愛して欲しいと言えたなら

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記憶の欠片

記憶の欠片・・・その13

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その頃、直美は、さっきの、雪子らしき女性を探して店内を一人歩き回っていた。
さっきの女の人はいないわね・・・。もしかして、もう店内にはいないのかしら?

う~ん・・・どうしましょ?・・・な~んて言ってる場合じゃなさそうだし。
とりあえず、京子に、もう一度連絡をした方がいいわよね?
連絡・・・電話・・・う~ん・・・。で、何を話すわけ?・・・やっぱりダメだわ!

とはいえ、直美としては何の手土産も持たないでというわけにはいかないと思い、
少なくても、二人が付き合っているのか?そうじゃないのか?だけでも確かめてからでないと、
京子に会った時に、夏樹と雪子の関係を訊かれた時に答えようがないと思ったので、
最初に夏樹のところによって、それを確かめて、それから、京子に会いに行くことにした。

夏樹の住んでいる家までは、直美のいるスーパーからなら、車で15分くらいで着くくらいの距離である。直美は、早々にスーパーを出て夏樹の家まで車を走らせた。

そういえば、さっきの女性が雪子さんだとしたら、いったい、誰と電話で話していたのかしら?
誰とって・・・電話で、ふーちゃんって言ってたんだから。
もちろん、電話の相手は夏樹さんって事になるわよね?
という事は、やっぱり、夏樹さんは雪子さんと付き合ってるって事になるんじゃない?

でも、分かんないわよ?たまたまってこともあるんだし・・・。
それに、雪子さんが離婚したなんて聞いてないし・・・。
聞いてないっていうか、雪子さんが離婚してたとしても、それを、私が知るわけないんじゃない?

直美は、車を運転しながら色々と考えていると、いつの間にか夏樹の家のすぐ下まで来ていた。
国道から右に曲がる細い道の上の方にある夏樹の家の方を見上げて庭の方を見てみた。

うん。車は止まってるわね?・・・。
というより、誰か来てるみたい。もう一台、車が止まってるみたいだわ。
もしかして、雪子さんだったりして・・・。そしたら、どうしましょ?
んな事を考えてても仕方ないわよね。とりあえず、行ってみるしかないわ。

直美は意を決して・・・と、別に意を決するほどのことでもないのだが。
今の直美にとっては、もし、来客が雪子では?と、思うと、それなりに決死の決断なのである。

国道を曲がって細い道を登っていくと、間もなく夏樹の家が見えてきた。
直美が庭の方に視線を移すと、夏樹の大きな4WD車と、もう一台、黒い普通車が止まっていた。
見た感じ高級車のような感じで大きな車のようなので、来客は雪子ではないのでは?
そんな事を考えながら、庭の方へ車を入れながら縁側の外にあるテーブルの方を見てみる。

はあ~よかった・・・。雪子さんじゃなくてホントよかったわ・・・でも、誰かしら?
見ると、テーブルの右側には夏樹が座っているようだが、それと向かい合わせに座っているのは、黒っぽい背広を着た少しがっしりとした感じの中年男性のようである。

夏樹さんって、相変わらず女やってるわね・・・。
男性と男性なはずなのに、男性と女性が話をしているという構図って・・・。う~ん、悩むわ。

「あら?誰か来たみたいだわ!」

夏樹が、庭に入ってきた車の方を見ていると、ドアから直美が降りてきた。

「こんにちは・・・」

「あら?どうしたの?」

直美は、歩きながら夏樹の方へ会釈をして、もう一人の男性の方にも会釈をした。
がっしりとした体格の割には、とても優しそうな顔立ちの男性は、ニコニコしながら直美に向かって会釈をした。

「先日は、どうも有難う御座いました」

「別にいいわよ、そんな事を気にしなくても。それで、今日はどうしたの?」

「ええ・・・ちょっと、訊きたい事があって・・・」

「訊きたい事?あたしに・・・?」

「ええ・・・。訊きたいっていうか、教えて欲しいっていうか・・・」

直美が夏樹と話をしていると、椅子に座っていた男性が立ち上がって。

「それでは、私はそろそろお暇致しますので・・・」

「あら・・・?もう、お帰りになるの?」

「ええ・・・今日はゆっくりさせて頂いましたので・・・」

そう言うと、男性は直美に軽く会釈をしてから自分の車の方へと歩いていった。
直美は、男性が車に乗り込むのを見ながら夏樹に訊いてみた。

「あの・・・私って、もしかして、お邪魔だったのでは?」

「あら、あんたドレミちゃんだったの?」

「えっ・・・?」

「彼、あたしの新しい恋人なのよ」

「はい・・・?」

新しい恋人・・・?
いえ・・・あの・・・今の人は、どう見ても男性だったと思うのですが・・・?
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