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記憶の欠片
記憶の欠片・・・その14
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でも、夏樹さんが言うと、知らない人だったら、きっと、信じちゃうんじゃないかしら?
う~ん・・・その前に・・・夏樹さん歳はいくつになったんでしたっけ?
なにせ、今日は、膝丈のスカート・・・しかも、フレアだし。
黒に白でくり抜いたような大きなバラの模様の裾から見える生足・・・。
とても、50代の男性の脚とは思えないわ。
それに、フレアなんだから、少しでも風が吹いたりしたら、生足どころか生太ももまで見えちゃうんじゃないの?
空の色が抜けたような薄いセーターに編み上げの長いカーディガン・・・
とても、こんな田舎に分類される街では皆無なファッション・・・って。
いったい、どこで売ってるのかしら?
「あんた、あたしの脚でも見に来たの?」
「えっ・・・?」
そよ風に、時々、ふわりと遊ぶ隙間から見える太ももに、なぜか目を奪われていた直美は、少し恥ずかしくなった。
「で・・・どうしたの?」
夏樹さんって、いつも、こんな感じに話すのかしら?
何の前置きもないっていうか、いきなり入ってくる言葉が、
もう、何十分も前から話をしている中で交わす会話みたいに。
まるで、スライスした列の真ん中から会話を再会してる感じが不思議。
「ええ・・・実は、ちょっと訊きたい事っていうか、確かめておきたいっていうか・・・あの・・・」
「な~に・・・?雪子のこと?」
えええ===っ?なんで分かるの・・・?
「で・・・雪子の、何を知りたいの?」
いや~その~・・・ってか、いきなりですか?
その前に・・・雪子って、呼び捨てしてるし・・・。
しかも、何となく、馴れ馴れしい感じでの呼び捨て感あるし。
「でも・・・あの・・・どうして分かったんですか?」
「京子が、あたしと雪子の仲を疑ってるんでしょ?」
「疑っているっていえば、そのような感じで。じゃないと言えば、違うような・・・」
「あはは!あんた、面白い日本語を使うのね?」
「はは・・・はう・・・」
「人ってさ、お金で仲が悪くなったり、誰かを恨んだり、後悔したりするけど、基本は違うのよね?」
出た・・・夏樹さんの、なんだか分からないのに自信に満ちてる、妙な言い回し言葉。
「基本が違うっていうのは?」
「男と女では、根本的な原因が違うのよ」
「どういう事なんですか?」
「うんとね、男は愛を守ろうとするけど、女は愛を奪おうとするのよ」
「はあ・・・」
「基本的な考え方が違うっていうのかしらね。そこから出てくる恨みつらみってやつね」
「う~ん・・・よく分からないんですけど・・・」
「何、言ってるのよ?だから、あんたがここに来たんでしょ?」
あっ・・・そう言われてみれば、確かに・・・。
確かに、京子は、お金で苦労して苦しんで、そして、夏樹さんと別れたはずなのに。
いつの間にか、夏樹さんと雪子さんの関係を疑ったり、その事で恨み事を言い出したりしたし。
それに、確かに夏樹さんの言う通り、その事で、今、ここに、私が来てるわけなのよね?
「かたきの前は素通り出来ても、借金の前は素通り出来ないって言うけど、それじゃ死を覚悟した人にとってはどうかしら?」
「かたきの前って、なんか聞いた事があります」
「あるでしょ?昔の人は、よく言ってた事があるからね」
「でも、それが死を覚悟すると、どうなるんですか?」
「お金ってさ、生きていくための道具や方法の一つでしかないのよね?」
「ええ・・・確かに、そう思います」
「でも、この恨み末代までって、言葉もあるでしょ?」
「はい・・・それも聞いた事があります」
「死んでも死にきれないっていう思いって、何処から来るのかしらね?」
「誰かに裏切られたり、騙されたりって事ですか?」
「そこにあるのは、人の心って事にならない?」
「ええ・・・」
「借金は道具の一つに過ぎないけど、人の心って、道具の一つじゃないわよね?」
「確かに・・・」
「人が生きていくのに、必要不可欠なコアでしょ?」
「そう思います・・・」
「人が夢を持つのも、人を好きになるのも、心があるからよね。それに、日常のちょっとした気持ちの上下も人の心のなせる業だしね。京子にとって、借金やお金での揉め事は、嫌な思い出の一つとして時間とともに色あせていくけど。それじゃ、京子が生きてきた証である愛の存在はどうかしら?」
「それは・・・」
「だから、あんたが、今日、ここに来たんでしょ?違うかしら?」
う~ん・・・。
夏樹さんの話って、やっぱり、意味不明な自信でもって構成されているみたいだけど。
でも、私の不確かな思いの中で生まれた、京子に対しての疑問に真っ直ぐに見つめ返してくれている。
とはいえ、不意に浮き上がるように風がまとわりつく度にフレアスカートの裾から、
時折、見え隠れする夏樹さんの太ももが、なぜか気になってしまう私って、どこか変なのかしら?
う~ん・・・その前に・・・夏樹さん歳はいくつになったんでしたっけ?
なにせ、今日は、膝丈のスカート・・・しかも、フレアだし。
黒に白でくり抜いたような大きなバラの模様の裾から見える生足・・・。
とても、50代の男性の脚とは思えないわ。
それに、フレアなんだから、少しでも風が吹いたりしたら、生足どころか生太ももまで見えちゃうんじゃないの?
空の色が抜けたような薄いセーターに編み上げの長いカーディガン・・・
とても、こんな田舎に分類される街では皆無なファッション・・・って。
いったい、どこで売ってるのかしら?
「あんた、あたしの脚でも見に来たの?」
「えっ・・・?」
そよ風に、時々、ふわりと遊ぶ隙間から見える太ももに、なぜか目を奪われていた直美は、少し恥ずかしくなった。
「で・・・どうしたの?」
夏樹さんって、いつも、こんな感じに話すのかしら?
何の前置きもないっていうか、いきなり入ってくる言葉が、
もう、何十分も前から話をしている中で交わす会話みたいに。
まるで、スライスした列の真ん中から会話を再会してる感じが不思議。
「ええ・・・実は、ちょっと訊きたい事っていうか、確かめておきたいっていうか・・・あの・・・」
「な~に・・・?雪子のこと?」
えええ===っ?なんで分かるの・・・?
「で・・・雪子の、何を知りたいの?」
いや~その~・・・ってか、いきなりですか?
その前に・・・雪子って、呼び捨てしてるし・・・。
しかも、何となく、馴れ馴れしい感じでの呼び捨て感あるし。
「でも・・・あの・・・どうして分かったんですか?」
「京子が、あたしと雪子の仲を疑ってるんでしょ?」
「疑っているっていえば、そのような感じで。じゃないと言えば、違うような・・・」
「あはは!あんた、面白い日本語を使うのね?」
「はは・・・はう・・・」
「人ってさ、お金で仲が悪くなったり、誰かを恨んだり、後悔したりするけど、基本は違うのよね?」
出た・・・夏樹さんの、なんだか分からないのに自信に満ちてる、妙な言い回し言葉。
「基本が違うっていうのは?」
「男と女では、根本的な原因が違うのよ」
「どういう事なんですか?」
「うんとね、男は愛を守ろうとするけど、女は愛を奪おうとするのよ」
「はあ・・・」
「基本的な考え方が違うっていうのかしらね。そこから出てくる恨みつらみってやつね」
「う~ん・・・よく分からないんですけど・・・」
「何、言ってるのよ?だから、あんたがここに来たんでしょ?」
あっ・・・そう言われてみれば、確かに・・・。
確かに、京子は、お金で苦労して苦しんで、そして、夏樹さんと別れたはずなのに。
いつの間にか、夏樹さんと雪子さんの関係を疑ったり、その事で恨み事を言い出したりしたし。
それに、確かに夏樹さんの言う通り、その事で、今、ここに、私が来てるわけなのよね?
「かたきの前は素通り出来ても、借金の前は素通り出来ないって言うけど、それじゃ死を覚悟した人にとってはどうかしら?」
「かたきの前って、なんか聞いた事があります」
「あるでしょ?昔の人は、よく言ってた事があるからね」
「でも、それが死を覚悟すると、どうなるんですか?」
「お金ってさ、生きていくための道具や方法の一つでしかないのよね?」
「ええ・・・確かに、そう思います」
「でも、この恨み末代までって、言葉もあるでしょ?」
「はい・・・それも聞いた事があります」
「死んでも死にきれないっていう思いって、何処から来るのかしらね?」
「誰かに裏切られたり、騙されたりって事ですか?」
「そこにあるのは、人の心って事にならない?」
「ええ・・・」
「借金は道具の一つに過ぎないけど、人の心って、道具の一つじゃないわよね?」
「確かに・・・」
「人が生きていくのに、必要不可欠なコアでしょ?」
「そう思います・・・」
「人が夢を持つのも、人を好きになるのも、心があるからよね。それに、日常のちょっとした気持ちの上下も人の心のなせる業だしね。京子にとって、借金やお金での揉め事は、嫌な思い出の一つとして時間とともに色あせていくけど。それじゃ、京子が生きてきた証である愛の存在はどうかしら?」
「それは・・・」
「だから、あんたが、今日、ここに来たんでしょ?違うかしら?」
う~ん・・・。
夏樹さんの話って、やっぱり、意味不明な自信でもって構成されているみたいだけど。
でも、私の不確かな思いの中で生まれた、京子に対しての疑問に真っ直ぐに見つめ返してくれている。
とはいえ、不意に浮き上がるように風がまとわりつく度にフレアスカートの裾から、
時折、見え隠れする夏樹さんの太ももが、なぜか気になってしまう私って、どこか変なのかしら?
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