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記憶の欠片
記憶の欠片・・・その16
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直美は、夏樹と話をしているうちに、一つ訊いてみたいと思う事があった。
それは雪子の事である。夏樹から聞かされる雪子は、直美が思っていた感じとは、
どこかが少し違うような気がするのである。
今まで直美が思っていた雪子は、物静かで頭が良くて誰にでも優しい女性であり、
どちらかというと文学少女というイメージだと思っていた。
ところが、夏樹から聞かされる雪子は、そんなイメージとは全然違っている。
どちらかというと、面白くて、可愛くて、自分勝手で、かと思えば、時々、暴力的で、
そんでもって、少し小悪魔が入っているような、そんな感じなのである。
「あの・・・一つ訊いてもいいでしょうか?」
「ん・・・?雪子の性格でも訊きたいの?」
んんん・・・なんで分かっちゃうかな?
「どうして、私が、訊こうとした事が分かったんですか?」
「なに・・・?それを訊きたいの?」
あ~んもう~・・・。あんたの頭の中はホントに風船なんかい?
「いえ・・・そうじゃないんですけど・・・。でも、どうして、今、私が訊こうとした事が分かったのかなって?」
「ああ・・・それ?そんなのただの偶然に決まってるでしょ?」
いえ・・・あの・・・とてもじゃないけど、偶然とは思えないんですけど・・・。
「で・・・?雪子が、どうかしたの?」
「どうかしたとかではなくて、何となく、私が思っていた雪子さんとは、少し違うような気がしたもので」
「きっと、違わないわよ。あんたが思っていた雪子のイメージは間違ってないと思うわよ」
思うわよって、言われても・・・。
「あの・・・」
「な~に・・・?」
「率直に言って、雪子さんと京子とは、どこが、どう違うんですか?」
「あんた今さ、どうして、雪子の名前を最初に言ったの?」
「えっ・・・?別に、意味はないと思うんですけど・・・」
「意味はない・・・無意識に言ったのね?・・・それじゃ、少しは、京子の気持ちが分かったんじゃないかしら?」
「えっ・・・?あの・・・それは、どういう意味なんですか?」
「無意識の中で順位をつける時は、自分の居場所を探せる時。でも、順位を意識しちゃうと、そこにはもう自分の居場所がないと自分で自覚した時なの・・・。あっ・・・また、ビンタが飛んでくるわ」
「ふふ・・・私はビンタなんてしませんよ・・・。でも、自分の居場所って?」
「無意識なら焼きもちで済むけど、それを意識してしまうと、焼きもちじゃなくて憎悪に変わるのよ・・・。分かる?」
「焼きもちから憎悪・・・ですか?」
「あ~ダメ・・・。どこからか雪子のビンタが飛んでくるような気がしてしまうわ」
どこからかビンタが飛んでくる・・・。そして、ケラケラ笑う・・・それが、雪子さん・・・。
う~ん・・・どう考えても、私のイメージしている雪子さんとは全然違うような気がするんですけど。
「やっぱり、私のイメージの雪子さんとは、少し違うような気がします」
「あはは・・・。まあ、ゆっくり考えてみるといいわ」
「はあ・・・あの・・・」
「ん・・・?」
「それで・・・あの・・・近いうちに、雪子さんと会う予定とかあるんですか?」
「近いうちに・・・?あんた、さっきから変な事を訊くわね?」
「えっ・・・?いえ・・・あの・・・別に、深い意味とかがあるわけでは・・・」
「まあ、いいわ・・・。雪子と会う予定ね~。どうかしら?その答えは、正直、あたしにも分からないわ」
夏樹さんが、雪子さんと近いうちに会う可能性を否定しなかった。
もし今、雪子さんが、ここの街に来ている事を知らなければ、
夏樹さんの事だから、会う予定なんてないわよ・・・と、即答で答えると思う。
でも、夏樹さんは、言葉を濁すような答え方をした・・・。
という事は、あの時の雪子さんの電話の相手は、やっぱり夏樹さんだったんだわ。
「でもね、あたしは雪子とは付き合っていないし、この先も付き合うつもりはないわよ」
「どうして、そう言い切れるんですか?」
「あんた、やけにそこに絡んでくるわね?」
「えっ・・・いえ・・・」
「まあ、いいわ。それはね、あたしと深く関わった人は、みんな不幸になってしまうからなの・・・。だから、この先も、雪子とは深く関わりたくないのよ」
「えっ・・・?」
「それは、京子も同じ。もうこれ以上、誰も不幸にしたくないから、出来れば、もう関わりたくないのよね」
夏樹さんと関わると不幸になる・・・?
思いがけない夏樹の言葉のはずなのに、直美は、不思議と驚きも違和感も感じなかった。
ただ・・・これが夏樹という人間なのだと、素直に受け入れる事が出来ない自分に違和感を感じていた。
それは雪子の事である。夏樹から聞かされる雪子は、直美が思っていた感じとは、
どこかが少し違うような気がするのである。
今まで直美が思っていた雪子は、物静かで頭が良くて誰にでも優しい女性であり、
どちらかというと文学少女というイメージだと思っていた。
ところが、夏樹から聞かされる雪子は、そんなイメージとは全然違っている。
どちらかというと、面白くて、可愛くて、自分勝手で、かと思えば、時々、暴力的で、
そんでもって、少し小悪魔が入っているような、そんな感じなのである。
「あの・・・一つ訊いてもいいでしょうか?」
「ん・・・?雪子の性格でも訊きたいの?」
んんん・・・なんで分かっちゃうかな?
「どうして、私が、訊こうとした事が分かったんですか?」
「なに・・・?それを訊きたいの?」
あ~んもう~・・・。あんたの頭の中はホントに風船なんかい?
「いえ・・・そうじゃないんですけど・・・。でも、どうして、今、私が訊こうとした事が分かったのかなって?」
「ああ・・・それ?そんなのただの偶然に決まってるでしょ?」
いえ・・・あの・・・とてもじゃないけど、偶然とは思えないんですけど・・・。
「で・・・?雪子が、どうかしたの?」
「どうかしたとかではなくて、何となく、私が思っていた雪子さんとは、少し違うような気がしたもので」
「きっと、違わないわよ。あんたが思っていた雪子のイメージは間違ってないと思うわよ」
思うわよって、言われても・・・。
「あの・・・」
「な~に・・・?」
「率直に言って、雪子さんと京子とは、どこが、どう違うんですか?」
「あんた今さ、どうして、雪子の名前を最初に言ったの?」
「えっ・・・?別に、意味はないと思うんですけど・・・」
「意味はない・・・無意識に言ったのね?・・・それじゃ、少しは、京子の気持ちが分かったんじゃないかしら?」
「えっ・・・?あの・・・それは、どういう意味なんですか?」
「無意識の中で順位をつける時は、自分の居場所を探せる時。でも、順位を意識しちゃうと、そこにはもう自分の居場所がないと自分で自覚した時なの・・・。あっ・・・また、ビンタが飛んでくるわ」
「ふふ・・・私はビンタなんてしませんよ・・・。でも、自分の居場所って?」
「無意識なら焼きもちで済むけど、それを意識してしまうと、焼きもちじゃなくて憎悪に変わるのよ・・・。分かる?」
「焼きもちから憎悪・・・ですか?」
「あ~ダメ・・・。どこからか雪子のビンタが飛んでくるような気がしてしまうわ」
どこからかビンタが飛んでくる・・・。そして、ケラケラ笑う・・・それが、雪子さん・・・。
う~ん・・・どう考えても、私のイメージしている雪子さんとは全然違うような気がするんですけど。
「やっぱり、私のイメージの雪子さんとは、少し違うような気がします」
「あはは・・・。まあ、ゆっくり考えてみるといいわ」
「はあ・・・あの・・・」
「ん・・・?」
「それで・・・あの・・・近いうちに、雪子さんと会う予定とかあるんですか?」
「近いうちに・・・?あんた、さっきから変な事を訊くわね?」
「えっ・・・?いえ・・・あの・・・別に、深い意味とかがあるわけでは・・・」
「まあ、いいわ・・・。雪子と会う予定ね~。どうかしら?その答えは、正直、あたしにも分からないわ」
夏樹さんが、雪子さんと近いうちに会う可能性を否定しなかった。
もし今、雪子さんが、ここの街に来ている事を知らなければ、
夏樹さんの事だから、会う予定なんてないわよ・・・と、即答で答えると思う。
でも、夏樹さんは、言葉を濁すような答え方をした・・・。
という事は、あの時の雪子さんの電話の相手は、やっぱり夏樹さんだったんだわ。
「でもね、あたしは雪子とは付き合っていないし、この先も付き合うつもりはないわよ」
「どうして、そう言い切れるんですか?」
「あんた、やけにそこに絡んでくるわね?」
「えっ・・・いえ・・・」
「まあ、いいわ。それはね、あたしと深く関わった人は、みんな不幸になってしまうからなの・・・。だから、この先も、雪子とは深く関わりたくないのよ」
「えっ・・・?」
「それは、京子も同じ。もうこれ以上、誰も不幸にしたくないから、出来れば、もう関わりたくないのよね」
夏樹さんと関わると不幸になる・・・?
思いがけない夏樹の言葉のはずなのに、直美は、不思議と驚きも違和感も感じなかった。
ただ・・・これが夏樹という人間なのだと、素直に受け入れる事が出来ない自分に違和感を感じていた。
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