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その手を離さないで
その手を離さないで・・・その20
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う~ん・・・この場合の(どういう事?)は、何となく分かる。
きっと、(夏樹さんがいなくなるっていうのはどういう事?)なのだと思う。
しかし、しかしである。
問題なのは、(どういう事?)の前に聞こえてきた(何、それ?)の方なのである。
この場合の(何、それ?)は、私が理解するに(なぜ、そんな事を直美が知ってるの?)であり、
(もしかして、直美は、私に隠れて夏樹さんと会ってたの?)に、繋がって、
んで、夏樹さんと会っていた事を京子には隠していた・・・と、なってしまうのでは?
特に、(何それ?」ではなく、(何、それ?)と、点が付いているところが何とも・・・。
う~ん・・・困ったぞい・・・。
「ふ~ん・・・それで、さっきみたいな仕草をするようになったんだ!」
いや・・・えっ?えっ===っ!そっちですか?
「別にいいわよ。あの人と会ってたって、そんなの直美の自由なんだし。ふ~ん。なるほどね!」
「いや、きっと、京子は、誤解してると思う」
「誤解って、な~に?誤解されるような事もしてたの?」
「してない!してない!ってか、あれからは、全然、会っていないわよ!」
「でも、直美まで、私に隠し事するなんて、少しがっかりだわ!」
京子に隠し事・・・?私が・・・?
あっ、確かに、あれから会ってないというのは嘘だったかも。
でも、夏樹さんの言ってた通りだ。
京子の周りの人たちは、少しずつ、京子に隠し事をするようになっていくって言ってたけど。
まさか、私まで、自分でも気がつかないうちに、京子に隠し事をするようになっていたんだ。
現実に、今の私も、夏樹さんに会っていた事を隠していたし・・・。
かと言って、今さら、実は、あれからも会っていたなんて言ったら、
なんとなく、とっても、と~っても、非常にまずい状況になるような気がするし。
という事で、それは言わないでおこう・・・。うん。その方が、絶対、良いと思う。
「別に、京子に隠し事なんてしてないわよ。さっき言った夏樹さんがいなくなるかも?って言うのは、ついさっき、夏樹さんから電話がきたのよ。もうすぐ京子の前からいなくなるからって、京子に伝えて欲しいって!」
そう言うと、直美は「ほら!見て!」と、自分のスマホの着信履歴を京子に見せた。
ここでひとつ、付け加えなければならないのだが、直美は、京子の目の前に、
自分のスマホに届いた夏樹からの着信履歴と着信の時間を堂々と見せた・・・のである。
直美に見せられた夏樹の着信履歴を見る京子は、少し驚いたみたいに・・・
「あら?ホントに、あの人から電話がきてたのね?」
直美は、これで自分の疑いが晴れた事がよほど嬉しかったらしく、
少し得意げな顔で京子を見返している。
「何も、そんなに得意そうにしなくてもいいんじゃないの?」
「だって、京子ったら、私の事まで疑うんだもん!」
なぜか無邪気な顔で得意げにしている直美を、上目に見ながらコーヒーに口をつける京子。
「ねえ、直美さあ、最近、少し可愛くなったような気がするんだけど?何か、あったの?」
「へっ・・・?」
「もしかして、誰か、好きな人でも出来たとか?」
「またまた、そんな人なんて、いるわけないじゃない!」
「ふ~ん・・・でも、どうして、直美に?」
「私にって、何が?」
「あの人がいなくなるって」
「さあ、そんなの分かんないわよ。さっき、いきなりかかってきて、一方的に言って一方的に切っちゃったんだから」
「まあ、あの人らしいっていえば、あの人らしいかもね。そういうところって、昔から変わってないのね」
「そうなの?」
「そうよ。でも、いい、直美?あの人だけはやめなさい。絶対に!苦労する事になるから!」
「はい・・・?」
「あの人ってね、あの人を好きになる人と、好きにならない人とがはっきり分かれているの。そういうタイプの人なの」
「ん・・・?」
「でね、あの人を好きになる人は、知らず知らずのうちに、あの人にのめり込んでいってしまうの」
「京子も、そうだったの?」
「かもね。雪子さんも、そう。きっと、他にもいたんだろうけど、あの人は言わないから。でも、今でも思うのよね。あの人に一番のめり込んでしまったのは、きっと、裕子さんなんじゃないかなって」
「裕子さんって、一年先輩の、あの裕子さん?」
「そうよ」
「うっそ・・・?」
直美は、まさか、京子との会話に裕子の名前が出てくるとは思わなかった。
しかも、夏樹に一番のめり込んでいたのが、裕子だというのだから。
夏樹から聞かされていた裕子と、京子の話す裕子で、直美の驚きは倍増してしまうのである。
きっと、(夏樹さんがいなくなるっていうのはどういう事?)なのだと思う。
しかし、しかしである。
問題なのは、(どういう事?)の前に聞こえてきた(何、それ?)の方なのである。
この場合の(何、それ?)は、私が理解するに(なぜ、そんな事を直美が知ってるの?)であり、
(もしかして、直美は、私に隠れて夏樹さんと会ってたの?)に、繋がって、
んで、夏樹さんと会っていた事を京子には隠していた・・・と、なってしまうのでは?
特に、(何それ?」ではなく、(何、それ?)と、点が付いているところが何とも・・・。
う~ん・・・困ったぞい・・・。
「ふ~ん・・・それで、さっきみたいな仕草をするようになったんだ!」
いや・・・えっ?えっ===っ!そっちですか?
「別にいいわよ。あの人と会ってたって、そんなの直美の自由なんだし。ふ~ん。なるほどね!」
「いや、きっと、京子は、誤解してると思う」
「誤解って、な~に?誤解されるような事もしてたの?」
「してない!してない!ってか、あれからは、全然、会っていないわよ!」
「でも、直美まで、私に隠し事するなんて、少しがっかりだわ!」
京子に隠し事・・・?私が・・・?
あっ、確かに、あれから会ってないというのは嘘だったかも。
でも、夏樹さんの言ってた通りだ。
京子の周りの人たちは、少しずつ、京子に隠し事をするようになっていくって言ってたけど。
まさか、私まで、自分でも気がつかないうちに、京子に隠し事をするようになっていたんだ。
現実に、今の私も、夏樹さんに会っていた事を隠していたし・・・。
かと言って、今さら、実は、あれからも会っていたなんて言ったら、
なんとなく、とっても、と~っても、非常にまずい状況になるような気がするし。
という事で、それは言わないでおこう・・・。うん。その方が、絶対、良いと思う。
「別に、京子に隠し事なんてしてないわよ。さっき言った夏樹さんがいなくなるかも?って言うのは、ついさっき、夏樹さんから電話がきたのよ。もうすぐ京子の前からいなくなるからって、京子に伝えて欲しいって!」
そう言うと、直美は「ほら!見て!」と、自分のスマホの着信履歴を京子に見せた。
ここでひとつ、付け加えなければならないのだが、直美は、京子の目の前に、
自分のスマホに届いた夏樹からの着信履歴と着信の時間を堂々と見せた・・・のである。
直美に見せられた夏樹の着信履歴を見る京子は、少し驚いたみたいに・・・
「あら?ホントに、あの人から電話がきてたのね?」
直美は、これで自分の疑いが晴れた事がよほど嬉しかったらしく、
少し得意げな顔で京子を見返している。
「何も、そんなに得意そうにしなくてもいいんじゃないの?」
「だって、京子ったら、私の事まで疑うんだもん!」
なぜか無邪気な顔で得意げにしている直美を、上目に見ながらコーヒーに口をつける京子。
「ねえ、直美さあ、最近、少し可愛くなったような気がするんだけど?何か、あったの?」
「へっ・・・?」
「もしかして、誰か、好きな人でも出来たとか?」
「またまた、そんな人なんて、いるわけないじゃない!」
「ふ~ん・・・でも、どうして、直美に?」
「私にって、何が?」
「あの人がいなくなるって」
「さあ、そんなの分かんないわよ。さっき、いきなりかかってきて、一方的に言って一方的に切っちゃったんだから」
「まあ、あの人らしいっていえば、あの人らしいかもね。そういうところって、昔から変わってないのね」
「そうなの?」
「そうよ。でも、いい、直美?あの人だけはやめなさい。絶対に!苦労する事になるから!」
「はい・・・?」
「あの人ってね、あの人を好きになる人と、好きにならない人とがはっきり分かれているの。そういうタイプの人なの」
「ん・・・?」
「でね、あの人を好きになる人は、知らず知らずのうちに、あの人にのめり込んでいってしまうの」
「京子も、そうだったの?」
「かもね。雪子さんも、そう。きっと、他にもいたんだろうけど、あの人は言わないから。でも、今でも思うのよね。あの人に一番のめり込んでしまったのは、きっと、裕子さんなんじゃないかなって」
「裕子さんって、一年先輩の、あの裕子さん?」
「そうよ」
「うっそ・・・?」
直美は、まさか、京子との会話に裕子の名前が出てくるとは思わなかった。
しかも、夏樹に一番のめり込んでいたのが、裕子だというのだから。
夏樹から聞かされていた裕子と、京子の話す裕子で、直美の驚きは倍増してしまうのである。
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