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その手を離さないで
その手を離さないで・・・その12
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愛奈の質問に、雪子は、表情を変える事なく、優しい口調で答える。
「ふーちゃん?クマさんのぬいぐるみさんのお名前よ」
「ホントに・・・?」
「本当よ・・・。」
「ふ~ん・・・。な~んだ、てっきり、お母さんの昔の恋人の名前かと思っちゃった!」
「ふふっ、そんな名前の人なんていないわよ」
「それじゃ、あだ名とか?あだ名!ふーちゃんって、あだ名!」
「そんな、あだ名の人に知り合いはいないわよ」
「ふ~ん、そっか~・・・。ねえ、お母さんは、裕子おばさんとは昔からのお友達でしょ?」
「ええ、そうよ」
「それじゃさ、あの人って、誰なの?」
「あの人・・・?」
「そう、裕子おばさんが言ってたの、あの人って」
「ふふっ・・・あの人って訊かれても、それだけじゃ分からないわよ」
「裕子おばさんが、結婚したかった人」
「裕子が結婚したかった人って、今の旦那さんじゃないかしら?」
「うそ・・・?」
「そうじゃなかったら、結婚なんてしなかったと思うわよ」
ううう・・・全然、動じない・・・。
ある程度の予想はしてたけど、ここまでとは・・・う~ん。
「それじゃ、裕子おばさんは、今の旦那さんの前に付き合っていた人とかっていなかったの?」
「たぶん、いたと思うわよ・・・」
「たぶんって、お母さんは知らないの?」
「裕子は、昔から、そういう大事な事は教えてくれないのよ」
うそだ!・・・絶対!うそだ!・・・絶対!それはあり得ない!
「だって、裕子おばさんとお母さんって昔から親友だったんでしょ?」
「そうよ・・・」
「それなのに教えてくれなかったの?」
「そうよ・・・」
「ちなみに、裕子おばさんってモテてたの?」
「裕子?ふふっ、そうね、裕子は、昔から美人さんだったから!」
「よね?今でも綺麗だもんね。裕子おばさんって、今までに何人くらいと付き合った事があるんだろう?」
「何人かしら?」
「お母さんは知らないの?」
「高校が違うから、高校生の時はあまり会わなかったの」
「そっか・・・」
う~ん・・・おかしいぞ・・・何か、おかしいぞい!
始めは、私のペースで話を進めていたはずなのに、いつの間にか、お母さんのペースになってる。
しかも、次の会話に繋がらないように、会話が途切れるようにされているような気がするし。
「この間ね、裕子おばさんと少しお話をしたのね」
雪子は、何か言葉を返す事もなく、コーヒーカップの中でスプーン遊びをしている。
「その時にね、裕子おばさんが、あの人って言ったの」
優しい笑みを浮かべながら、愛奈の言葉を聞いている雪子。
「その時にね、妥協とあきらめって言葉を使ったの。お母さんはどっちだったの?」
「お母さんには、そんな人はいなかったわよ」
う~ん・・・そう切り返してくるとは・・・。
とはいえ、こっちも、そうそう最後の切り札を出すわけにはいかないし。
「それじゃ、お母さんは、最初に付き合った男の人って、今のお父さんだったの?」
「さあ、どうだったかしら・・・」
「さあ、どうだったかしらって?今、お母さん言ったじゃない?そんな人はいなかったって」
よしっ!・・・とうとう、お母さんが墓穴を掘ったじょ。
「そうだったかしら?」
おおお===っ!、おのれは政治家かっちゅ===の?
「ふーちゃん?クマさんのぬいぐるみさんのお名前よ」
「ホントに・・・?」
「本当よ・・・。」
「ふ~ん・・・。な~んだ、てっきり、お母さんの昔の恋人の名前かと思っちゃった!」
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「それじゃ、あだ名とか?あだ名!ふーちゃんって、あだ名!」
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「ふ~ん、そっか~・・・。ねえ、お母さんは、裕子おばさんとは昔からのお友達でしょ?」
「ええ、そうよ」
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「うそ・・・?」
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ううう・・・全然、動じない・・・。
ある程度の予想はしてたけど、ここまでとは・・・う~ん。
「それじゃ、裕子おばさんは、今の旦那さんの前に付き合っていた人とかっていなかったの?」
「たぶん、いたと思うわよ・・・」
「たぶんって、お母さんは知らないの?」
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うそだ!・・・絶対!うそだ!・・・絶対!それはあり得ない!
「だって、裕子おばさんとお母さんって昔から親友だったんでしょ?」
「そうよ・・・」
「それなのに教えてくれなかったの?」
「そうよ・・・」
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「裕子?ふふっ、そうね、裕子は、昔から美人さんだったから!」
「よね?今でも綺麗だもんね。裕子おばさんって、今までに何人くらいと付き合った事があるんだろう?」
「何人かしら?」
「お母さんは知らないの?」
「高校が違うから、高校生の時はあまり会わなかったの」
「そっか・・・」
う~ん・・・おかしいぞ・・・何か、おかしいぞい!
始めは、私のペースで話を進めていたはずなのに、いつの間にか、お母さんのペースになってる。
しかも、次の会話に繋がらないように、会話が途切れるようにされているような気がするし。
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「その時にね、妥協とあきらめって言葉を使ったの。お母さんはどっちだったの?」
「お母さんには、そんな人はいなかったわよ」
う~ん・・・そう切り返してくるとは・・・。
とはいえ、こっちも、そうそう最後の切り札を出すわけにはいかないし。
「それじゃ、お母さんは、最初に付き合った男の人って、今のお父さんだったの?」
「さあ、どうだったかしら・・・」
「さあ、どうだったかしらって?今、お母さん言ったじゃない?そんな人はいなかったって」
よしっ!・・・とうとう、お母さんが墓穴を掘ったじょ。
「そうだったかしら?」
おおお===っ!、おのれは政治家かっちゅ===の?
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