、
この先、40代になっても50代になっても、ずっとバイトしながら生きていくつもりなの?
父親である夏樹さんの悪口を、家族全員で言い合いながら、
この先も、何十年も、父親のせいでこうなった、父親が悪いからこうなった、
父親の失敗のせいで自分たちの人生が狂ったって、言い続けながら生きていくわけ?
だけど、それじゃ、何も解決しないって、なぜ、分からないのかしら?
とはいっても、私も人生負け組みたいなものだから、あんまり偉そうな事は言えないんだけどさ。
ただ、どうしても、気になってしまうのが、京子の10年先20年先なのよね。
亜晃君たちは、その頃には一応は中年になっているとしても、それでも、まだ何とかなる年かもしれないけど。
でも、京子の場合はそうはいかない。
だって、その頃には、もう60代70代のお年寄り。
身体のどこかが調子悪くなってたりしたら、
亜晃君か省吾君のお世話にならないといけなくなってしまう。
それで、さっきの亜晃君の考え方・・・。
いったい、京子の老後ってどうなってしまうのかしら?
だけど、それと、夏樹さんが言っていた京子の未来とは、何かが、違うような気がするし。
何か、嫌な予感がするわ・・・。気のせいならいいんだけど。
とにかく、省吾君に会って話をしてみないと、なぜか落ち着かないし。
もし、省吾君も亜晃君と同じように考えているのなら・・・どうしたらいいのかしら?
でも、私がしようとしているのって、京子からしたら、きっと、余計なお世話になるんだろうな。
それじゃ、どうして、そんな余計なお世話みたいな事を、私はしようとしているんだろう?
きっとそれは、夏樹さんが望んでいる事だから・・・な~んてね・・・んなわけないわよね。
直美は、そんな事を考えながら車を走らせていた。
人というのは、何か、考え事をしなから車を運転していると、
どこをどう走っているのか、分かっているようで分かっていないような感覚になってしまう。
直美もその一人のようで、ふと、気が付くと夏樹が住んでいた家のすぐ近くまで来ていた。
つい2~3か月くらい前までは、夏樹さんはあそこの家に住んでいたのよね。
沢山のぬいぐるみさんたちやお人形さんたちと・・・。
ほんの数か月前の事なのに、な~んか、今では、懐かしい感じに思えてしまう。
直美が運転する車が、夏樹が住んでいた家の500メートル程手前あたりまでくると、
ちょうど県道から夏樹の住んでいた家に続く細い道に入るあたりに人影が見えてきた。
あれ・・・誰かしら?
直美がそう思ったのは、その人影が道を歩いているのではなく、
細い道の前で立ち止まって、その先にある家の方を見ているように、直美には見えたからである。
もしかしたら、貸家を探している人かしら?
でも、この辺の人じゃなさそうね・・・
こんな田舎じゃ、あんなお洒落な人はまずいないから。
赤いロングコートに黒のロングワンピース。
その裾の方には、綺麗な色の花がちりばめられている。
都会の方から来たのかしら?と、思いながらも、走る速度を落とさないまま走る直美は、
とりあえず早めに省吾に会っておかなければという思いの方が強く、
おしゃれな女性という事以外は、それほど気にとめる事もなく、その女性の横を通り過ぎようとした時・・・。
一瞬、ドキッとするような感覚に襲われた直美は、通り過ぎていく車の窓からその女性を見返した。
あれ・・・?もしかして・・・雪子さん・・・じゃない?
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