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求めない願い
求めない願い・・・その17
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いつか、こんな日がくるのは分かっていた。
いつか、こんな風に終わりが訪れる事も分かっていた。
いつか、あの人が私の前から消えてしまう事なんて、あの日から分かっていたはずだった。
でも、なぜ・・・今日なの・・・?
あなたが、今日の日を覚えていたなんて、思ってもみなかった。
あなたが、今日、ここに来るなんて、ほんの少しも考えもしなかった。
あなたとすれ違ったのに、気がつかなかった私が悪いの?
それが、あなたの終わらせ方だとでもいうの?
あなたに気がつかなかった私が悪いとでも言いたいわけ?
あなたは、いつもそう・・・
いつも自分は悪くない、悪いのは、いつも、私であるかのようにするのね。
「ねえ、京子・・・もういいんじゃないかな?」
「私が悪いで終わりにすればいいって言いたいわけ?」
「そう・・・京子が悪いで終わりにするの!」
「どうして?冗談じゃないわ!」
「それじゃ、夏樹さんが悪いで終わりにする?」
「そういう事を言ってるんじゃないでしょ?」
「どっちが悪いでもいいじゃない?」
「だから、そう言う事じゃなくて・・・」
「まあ、私には関係ないからどっちでもいいけどね」
「何、それ・・・?」
「他人なんて、そんなもんよって、話」
「直美、やっぱり、あの人に何か言われたのね?」
「その逆よ・・・」
「その逆って、どういう意味よ?」
「夏樹さんは、京子が不利になるような事は一言も言わない人。そんなの京子が一番よく分かってるでしょ?」
「あの人は、私に嫌われたくないだけよ!」
「それでいいじゃない?」
「ねえ、さっきから聞いてると・・・まあいいわ、別にどうでもいいし」
「それでいいと思うわよ。白でもなく黒でもない。そんなもんよ、人生なんて」
優しく語りかけるわけでもなく、かといって、諭すように話すわけでもない。
まるで、そこら辺に転がってる石ころを拾って投げるみたいに軽く話す直美に、
京子は少し可笑しくなったらしく硬くなっていた頬に笑みが戻った。
「でもさ、そのヒコーキのおもちゃって、何なの?」
「あの人から、何も聞いてないの?」
「うん。何も聞いてないわよ」
「そう・・・このヒコーキのおもちゃは、私がまだ高校生だった頃にあの人の車に勝手に付けたの」
「勝手に・・・?」
「そう、勝手に・・・。でも、よく同じ物があったわね?もう30年以上も昔の物なのに」
そう言いながら京子はヒコーキの飾りを手に取って遊び始めた。
「でもさ、私ね、どうしても分からない事があるのよ?」
「直美が、分からない事?」
「そう、夏樹さんは何も言わないからなんだけどさ。でもね、どうして夏樹さんは京子の気持ちを逆なでるような事をしようとするのかなって?」
「雪子さんの事?」
「まあ、それもあるけど・・・」
「それもあるけどって、他にもあるの?」
「う~ん・・・別にこれっていうような事じゃなくてね。私が京子と話をするのに、わざと私が困るような・・・そんな感じっていうのかな?」
「それじゃ分からないわよ?」
「あのね、夏樹さんが言うにはね、京子が夏樹さんの悪口を言ってるうちは大丈夫だっていうのよ」
「何、それ・・・?」
「でしょ・・・?」
「でもまあ、あの人って昔から意味不明な事を言う人だから、別に気にしなくてもいいんじゃない?」
「う~ん・・・違った、ごめんごめん。そうじゃなくてう~ん・・・なんて言ったらいいかな?」
「別にいいわよ、今さら、どうでもいいわ」
「違うのよ。う~ん・・・それじゃ、はっきり言うわね!」
「・・・?」
「夏樹さんは、いったい、京子の未来の何を恐れてるの?」
「えっ・・・?」
「京子は、何か思い当たる事とかってないの?」
「そんなのあるわけないでしょ?」
(う~ん・・・)・・・と、直美は難しい顔をしながら内心ホッとしていた。
夏樹さん?なんとか、さりげなく京子に伝える事が出来たけど、これでよかったの?
いつか、こんな風に終わりが訪れる事も分かっていた。
いつか、あの人が私の前から消えてしまう事なんて、あの日から分かっていたはずだった。
でも、なぜ・・・今日なの・・・?
あなたが、今日の日を覚えていたなんて、思ってもみなかった。
あなたが、今日、ここに来るなんて、ほんの少しも考えもしなかった。
あなたとすれ違ったのに、気がつかなかった私が悪いの?
それが、あなたの終わらせ方だとでもいうの?
あなたに気がつかなかった私が悪いとでも言いたいわけ?
あなたは、いつもそう・・・
いつも自分は悪くない、悪いのは、いつも、私であるかのようにするのね。
「ねえ、京子・・・もういいんじゃないかな?」
「私が悪いで終わりにすればいいって言いたいわけ?」
「そう・・・京子が悪いで終わりにするの!」
「どうして?冗談じゃないわ!」
「それじゃ、夏樹さんが悪いで終わりにする?」
「そういう事を言ってるんじゃないでしょ?」
「どっちが悪いでもいいじゃない?」
「だから、そう言う事じゃなくて・・・」
「まあ、私には関係ないからどっちでもいいけどね」
「何、それ・・・?」
「他人なんて、そんなもんよって、話」
「直美、やっぱり、あの人に何か言われたのね?」
「その逆よ・・・」
「その逆って、どういう意味よ?」
「夏樹さんは、京子が不利になるような事は一言も言わない人。そんなの京子が一番よく分かってるでしょ?」
「あの人は、私に嫌われたくないだけよ!」
「それでいいじゃない?」
「ねえ、さっきから聞いてると・・・まあいいわ、別にどうでもいいし」
「それでいいと思うわよ。白でもなく黒でもない。そんなもんよ、人生なんて」
優しく語りかけるわけでもなく、かといって、諭すように話すわけでもない。
まるで、そこら辺に転がってる石ころを拾って投げるみたいに軽く話す直美に、
京子は少し可笑しくなったらしく硬くなっていた頬に笑みが戻った。
「でもさ、そのヒコーキのおもちゃって、何なの?」
「あの人から、何も聞いてないの?」
「うん。何も聞いてないわよ」
「そう・・・このヒコーキのおもちゃは、私がまだ高校生だった頃にあの人の車に勝手に付けたの」
「勝手に・・・?」
「そう、勝手に・・・。でも、よく同じ物があったわね?もう30年以上も昔の物なのに」
そう言いながら京子はヒコーキの飾りを手に取って遊び始めた。
「でもさ、私ね、どうしても分からない事があるのよ?」
「直美が、分からない事?」
「そう、夏樹さんは何も言わないからなんだけどさ。でもね、どうして夏樹さんは京子の気持ちを逆なでるような事をしようとするのかなって?」
「雪子さんの事?」
「まあ、それもあるけど・・・」
「それもあるけどって、他にもあるの?」
「う~ん・・・別にこれっていうような事じゃなくてね。私が京子と話をするのに、わざと私が困るような・・・そんな感じっていうのかな?」
「それじゃ分からないわよ?」
「あのね、夏樹さんが言うにはね、京子が夏樹さんの悪口を言ってるうちは大丈夫だっていうのよ」
「何、それ・・・?」
「でしょ・・・?」
「でもまあ、あの人って昔から意味不明な事を言う人だから、別に気にしなくてもいいんじゃない?」
「う~ん・・・違った、ごめんごめん。そうじゃなくてう~ん・・・なんて言ったらいいかな?」
「別にいいわよ、今さら、どうでもいいわ」
「違うのよ。う~ん・・・それじゃ、はっきり言うわね!」
「・・・?」
「夏樹さんは、いったい、京子の未来の何を恐れてるの?」
「えっ・・・?」
「京子は、何か思い当たる事とかってないの?」
「そんなのあるわけないでしょ?」
(う~ん・・・)・・・と、直美は難しい顔をしながら内心ホッとしていた。
夏樹さん?なんとか、さりげなく京子に伝える事が出来たけど、これでよかったの?
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