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傷つけたい
傷つけたい・・・その14
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直美としては、言葉には気を付けていたつもりだったのだが。
ここ何年も、いや、京子が夏樹と離婚してから、ずっと、夏樹の悪口ばかり聞かされてきた反動だろうか?
それとも、夏樹と会った事で、直美の中で夏樹に対するイメージが変わり始めたからなのだろうか?
まあ、どちらにしても、口から出てしまった言葉が、京子の耳に届いた事だけは間違いはないだろう。
直美は、おそらく怒っているだろうと思いながら、京子の次の言葉が聞こえてくるのを待っていた。
「ねえ、直美まで、どうして、あの人と同じ事を思うの?」
はい・・・?
直美が待っていたはずの言葉とは違う言葉が聞こえてきた。
「どうしてって言われても・・・。何となく、そんな感じがしたから・・・」
「あの人も、直美と同じ事を私に言ったのよね・・・」
「それは、前にも京子から聞かされてたけど・・・」
「直美が、あの人に会いに行った時に、その事について何か言ってなかった?」
「何かって言われても・・・ただ・・・」
「ただ・・・何・・・?」
「今、私が言ったみたいな感じで、このままだと京子は子供たちにも見捨てられてしまうとか、もしかしたら・・・とか」
「もしかしたら・・・?」
「う~ん・・・」
「いいから、言って・・・」
「う~ん・・・それじゃ言うわよ・・・。夏樹さんは、子供たちが京子を利用するような考え方を持ってしまうかもしれないっていう感じの事を言ってたと思う」
「子供たちが、私を利用する・・・?」
「うん。そんな感じかな・・・」
「どういう事なの・・・?」
「さあ・・・そこまでは分からないけど・・・」
直美は、ここの箇所だけは話してはいけないと思い、言葉を濁す事にした。
それは、京子が直美に話していない・・・というより、
京子が直美に隠しておきたい事情のいくつかを夏樹に聞かされていたためなのだろうか。
人は誰しも、人に知られたくない、隠しておきたい事情があるのだろうし。
ましてや、京子の場合は、なぜ子供たちが京子を利用しようとするのか。
その種あかしを、直美から聞かされたとしたら、この先の子供たちとの接し方や付き合い方、
そして、子供たちとの親子としての関係にも影響を及ぼしかねないと直美は思ったのである。
「それで、あの人は何か言ってなかった?」
「何かって・・・?」
「だから、私にどうしたらいいとか、こうしたらいいんじゃないかとかって何か言ってたんでしょ?」
もしかして、京子は知ってるの?
それとも、何か、思い当たる事でもあるのかしら?
そう言えば、夏樹さんが言ってた・・・。もう手遅れかもしれないって・・・。
いつもの京子なら、さっきの私の言葉に怒るはずなのに怒らなかった。
それに、会話の流れを考えると、まるで、夏樹さんが京子に対して、
何か伝えて欲しい事を私に話したはず。何となく、そんな感じに思えるんだけど・・・。
だから、京子は、夏樹さんと会って話した私に早く会いたかった・・・?
とすれば、夏樹さんの言うように、もう、すでに手遅れ・・・?
もう、すでに、子供たちは京子を利用し始めている・・・?
う~ん・・・これって、非常にまずいんでないかい・・・?あっ・・・私のキャラが・・・。
「何か言ってたのって訊かれても、別に、何も言ってなかったわよ」
「そう・・・」
ちょっと、待ってよ・・・。そう言えば・・・
夏樹さん、京子に対してのアドバイス的な事は何も言ってなかったような気がしたけど。
「ねえ、京子。ちょっと、訊いてもいい?」
「私に・・・?」
「うん・・・。ちょっと、気になるっていうか・・・」
「気になるって、私の事・・・?それとも、子供たちの方?」
「ううん・・・京子たちの事じゃなくて、夏樹さんの事」
「あの人の・・・?」
「うん・・・」
「いいけど・・・。あの人の、何を訊きたいの?」
「夏樹さんって、どういう人なの?」
「どういうって・・・。どうして、そんな事を訊くの?」
「夏樹さんって、こうした方がいいとか、こういう方法があるよとかって、人に対してアドバイスとか提案とかを言うタイプの人・・・?」
直美は、京子と話をしているうちに、夏樹に対して、ある種の違和感を感じていた。
夏樹とは、会って話をしたのは2度である・・・。
そして、話をしたといっても、二言、三言、とかというような形式的な挨拶程度の会話ではなく、
一度目も、二度目も、それなりに、けっこう長い時間の会話をしたはずなのに。
考えてみれば、夏樹の言葉は、いつも、第三者的な立場での客観的な言葉ばかりだったような。
なぜだろう・・・?そんな疑問が、ふと、直美の頭をよぎっていた。
ここ何年も、いや、京子が夏樹と離婚してから、ずっと、夏樹の悪口ばかり聞かされてきた反動だろうか?
それとも、夏樹と会った事で、直美の中で夏樹に対するイメージが変わり始めたからなのだろうか?
まあ、どちらにしても、口から出てしまった言葉が、京子の耳に届いた事だけは間違いはないだろう。
直美は、おそらく怒っているだろうと思いながら、京子の次の言葉が聞こえてくるのを待っていた。
「ねえ、直美まで、どうして、あの人と同じ事を思うの?」
はい・・・?
直美が待っていたはずの言葉とは違う言葉が聞こえてきた。
「どうしてって言われても・・・。何となく、そんな感じがしたから・・・」
「あの人も、直美と同じ事を私に言ったのよね・・・」
「それは、前にも京子から聞かされてたけど・・・」
「直美が、あの人に会いに行った時に、その事について何か言ってなかった?」
「何かって言われても・・・ただ・・・」
「ただ・・・何・・・?」
「今、私が言ったみたいな感じで、このままだと京子は子供たちにも見捨てられてしまうとか、もしかしたら・・・とか」
「もしかしたら・・・?」
「う~ん・・・」
「いいから、言って・・・」
「う~ん・・・それじゃ言うわよ・・・。夏樹さんは、子供たちが京子を利用するような考え方を持ってしまうかもしれないっていう感じの事を言ってたと思う」
「子供たちが、私を利用する・・・?」
「うん。そんな感じかな・・・」
「どういう事なの・・・?」
「さあ・・・そこまでは分からないけど・・・」
直美は、ここの箇所だけは話してはいけないと思い、言葉を濁す事にした。
それは、京子が直美に話していない・・・というより、
京子が直美に隠しておきたい事情のいくつかを夏樹に聞かされていたためなのだろうか。
人は誰しも、人に知られたくない、隠しておきたい事情があるのだろうし。
ましてや、京子の場合は、なぜ子供たちが京子を利用しようとするのか。
その種あかしを、直美から聞かされたとしたら、この先の子供たちとの接し方や付き合い方、
そして、子供たちとの親子としての関係にも影響を及ぼしかねないと直美は思ったのである。
「それで、あの人は何か言ってなかった?」
「何かって・・・?」
「だから、私にどうしたらいいとか、こうしたらいいんじゃないかとかって何か言ってたんでしょ?」
もしかして、京子は知ってるの?
それとも、何か、思い当たる事でもあるのかしら?
そう言えば、夏樹さんが言ってた・・・。もう手遅れかもしれないって・・・。
いつもの京子なら、さっきの私の言葉に怒るはずなのに怒らなかった。
それに、会話の流れを考えると、まるで、夏樹さんが京子に対して、
何か伝えて欲しい事を私に話したはず。何となく、そんな感じに思えるんだけど・・・。
だから、京子は、夏樹さんと会って話した私に早く会いたかった・・・?
とすれば、夏樹さんの言うように、もう、すでに手遅れ・・・?
もう、すでに、子供たちは京子を利用し始めている・・・?
う~ん・・・これって、非常にまずいんでないかい・・・?あっ・・・私のキャラが・・・。
「何か言ってたのって訊かれても、別に、何も言ってなかったわよ」
「そう・・・」
ちょっと、待ってよ・・・。そう言えば・・・
夏樹さん、京子に対してのアドバイス的な事は何も言ってなかったような気がしたけど。
「ねえ、京子。ちょっと、訊いてもいい?」
「私に・・・?」
「うん・・・。ちょっと、気になるっていうか・・・」
「気になるって、私の事・・・?それとも、子供たちの方?」
「ううん・・・京子たちの事じゃなくて、夏樹さんの事」
「あの人の・・・?」
「うん・・・」
「いいけど・・・。あの人の、何を訊きたいの?」
「夏樹さんって、どういう人なの?」
「どういうって・・・。どうして、そんな事を訊くの?」
「夏樹さんって、こうした方がいいとか、こういう方法があるよとかって、人に対してアドバイスとか提案とかを言うタイプの人・・・?」
直美は、京子と話をしているうちに、夏樹に対して、ある種の違和感を感じていた。
夏樹とは、会って話をしたのは2度である・・・。
そして、話をしたといっても、二言、三言、とかというような形式的な挨拶程度の会話ではなく、
一度目も、二度目も、それなりに、けっこう長い時間の会話をしたはずなのに。
考えてみれば、夏樹の言葉は、いつも、第三者的な立場での客観的な言葉ばかりだったような。
なぜだろう・・・?そんな疑問が、ふと、直美の頭をよぎっていた。
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