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あなたが見えない
あなたが見えない・・・その6
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夏樹さんは、冗談よ!・・・なんて言ってたけど・・・な~んか、怪しいわよね?
とはいえ、不思議といえば、確かに、不思議なのよ。
どうして、夏樹さんと雪子は、あんなにも親しくなれちゃうのかしら?
いくらなんでも、34年ぶりの再会なのよ。昨日、今日の再会ってわけじゃないわよ?
おそらく、雪子が夏樹さんと会ったのって、今日で二度目のはずのよね?
一度目は、去年の年末だったでしょ?そして、今日・・・よね?
たったの二回しか会っていないはずなのに、いきなり、キスって・・・あっ、キスは違うわね。
まさか、いくらなんでも、今日会って、今日いきなりキスってありえないわ・・・と、思いたい。
まあ~、夏樹さんの場合は、ありえなくもないとは思うけど、あの雪子が?そこが不思議なのよ。
とりあえず、愛奈ちゃんに連絡しないと・・・。
でも、どうしてかしら?
夏樹さんと話す前と、話した今では、愛奈という名前が、まるで違う名前みたいに思えてしまうのは。
愛奈って名前は、今までは、雪子が付けた名前だとずーっと思っていたし、
もしかしたら、旦那さんと相談しながら決めたのかもしれないとも思っていたのに。
私ったら、どうして、夏樹さんと雪子の大切な想いをを忘れてしまっていたのかしら?
もし、雪子と結婚していたとしたら、
夏樹さんが、二人の間に出来た子供に付けようとしていた名前だったのに。
それに、雪子は、いったい、どんな想いで、自分の子供に愛奈って名前を付けたのかしら?
それだけじゃないわ・・・。
愛奈ちゃんが生まれてから今日までの20年もの長い日々の中で、
いったい、雪子は、どんな想いで愛奈ちゃんの名前を呼んできたのだろう?
って、思うと、なんか悲しいわね。
裕子が、愛奈に連絡を入れている頃、
雪子はというと、夏樹の家の中でぬいぐるみたちと話をしていた。
「あら・・・?あんた、ぬいぐるみとお話が出来るの?」
「あっ・・・ふーちゃん!」
「ふ~ん・・・やっぱり、そのクマを抱っこしてたのね?」
「あれ?どうして分かったの?」
「そのクマのぬいぐるみは、あたしに似てエッチだからよ」
「はは~ん。それで、私を見るお目目がうるうるしてたんだ」
「あんたが、今、抱っこしているのが、くまっくま!っていう名前なのよ」
「くまっくまくんね!」
「そして、ほら!すぐ近くてオレンジジュースを飲んでいる白い方がみかんちゃん!」
「あれ?みかんちゃん、いつの間にオレンジジュース飲んでたのかな?」
「さあね。あたしもよく分からないけど、気がつくと飲んでるわよ」
「ふ~ん。まるで、自由に動いているみたいなのだ」
「自由・・・?あんた、変な表現の仕方をするのね?」
「そうかな・・・?」
「まるで、あんたが、今まで、自由じゃなかったみたいじゃない?」
「そんな事ないよ・・・。それより、ふーちゃんは、どうして、彼女さんを作らなかったの?」
ふ~ん。話をそらしたわね?
雪子が話をそらす時って、決まって、図星の時だけ・・・。
「でも、あんたさ、もし、あたしと再会していなかったら、どうするつもりだったの?」
「どうするって・・・?」
「あんたの、この先の人生よ」
「どうかな~?きっと、これも人生なのかな?って、思ってたかも」
「きっと、裕子のおかげね」
「私も、そう思った。昔も、そうだったけど、今も。まるで、裕子が、ふーちゃんに会わせてくれてるみたいなのだ」
「あんたも、、オレンジジュース飲む?」
「うん・・・。でも、どうして、オレンジジュース?」
「さあね。よく分からないけど、気がつくと、オレンジジュースを買っちゃうのよ」
そう言いながら、夏樹が、キッチンの方へ歩いて行くのを背中で感じながら、
雪子は、部屋の中にきれいに並べられている沢山のぬいぐるみたちを眺めていた。
縁側で、まるで、今にも動き出しそうなぬいぐるみたちや、
仲良くお話をしているみたいに置かれているぬいぐるみたち。
部屋の中では、壁いっぱいに置かれた棚には所狭しと飾られている沢山のぬいぐるみたち。
アヒルやブタにパンダにカッパ、他にもキャラクターぬいぐるみやレア物ぬいぐるみまで。
ありとあらゆる種類のぬいぐるみたちが、今にも動き出しそうなお顔をしながら飾られている。
そして、ソファの椅子にもテーブルの上にも、パソコンが置かれている机の上にまで。
まるで、ぬいぐるみたちが、自由にあちこち占拠しているみたいに置かれている。
そんな、沢山のぬいぐるみたちを眺めていた雪子が、ポツリと、ひとり言のように呟いた・・・。
ふーちゃんがいない・・・。
こんなにも、沢山のぬいぐるみさんたちがいるのに、ふーちゃんだけがいない・・・。
寂しそうにつぶやきながら、雪子は、抱っこしているクマのぬいぐるみを、ギュッと抱きしめた。
とはいえ、不思議といえば、確かに、不思議なのよ。
どうして、夏樹さんと雪子は、あんなにも親しくなれちゃうのかしら?
いくらなんでも、34年ぶりの再会なのよ。昨日、今日の再会ってわけじゃないわよ?
おそらく、雪子が夏樹さんと会ったのって、今日で二度目のはずのよね?
一度目は、去年の年末だったでしょ?そして、今日・・・よね?
たったの二回しか会っていないはずなのに、いきなり、キスって・・・あっ、キスは違うわね。
まさか、いくらなんでも、今日会って、今日いきなりキスってありえないわ・・・と、思いたい。
まあ~、夏樹さんの場合は、ありえなくもないとは思うけど、あの雪子が?そこが不思議なのよ。
とりあえず、愛奈ちゃんに連絡しないと・・・。
でも、どうしてかしら?
夏樹さんと話す前と、話した今では、愛奈という名前が、まるで違う名前みたいに思えてしまうのは。
愛奈って名前は、今までは、雪子が付けた名前だとずーっと思っていたし、
もしかしたら、旦那さんと相談しながら決めたのかもしれないとも思っていたのに。
私ったら、どうして、夏樹さんと雪子の大切な想いをを忘れてしまっていたのかしら?
もし、雪子と結婚していたとしたら、
夏樹さんが、二人の間に出来た子供に付けようとしていた名前だったのに。
それに、雪子は、いったい、どんな想いで、自分の子供に愛奈って名前を付けたのかしら?
それだけじゃないわ・・・。
愛奈ちゃんが生まれてから今日までの20年もの長い日々の中で、
いったい、雪子は、どんな想いで愛奈ちゃんの名前を呼んできたのだろう?
って、思うと、なんか悲しいわね。
裕子が、愛奈に連絡を入れている頃、
雪子はというと、夏樹の家の中でぬいぐるみたちと話をしていた。
「あら・・・?あんた、ぬいぐるみとお話が出来るの?」
「あっ・・・ふーちゃん!」
「ふ~ん・・・やっぱり、そのクマを抱っこしてたのね?」
「あれ?どうして分かったの?」
「そのクマのぬいぐるみは、あたしに似てエッチだからよ」
「はは~ん。それで、私を見るお目目がうるうるしてたんだ」
「あんたが、今、抱っこしているのが、くまっくま!っていう名前なのよ」
「くまっくまくんね!」
「そして、ほら!すぐ近くてオレンジジュースを飲んでいる白い方がみかんちゃん!」
「あれ?みかんちゃん、いつの間にオレンジジュース飲んでたのかな?」
「さあね。あたしもよく分からないけど、気がつくと飲んでるわよ」
「ふ~ん。まるで、自由に動いているみたいなのだ」
「自由・・・?あんた、変な表現の仕方をするのね?」
「そうかな・・・?」
「まるで、あんたが、今まで、自由じゃなかったみたいじゃない?」
「そんな事ないよ・・・。それより、ふーちゃんは、どうして、彼女さんを作らなかったの?」
ふ~ん。話をそらしたわね?
雪子が話をそらす時って、決まって、図星の時だけ・・・。
「でも、あんたさ、もし、あたしと再会していなかったら、どうするつもりだったの?」
「どうするって・・・?」
「あんたの、この先の人生よ」
「どうかな~?きっと、これも人生なのかな?って、思ってたかも」
「きっと、裕子のおかげね」
「私も、そう思った。昔も、そうだったけど、今も。まるで、裕子が、ふーちゃんに会わせてくれてるみたいなのだ」
「あんたも、、オレンジジュース飲む?」
「うん・・・。でも、どうして、オレンジジュース?」
「さあね。よく分からないけど、気がつくと、オレンジジュースを買っちゃうのよ」
そう言いながら、夏樹が、キッチンの方へ歩いて行くのを背中で感じながら、
雪子は、部屋の中にきれいに並べられている沢山のぬいぐるみたちを眺めていた。
縁側で、まるで、今にも動き出しそうなぬいぐるみたちや、
仲良くお話をしているみたいに置かれているぬいぐるみたち。
部屋の中では、壁いっぱいに置かれた棚には所狭しと飾られている沢山のぬいぐるみたち。
アヒルやブタにパンダにカッパ、他にもキャラクターぬいぐるみやレア物ぬいぐるみまで。
ありとあらゆる種類のぬいぐるみたちが、今にも動き出しそうなお顔をしながら飾られている。
そして、ソファの椅子にもテーブルの上にも、パソコンが置かれている机の上にまで。
まるで、ぬいぐるみたちが、自由にあちこち占拠しているみたいに置かれている。
そんな、沢山のぬいぐるみたちを眺めていた雪子が、ポツリと、ひとり言のように呟いた・・・。
ふーちゃんがいない・・・。
こんなにも、沢山のぬいぐるみさんたちがいるのに、ふーちゃんだけがいない・・・。
寂しそうにつぶやきながら、雪子は、抱っこしているクマのぬいぐるみを、ギュッと抱きしめた。
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