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生きている矛盾
生きている矛盾・・・その5
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離婚ではない・・・?
かといって、夏樹さんとの関係を終わらせるわけでもない?
いったい、雪子は何を考えているの?
いえ、いったい、雪子は何をしようとしているの?
それじゃ、まるで迷路じゃないの?出口のない迷路の中を歩きたいとでもいうの?
ねえ、雪子?
あなたは、いったい、何を求めているの?
雪子が、夏樹さんの事を、今でも好きだというのは分かるけど。
いえ、違うわね・・・。
今でも愛しているというのは分かるけど、それで、この先、どうしたいというの?
それに、雪子の気持ちを夏樹さんも知ってるって、雪子は言うけど・・・。
「ねえ、裕子・・・」
「えっ・・・なに?」
「人の人生ってさ、人が生きようとしている時は、色んな人生を思い描けるって思っちゃうけどさ」
「色んな人生?」
「うん。まだ知らない誰かと知り合って、まだ知らない世界を感じて、まるで、末広がりのように自分の人生が進んでいくように思えてしまう。でも・・・」
「でも・・・?」
「でもさ、いつも、まだ知らない新しい世界を求めているはずだったのに、気がつくと、いつの間にか、失いなくない、ただひとつの何かに出会うんだよね。そして、その何かを見つけた時に初めて気がつくんだよね」
「気がつくって、何に?」
「うん・・・。自分が、なぜ?この世界に、この時代に、そして、この場所に生まれてきたのかって」
「なぜ、生まれてきたのか?」
「沢山の何かを求めて生きてきたはずなのに、沢山の何かを求めるんじゃなくて、これだけは絶対に失いたくないって何かに出会っていた事に気がついて。そして、そのただ一つの何かを守りたいって思うようになってしまうんだよね・・・。不思議だね、人生って。」
「それって・・・」
「うん・・・ふーちゃんだよ。」
「ふふっ・・・やっと言ったわね。でも、私は、そんな雪子が好きよ」
とはいってはみても・・・私としては、ショック!少し強めかも・・・。
でも・・・失いたくないって、どういう意味?それに守りたいって・・・。
雪子にとって、かけがえのない存在が夏樹さんなのは分かるけど、私の気のまわし過ぎかしら?
「小さい頃は、将来の夢とか、こんな仕事をしてみたいとか、あんな風になりたいとかって考えて、学生の頃になると、誰か素敵な人と出会って素敵な恋をして、どこにでもあるような反抗期の真似をして、親を嫌いになったり、誰も自分の事なんて全然分かってくれないなんて当たり前の通過点を通り過ぎてさ」
「うそ・・・?雪子にも、そんな時期があったの?」
「あははっ!私は、猫っかぶりだから!」
「あら、やっぱり、猫をかぶってたのね」
「でもさ、そんな風に思いながら生きていても、いつも、まとわりついてくる何かがあるんだよね」
「忘れられない想い出とも違う何か・・・でしょ?」
「うん。色んな沢山の何かを求めて生きていたはずなのに、求めてきた沢山の何かではなくて、失いたくないただ一つの何か・・・。生きるって、求める事じゃなくて、失いたくない、そのただ一つの何かを探す旅なのかなって?」
さすが、文学少女というか・・・。
でも、初めてね。雪子が、こんな風に自分の想いを口にするのって。
雪子が失いたくない、その何か・・・それが、夏樹さん。
きっと、夏樹さんとの再会が、雪子にそれを告げたのかもしれないわね。
いえ、雪子にとって一番大切な事が何かを、気づかせてくれたといった方が正解なのかしら。
一番大切な人は誰か・・・ではなく、一番大切な事は何か・・・でしょ?
「それで、私に、頼みっていうのは?」
「私ね、ふーちゃんに会わなきゃいけないの」
会わなきゃいけない・・・?会いたいじゃなくて・・・?
「会いに行きたいじゃなくて、会わなきゃいけない?」
「うん。会いに行きたいと、会わなければいけないは違うから」
「う~ん・・・よく分からないけど。まあ、いいわ。雪子がそう言うのなら」
「裕子は、(どうして?)って、訊かないんだね」
「夏樹さんに会わなければいけない雪子自身にも、その答えが見つからないんでしょ?」
「うん・・・。でも、きっと、これが最後になると思うんだ」
「最後?夏樹さんと会うのが?」
「うん。こんな風に会いに行くのは・・・。ふーちゃんに会って、どうしても、確かめたい事があるんだ」
こんな風に会いに行くのは・・・?それに、確かめたい事・・・?
「確かめたい・・・事?」
「うん。去年の大晦日に、私が、ふーちゃんに会いに行った理由。裕子も薄々気になってたでしょ?」
「まあね。雪子が、ただ会ってみたいだけの理由で会いに行くとは、どうしても思えなかったからね」
「でもね、あの日、ふーちゃんに会いに行った理由と、今の私が、どうしても、ふーちゃんに会い行かなければならない理由は、ちょっと違うんだ!」
「あの日と、今とは違う?」
「うん。あの日、ふーちゃんに会いに行ったのは(ふーちゃん頑張ったね!)って、伝えたかったんだ」
夏樹さんに頑張ったね・・・と、伝えたかった?
かといって、夏樹さんとの関係を終わらせるわけでもない?
いったい、雪子は何を考えているの?
いえ、いったい、雪子は何をしようとしているの?
それじゃ、まるで迷路じゃないの?出口のない迷路の中を歩きたいとでもいうの?
ねえ、雪子?
あなたは、いったい、何を求めているの?
雪子が、夏樹さんの事を、今でも好きだというのは分かるけど。
いえ、違うわね・・・。
今でも愛しているというのは分かるけど、それで、この先、どうしたいというの?
それに、雪子の気持ちを夏樹さんも知ってるって、雪子は言うけど・・・。
「ねえ、裕子・・・」
「えっ・・・なに?」
「人の人生ってさ、人が生きようとしている時は、色んな人生を思い描けるって思っちゃうけどさ」
「色んな人生?」
「うん。まだ知らない誰かと知り合って、まだ知らない世界を感じて、まるで、末広がりのように自分の人生が進んでいくように思えてしまう。でも・・・」
「でも・・・?」
「でもさ、いつも、まだ知らない新しい世界を求めているはずだったのに、気がつくと、いつの間にか、失いなくない、ただひとつの何かに出会うんだよね。そして、その何かを見つけた時に初めて気がつくんだよね」
「気がつくって、何に?」
「うん・・・。自分が、なぜ?この世界に、この時代に、そして、この場所に生まれてきたのかって」
「なぜ、生まれてきたのか?」
「沢山の何かを求めて生きてきたはずなのに、沢山の何かを求めるんじゃなくて、これだけは絶対に失いたくないって何かに出会っていた事に気がついて。そして、そのただ一つの何かを守りたいって思うようになってしまうんだよね・・・。不思議だね、人生って。」
「それって・・・」
「うん・・・ふーちゃんだよ。」
「ふふっ・・・やっと言ったわね。でも、私は、そんな雪子が好きよ」
とはいってはみても・・・私としては、ショック!少し強めかも・・・。
でも・・・失いたくないって、どういう意味?それに守りたいって・・・。
雪子にとって、かけがえのない存在が夏樹さんなのは分かるけど、私の気のまわし過ぎかしら?
「小さい頃は、将来の夢とか、こんな仕事をしてみたいとか、あんな風になりたいとかって考えて、学生の頃になると、誰か素敵な人と出会って素敵な恋をして、どこにでもあるような反抗期の真似をして、親を嫌いになったり、誰も自分の事なんて全然分かってくれないなんて当たり前の通過点を通り過ぎてさ」
「うそ・・・?雪子にも、そんな時期があったの?」
「あははっ!私は、猫っかぶりだから!」
「あら、やっぱり、猫をかぶってたのね」
「でもさ、そんな風に思いながら生きていても、いつも、まとわりついてくる何かがあるんだよね」
「忘れられない想い出とも違う何か・・・でしょ?」
「うん。色んな沢山の何かを求めて生きていたはずなのに、求めてきた沢山の何かではなくて、失いたくないただ一つの何か・・・。生きるって、求める事じゃなくて、失いたくない、そのただ一つの何かを探す旅なのかなって?」
さすが、文学少女というか・・・。
でも、初めてね。雪子が、こんな風に自分の想いを口にするのって。
雪子が失いたくない、その何か・・・それが、夏樹さん。
きっと、夏樹さんとの再会が、雪子にそれを告げたのかもしれないわね。
いえ、雪子にとって一番大切な事が何かを、気づかせてくれたといった方が正解なのかしら。
一番大切な人は誰か・・・ではなく、一番大切な事は何か・・・でしょ?
「それで、私に、頼みっていうのは?」
「私ね、ふーちゃんに会わなきゃいけないの」
会わなきゃいけない・・・?会いたいじゃなくて・・・?
「会いに行きたいじゃなくて、会わなきゃいけない?」
「うん。会いに行きたいと、会わなければいけないは違うから」
「う~ん・・・よく分からないけど。まあ、いいわ。雪子がそう言うのなら」
「裕子は、(どうして?)って、訊かないんだね」
「夏樹さんに会わなければいけない雪子自身にも、その答えが見つからないんでしょ?」
「うん・・・。でも、きっと、これが最後になると思うんだ」
「最後?夏樹さんと会うのが?」
「うん。こんな風に会いに行くのは・・・。ふーちゃんに会って、どうしても、確かめたい事があるんだ」
こんな風に会いに行くのは・・・?それに、確かめたい事・・・?
「確かめたい・・・事?」
「うん。去年の大晦日に、私が、ふーちゃんに会いに行った理由。裕子も薄々気になってたでしょ?」
「まあね。雪子が、ただ会ってみたいだけの理由で会いに行くとは、どうしても思えなかったからね」
「でもね、あの日、ふーちゃんに会いに行った理由と、今の私が、どうしても、ふーちゃんに会い行かなければならない理由は、ちょっと違うんだ!」
「あの日と、今とは違う?」
「うん。あの日、ふーちゃんに会いに行ったのは(ふーちゃん頑張ったね!)って、伝えたかったんだ」
夏樹さんに頑張ったね・・・と、伝えたかった?
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