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傷つけたい
傷つけたい・・・その18
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やっぱり、マスターの言ってた通りだわ・・・。
雪子は、自分では気がついていないみたいだけど・・・。
あの日から雪子の心の中で止まっていた時計が、今になって、また、動き始めたのかもしれない。
なのに、気がついていない・・・。きっと、雪子は、その事に気がついていない。
そう思っていたけど、でも・・・本当にそうなのかしら・・・?
雪子は、本当に、無意識の中で、夏樹さんとの新しい時間を歩み始めたのかしら?
雪子が、今・・・「どうして、私が誰かを傷つけたらダメなのかな?」・・・そう言った。
今、確かに、あの子はそう言ったわ。
それって、もしかして、無意識じゃなくて、雪子は自分でその事に気がついているんじゃないの?
雪子が、今まで、ずっと抑えていた夏樹さんへの想いが・・・違うわ・・・そうじゃないわ。
もし、私がマスターの話を聞いてなかったら、きっと、私は気がつかなかったかもしれない。
たぶん、雪子の心の時間が、動き始めたのではないと思う。
そして、夏樹さんへの想いが、動き出したわけでもないと思うの。
もしかして、雪子は、見つけてしまったんじゃないかしら?
34年という歳月が過ぎた今でも、何一つ、色あせていなかった夏樹さんへの想いが。
雪子の心の中に隠れていた。
いえ、隠れていたんじゃなくて、隠していたのかもしれないけど。
きっと、あの子は、それを見つけてしまったのかもしれない。
そう考えてみれば、一連の、雪子の考え方も、理解出来ないような行動も分かるような気がするわ。
だからマスターは「堕ちるなら地獄まで」・・・。そう言ったんだわ・・・だと思う・・・。
私は、雪子みたいに文学とかには縁がないから、心の動きとかって言われても難しいけど。
ただ、そんな私にでも分かるのは、
確かに今、雪子の中に、もう一人の雪子がいるのは間違いないと思う。
「で・・・雪子、本当に夏樹さんの家の見えるところにいるの?」
「んなアホな・・・いるわけないのだ」
「はあ~、それ聞いて安心したわ・・・」
「きゃはは・・・。驚いた・・・?」
「驚いたって、それよりも寿命が縮まったわよ。まったく、もう~」
「気にしない、気にしない・・・」
「木にシマウマ・・・?」
「あ~ん、もう~・・・。それじゃ、木にシマ線なのだ!」
「なるほど、そっちもあったわね。それよりも、お父さんの方はどうなの?」
「大丈夫みたいだよ。けっこう元気そうだったし」
「そう、よかったわね」
「ふ~ん・・・」
「何・・・?ふ~んなんて言ったりして、何かあったの?」
「あった・・・」
「あったって、何があったの?」
「お父さんが、思ったよりも元気だった・・・」
「思ったよりもって、何、変なことを言ってるの?」
テンポよく続いていた会話がいきなり止まった・・・。
その瞬間、裕子が思った。
もしかして・・・出るの?また出るの?
「ふん!死にそうだったらよかったのにさ・・・」
出た!やっぱり出た!・・・
いきなりの低音で話す、別人格のもう一人の雪子が出た・・・じゃなくて。
普通に考えて、この会話の流れからは出ないと思うんだけど・・・違うわ、そこじゃないわ。
「ちょっと、雪子!なんて事を言ってるの?」・・・そうよ、こう切り返すのが普通だわ。
「あいつが、私から、ふーちゃんを引き裂いたんだから。せっかくだもん!早く死んじゃえばいいんだよ」
えっ・・・?どういう事・・・?いえ、その前に、あいつって誰の事?もしかして?雪子の父親?
「ちょっと、雪子・・・?」
「な~に・・・?」
あっ・・・ダメだ・・・。雪子の声が元に戻ってしまったわ 。
雪子って、低音で話した事を、ほとんど覚えていないのよね・・・。
もちろん、言葉も、話した内容も、ほとんど覚えていないみたいだし。
時々は、覚えているみたいだけど、覚えている時って短い短文の時くらいだし。
で、ここで私が訊き返しても「変な裕子なんだ」、な~んて言って、ケラケラ笑うだけだし。
でも、初めて聞いたわ・・・雪子が、夏樹さんと別れた原因が雪子のお父さんだったなんて。
今まで、一度も、夏樹さんと別れた理由を教えてくれなかった雪子だったけど。
夏樹さんとの別れに、まさか、雪子のお父さんが絡んでいたなんて、一度も考えた事もなかったわ。
とはいっても、どうして、雪子のお父さんが夏樹さんと別れる原因になるのかしら?
まあ、言い方は悪いかもしれないけど、もし、雪子が夏樹さんと別れる原因になりそうなのは、
お父さんの方じゃなくて、どちらかと言えば、お母さんの方だと思うんだけど・・・。
雪子は、自分では気がついていないみたいだけど・・・。
あの日から雪子の心の中で止まっていた時計が、今になって、また、動き始めたのかもしれない。
なのに、気がついていない・・・。きっと、雪子は、その事に気がついていない。
そう思っていたけど、でも・・・本当にそうなのかしら・・・?
雪子は、本当に、無意識の中で、夏樹さんとの新しい時間を歩み始めたのかしら?
雪子が、今・・・「どうして、私が誰かを傷つけたらダメなのかな?」・・・そう言った。
今、確かに、あの子はそう言ったわ。
それって、もしかして、無意識じゃなくて、雪子は自分でその事に気がついているんじゃないの?
雪子が、今まで、ずっと抑えていた夏樹さんへの想いが・・・違うわ・・・そうじゃないわ。
もし、私がマスターの話を聞いてなかったら、きっと、私は気がつかなかったかもしれない。
たぶん、雪子の心の時間が、動き始めたのではないと思う。
そして、夏樹さんへの想いが、動き出したわけでもないと思うの。
もしかして、雪子は、見つけてしまったんじゃないかしら?
34年という歳月が過ぎた今でも、何一つ、色あせていなかった夏樹さんへの想いが。
雪子の心の中に隠れていた。
いえ、隠れていたんじゃなくて、隠していたのかもしれないけど。
きっと、あの子は、それを見つけてしまったのかもしれない。
そう考えてみれば、一連の、雪子の考え方も、理解出来ないような行動も分かるような気がするわ。
だからマスターは「堕ちるなら地獄まで」・・・。そう言ったんだわ・・・だと思う・・・。
私は、雪子みたいに文学とかには縁がないから、心の動きとかって言われても難しいけど。
ただ、そんな私にでも分かるのは、
確かに今、雪子の中に、もう一人の雪子がいるのは間違いないと思う。
「で・・・雪子、本当に夏樹さんの家の見えるところにいるの?」
「んなアホな・・・いるわけないのだ」
「はあ~、それ聞いて安心したわ・・・」
「きゃはは・・・。驚いた・・・?」
「驚いたって、それよりも寿命が縮まったわよ。まったく、もう~」
「気にしない、気にしない・・・」
「木にシマウマ・・・?」
「あ~ん、もう~・・・。それじゃ、木にシマ線なのだ!」
「なるほど、そっちもあったわね。それよりも、お父さんの方はどうなの?」
「大丈夫みたいだよ。けっこう元気そうだったし」
「そう、よかったわね」
「ふ~ん・・・」
「何・・・?ふ~んなんて言ったりして、何かあったの?」
「あった・・・」
「あったって、何があったの?」
「お父さんが、思ったよりも元気だった・・・」
「思ったよりもって、何、変なことを言ってるの?」
テンポよく続いていた会話がいきなり止まった・・・。
その瞬間、裕子が思った。
もしかして・・・出るの?また出るの?
「ふん!死にそうだったらよかったのにさ・・・」
出た!やっぱり出た!・・・
いきなりの低音で話す、別人格のもう一人の雪子が出た・・・じゃなくて。
普通に考えて、この会話の流れからは出ないと思うんだけど・・・違うわ、そこじゃないわ。
「ちょっと、雪子!なんて事を言ってるの?」・・・そうよ、こう切り返すのが普通だわ。
「あいつが、私から、ふーちゃんを引き裂いたんだから。せっかくだもん!早く死んじゃえばいいんだよ」
えっ・・・?どういう事・・・?いえ、その前に、あいつって誰の事?もしかして?雪子の父親?
「ちょっと、雪子・・・?」
「な~に・・・?」
あっ・・・ダメだ・・・。雪子の声が元に戻ってしまったわ 。
雪子って、低音で話した事を、ほとんど覚えていないのよね・・・。
もちろん、言葉も、話した内容も、ほとんど覚えていないみたいだし。
時々は、覚えているみたいだけど、覚えている時って短い短文の時くらいだし。
で、ここで私が訊き返しても「変な裕子なんだ」、な~んて言って、ケラケラ笑うだけだし。
でも、初めて聞いたわ・・・雪子が、夏樹さんと別れた原因が雪子のお父さんだったなんて。
今まで、一度も、夏樹さんと別れた理由を教えてくれなかった雪子だったけど。
夏樹さんとの別れに、まさか、雪子のお父さんが絡んでいたなんて、一度も考えた事もなかったわ。
とはいっても、どうして、雪子のお父さんが夏樹さんと別れる原因になるのかしら?
まあ、言い方は悪いかもしれないけど、もし、雪子が夏樹さんと別れる原因になりそうなのは、
お父さんの方じゃなくて、どちらかと言えば、お母さんの方だと思うんだけど・・・。
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