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求めない願い
求めない願い・・・その6
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季節が過ぎるのは早いもので、暑い暑いと思っているうちにお盆が過ぎて、
外の気温と、部屋の中の気温の差が開き始める、秋の気配が近づき始める9月。
あの日、夏樹に、思い出したら訪ねておいでと言われていたのだが。
夏樹の最後の言葉がどうしても気になってしまい、逆に京子の方へと足が向いて、
気がついたら、もう2カ月が過ぎていた。
「ねえ、直美、何か言われてたの?」
「どうしたの、急に?」
「別に、急にってわけじゃないけど、最近、よく遊びに来るから。ちょっとね」
「あれ?もしかして、迷惑だったとかって?」
「ううん、そうじゃなくて・・・ちょっとね」
「ちょっとねって、なんか、京子らしくないわね?」
「ただ、ちょっとね。もしかして、あの人に何か言われてたのかな?って、思って」
「あの人って、夏樹さんの事?」
「他にいないでしょ?」
「もしかして、気になる?」
「ふ~ん。やっぱり、何か言われてたのね」
「むふふ・・・はずれ===っ!夏樹さんに何も言われてないわよ」
「ふ~ん・・・そうなの」
「そうなのって、なんか、がっかりしたみたいな言い方に聞こるんだけど」
「そんなわけないでしょ」
「でもさ、夏樹さんなら、もうすぐ、いなくなるんだし、かえって良かったじゃない?」
「なんか、それって、嫌味っぽく聞こえるんだけど・・・」
「どうして?」
「だって、その言い方だと、まるで、私のせいであの人が出て行くみたいじゃない?」
「その逆だと思うけど・・・」
「その逆って、どういう意味よ?」
「逆は逆って意味よ。そんなの私なんかよりも、京子の方がよく分かってるでしょ?」
「あの人って、いつも、そう。誰も、そんな事なんか望んでいないのに、いつも勝手に思い込んじゃって勝手に決めつけるんだから」
「どっちにしても、いつまでも貸家に住んでるわけにはいかないって言ってたから。ただ、近くに引っ越すか、遠くに引っ越すかの違いなんじゃないのかな?」
「直美、そんな事まで話をしてたの?」
「違うわよ。前に訪ねて行った時に、偶然、不動産屋さんがいたから。それで、その話になっただけよ」
「不動産屋さん?綺麗な女性だったとかって?」
「それが、けっこう、ごつい感じの中年男性で、最初は夏樹さんの?って、思っちゃったけど」
「恋人かもって?」
「だって、夏樹さんって、どこから見ても女性にしか見えないし」
「確かに・・・。私も、まさか、あの人に、あんな趣味があるとは思ってもみなかったわ!」
「京子も、知らなかったの?」
「知らなかったわよ。あの人って、どっちかっていうと、怖いやくざみたいな感じだったから」
「やくざ?」
「そうよ。だから、私と離婚したあとにそっち系にいくんなら、まだ分かるけど。まさか、女装の方にいくなんて、今でも、信じられないわ!」
直美は、京子と話をしていると、時々、可笑しくなってしまう時はある。
まあ、可笑しくなるという表現が正しいのかどうかは分からないが、直美には、そう感じてしまうらしい。
やっぱり、京子は、今でも、夏樹さんの事が好きなかな?
そう感じる時の京子が、直美には、どこか可笑しく思えてしまうのである。
とはいえ、あれから、直美が頻繁に京子に会いに来るようになったのは、ある理由からである。
それは、京子の未来・・・。
直美が、それにある種の疑問を持ったのもそうなのだが・・・。
それよりも、夏樹との電話での会話で、最後に夏樹が言った言葉が、どしても気にかかってしまっていた。
直美は、どうして、夏樹が、自分が感じた事と同じ事を言ったのだろう?
という疑問からではなく、夏樹がそれを口にしたのは、直美が、京子と話をしていれば、
自然とその疑問にたどり着く事を、夏樹は知っていた。
それが、なぜなのか?
直美は、どうしても、知りたかったのである。
京子の性格、京子の考え方、そして、京子が思い描く望みや願い。
直美としては、京子との付き合いが長いのだから、それなりには知っているつもりである。
それなのに、夏樹の言った言葉の意味が分からない。
そして、自分が感じた京子の未来が、夏樹には見えているというのに自分には見えていない。
夏樹が見てきた京子の姿と、自分が見てきた京子の姿のどこが違うのだろう?
直美には、その違いが、どうしても分からないのである。
「ねえ、直美?そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「教えてって?何を?」
「私に会いに来る理由・・・。あの人に、何か言われたんでしょ?」
知ってるの?
京子は知ってるの?
夏樹さんが何を言うとしたのか、京子は知ってるの?
外の気温と、部屋の中の気温の差が開き始める、秋の気配が近づき始める9月。
あの日、夏樹に、思い出したら訪ねておいでと言われていたのだが。
夏樹の最後の言葉がどうしても気になってしまい、逆に京子の方へと足が向いて、
気がついたら、もう2カ月が過ぎていた。
「ねえ、直美、何か言われてたの?」
「どうしたの、急に?」
「別に、急にってわけじゃないけど、最近、よく遊びに来るから。ちょっとね」
「あれ?もしかして、迷惑だったとかって?」
「ううん、そうじゃなくて・・・ちょっとね」
「ちょっとねって、なんか、京子らしくないわね?」
「ただ、ちょっとね。もしかして、あの人に何か言われてたのかな?って、思って」
「あの人って、夏樹さんの事?」
「他にいないでしょ?」
「もしかして、気になる?」
「ふ~ん。やっぱり、何か言われてたのね」
「むふふ・・・はずれ===っ!夏樹さんに何も言われてないわよ」
「ふ~ん・・・そうなの」
「そうなのって、なんか、がっかりしたみたいな言い方に聞こるんだけど」
「そんなわけないでしょ」
「でもさ、夏樹さんなら、もうすぐ、いなくなるんだし、かえって良かったじゃない?」
「なんか、それって、嫌味っぽく聞こえるんだけど・・・」
「どうして?」
「だって、その言い方だと、まるで、私のせいであの人が出て行くみたいじゃない?」
「その逆だと思うけど・・・」
「その逆って、どういう意味よ?」
「逆は逆って意味よ。そんなの私なんかよりも、京子の方がよく分かってるでしょ?」
「あの人って、いつも、そう。誰も、そんな事なんか望んでいないのに、いつも勝手に思い込んじゃって勝手に決めつけるんだから」
「どっちにしても、いつまでも貸家に住んでるわけにはいかないって言ってたから。ただ、近くに引っ越すか、遠くに引っ越すかの違いなんじゃないのかな?」
「直美、そんな事まで話をしてたの?」
「違うわよ。前に訪ねて行った時に、偶然、不動産屋さんがいたから。それで、その話になっただけよ」
「不動産屋さん?綺麗な女性だったとかって?」
「それが、けっこう、ごつい感じの中年男性で、最初は夏樹さんの?って、思っちゃったけど」
「恋人かもって?」
「だって、夏樹さんって、どこから見ても女性にしか見えないし」
「確かに・・・。私も、まさか、あの人に、あんな趣味があるとは思ってもみなかったわ!」
「京子も、知らなかったの?」
「知らなかったわよ。あの人って、どっちかっていうと、怖いやくざみたいな感じだったから」
「やくざ?」
「そうよ。だから、私と離婚したあとにそっち系にいくんなら、まだ分かるけど。まさか、女装の方にいくなんて、今でも、信じられないわ!」
直美は、京子と話をしていると、時々、可笑しくなってしまう時はある。
まあ、可笑しくなるという表現が正しいのかどうかは分からないが、直美には、そう感じてしまうらしい。
やっぱり、京子は、今でも、夏樹さんの事が好きなかな?
そう感じる時の京子が、直美には、どこか可笑しく思えてしまうのである。
とはいえ、あれから、直美が頻繁に京子に会いに来るようになったのは、ある理由からである。
それは、京子の未来・・・。
直美が、それにある種の疑問を持ったのもそうなのだが・・・。
それよりも、夏樹との電話での会話で、最後に夏樹が言った言葉が、どしても気にかかってしまっていた。
直美は、どうして、夏樹が、自分が感じた事と同じ事を言ったのだろう?
という疑問からではなく、夏樹がそれを口にしたのは、直美が、京子と話をしていれば、
自然とその疑問にたどり着く事を、夏樹は知っていた。
それが、なぜなのか?
直美は、どうしても、知りたかったのである。
京子の性格、京子の考え方、そして、京子が思い描く望みや願い。
直美としては、京子との付き合いが長いのだから、それなりには知っているつもりである。
それなのに、夏樹の言った言葉の意味が分からない。
そして、自分が感じた京子の未来が、夏樹には見えているというのに自分には見えていない。
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直美には、その違いが、どうしても分からないのである。
「ねえ、直美?そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「教えてって?何を?」
「私に会いに来る理由・・・。あの人に、何か言われたんでしょ?」
知ってるの?
京子は知ってるの?
夏樹さんが何を言うとしたのか、京子は知ってるの?
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