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求めない願い
求めない願い・・・その3
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「でもさ、私ね、ひとつ分かんない事があるんだけど」
「分からない事って、あの人の?」
「ううん、そうじゃなくて、京子の方」
「私の・・・?」
「そう・・・」
「私の、何が分からないの?」
「うんとね、どうして、京子は、そんなにも夏樹さんの事を毛嫌いするのかなって?」
「それの、どこが分からないの?」
「だってさ、嫌いで一緒になったわけじゃないでしょ?それに、仕方なくとかお見合いでとかってわけでもないしさ」
「だから、余計なんじゃない!」
「う~ん・・・そこが分からないのよね」
「どうして・・・?」
「だって、京子だって好きで夏樹さんと一緒になったんじゃないの?家族の反対を押し切ってまで夏樹さんと結婚したのにさ」
「だからなのよ・・・。私にだって、面子ってものがあるでしょ?」
「面子・・・?それだけ・・・?」
「それだけって・・・?」
「たったそれだけで、夏樹さんを、そんなにも毛嫌いしちゃうわけなの?」
「たったそれだけってね?直美は何も知らないから、そんな悠長な事が言えるのよ」
「そうかな~?」
「そうかな~?じゃないわよ。あれだけ反対していた家族を押し切ってまで結婚したっていうのにさ、気がついたら、その旦那が借金まみれになっていて、挙句の果てに買った住宅まで抵当に入ってました!なんてなってたら、私なんて、実家からも親戚からも、知り合いからも、いい笑い者じゃない?それだけじゃないわよ!」
「まだ、あるの?」
「あるわよ。そんな噂なんて、こんな小さな田舎の街じゃ、すぐに、みんなに知れちゃうじゃない?そしたら、もう、同窓会にも行けやしないじゃないのよ。それに、私の面子だけじゃないわ。私の両親も親戚一同からなんて思われたか?それを考えただけでも、本当、腹が立つわよ」
「それだけ・・・?」
「それだけって?どういう意味よ?」
「ううん・・・。別に、意味はないけど・・・」
そう呟いた直美の何気ない仕草に、京子は、ドキッとした。
直美にしてみれば、無意識のちょっとした何気ない仕草だったのかもしれない。
しかし、その何気ない仕草が醸し出す雰囲気は、とても50過ぎの女性とは思えなかったのである。
まさか・・・?
「直美・・・?あなた、まさか・・・」
「別に、恋愛感情なんてないけどさ・・・。ただね・・・」
「えっ・・・?」
「どうして、京子は、夏樹さんを見ようとしないのかなって?」
「ちょっと、直美・・・?」
「私はバカだからさ、難しい事なんて分かんないし、周りの人たちの考え方も理解出来ない事が多いけど。でもさ、今みたいな京子の考え方って、なんか、寂しいな~って思うの」
「そんな事を言ったって仕方ないじゃない」
「ううん、そうじゃないの」
「そうじゃないって、どういう事なの?」
「京子の口から子供たちの話題が全然出てこないんだもん。まるで、子供たちなんて何処にも存在していないみたい」
「誰も、そんな事なんて言ってないでしょ?」
「でも、京子が、夏樹さんを憎みたい気持ちも分かるよ」
そう言うと直美は「コーヒーがなくなったから何か注文しようよ」
そう、京子に優しく語りかけるように言葉を口にした。
本当は言いたかった。でも、直美には言えなかった・・・。
「夏樹さんはそんなに悪い人じゃないよ」と言いたかった。でも、今の直美には言えなかった。
きっと、直美の脳裏に夏樹の言葉がよぎったからなのかもしれない。
それに、このまま今の会話を続けてしまえば、きっと最後には京子と喧嘩別れになってしまう。
それでは、何のために、夏樹が、あそこまで、京子や雪子の事を自分に話してくれたのか。
京子と、このまま喧嘩別れになってしまえば、夏樹の願いも京子に届かないままになってしまう。
そんな気がした直美は、あえて、京子の肩を持つような言葉で会話に休憩をいれたのかもしれない。
京子も、少し言い過ぎたと思ったらしく、何もなかったかのようにコーヒーのお替りを注文していた。
やっぱり、夏樹さんの言っていた通りかもしれない。
もう、今の京子には、私しか残っていないって、夏樹さんにはそれが分かったから。
だから、京子が親友だと信じている私に話してくれたんだわ。
京子の事も、雪子さんの事も、そして、裕子さんの事まで・・・。
そうまでして京子を守ろうとする夏樹さんには、京子の未来に何が見えているというの?
「分からない事って、あの人の?」
「ううん、そうじゃなくて、京子の方」
「私の・・・?」
「そう・・・」
「私の、何が分からないの?」
「うんとね、どうして、京子は、そんなにも夏樹さんの事を毛嫌いするのかなって?」
「それの、どこが分からないの?」
「だってさ、嫌いで一緒になったわけじゃないでしょ?それに、仕方なくとかお見合いでとかってわけでもないしさ」
「だから、余計なんじゃない!」
「う~ん・・・そこが分からないのよね」
「どうして・・・?」
「だって、京子だって好きで夏樹さんと一緒になったんじゃないの?家族の反対を押し切ってまで夏樹さんと結婚したのにさ」
「だからなのよ・・・。私にだって、面子ってものがあるでしょ?」
「面子・・・?それだけ・・・?」
「それだけって・・・?」
「たったそれだけで、夏樹さんを、そんなにも毛嫌いしちゃうわけなの?」
「たったそれだけってね?直美は何も知らないから、そんな悠長な事が言えるのよ」
「そうかな~?」
「そうかな~?じゃないわよ。あれだけ反対していた家族を押し切ってまで結婚したっていうのにさ、気がついたら、その旦那が借金まみれになっていて、挙句の果てに買った住宅まで抵当に入ってました!なんてなってたら、私なんて、実家からも親戚からも、知り合いからも、いい笑い者じゃない?それだけじゃないわよ!」
「まだ、あるの?」
「あるわよ。そんな噂なんて、こんな小さな田舎の街じゃ、すぐに、みんなに知れちゃうじゃない?そしたら、もう、同窓会にも行けやしないじゃないのよ。それに、私の面子だけじゃないわ。私の両親も親戚一同からなんて思われたか?それを考えただけでも、本当、腹が立つわよ」
「それだけ・・・?」
「それだけって?どういう意味よ?」
「ううん・・・。別に、意味はないけど・・・」
そう呟いた直美の何気ない仕草に、京子は、ドキッとした。
直美にしてみれば、無意識のちょっとした何気ない仕草だったのかもしれない。
しかし、その何気ない仕草が醸し出す雰囲気は、とても50過ぎの女性とは思えなかったのである。
まさか・・・?
「直美・・・?あなた、まさか・・・」
「別に、恋愛感情なんてないけどさ・・・。ただね・・・」
「えっ・・・?」
「どうして、京子は、夏樹さんを見ようとしないのかなって?」
「ちょっと、直美・・・?」
「私はバカだからさ、難しい事なんて分かんないし、周りの人たちの考え方も理解出来ない事が多いけど。でもさ、今みたいな京子の考え方って、なんか、寂しいな~って思うの」
「そんな事を言ったって仕方ないじゃない」
「ううん、そうじゃないの」
「そうじゃないって、どういう事なの?」
「京子の口から子供たちの話題が全然出てこないんだもん。まるで、子供たちなんて何処にも存在していないみたい」
「誰も、そんな事なんて言ってないでしょ?」
「でも、京子が、夏樹さんを憎みたい気持ちも分かるよ」
そう言うと直美は「コーヒーがなくなったから何か注文しようよ」
そう、京子に優しく語りかけるように言葉を口にした。
本当は言いたかった。でも、直美には言えなかった・・・。
「夏樹さんはそんなに悪い人じゃないよ」と言いたかった。でも、今の直美には言えなかった。
きっと、直美の脳裏に夏樹の言葉がよぎったからなのかもしれない。
それに、このまま今の会話を続けてしまえば、きっと最後には京子と喧嘩別れになってしまう。
それでは、何のために、夏樹が、あそこまで、京子や雪子の事を自分に話してくれたのか。
京子と、このまま喧嘩別れになってしまえば、夏樹の願いも京子に届かないままになってしまう。
そんな気がした直美は、あえて、京子の肩を持つような言葉で会話に休憩をいれたのかもしれない。
京子も、少し言い過ぎたと思ったらしく、何もなかったかのようにコーヒーのお替りを注文していた。
やっぱり、夏樹さんの言っていた通りかもしれない。
もう、今の京子には、私しか残っていないって、夏樹さんにはそれが分かったから。
だから、京子が親友だと信じている私に話してくれたんだわ。
京子の事も、雪子さんの事も、そして、裕子さんの事まで・・・。
そうまでして京子を守ろうとする夏樹さんには、京子の未来に何が見えているというの?
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