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戻らない想い
戻らない想い・・・その18
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夏樹さんが京子にされてきた・・・?20年も・・・?
「あの・・・それって、どういうことなんですか?」
「まあ、簡単な話、あたしが自分の父親を憎むように仕向けていたってことなんだけどね」
「仕向けていたって・・・京子がですか?」
「そうよ・・・」
「でも、夏樹さんはそのことに気がつかなかったんですか?」
「あはは!あたしって変なところがおバカだからね」
「変なところって・・・あの・・・」
「別に今さらどうでもいいことだからいいんだけど。でもね~、子供たちはちょっと可哀そうかしらね」
「今さらって・・・」
「な~に?気になるの?」
「ええ・・・とっても・・・」
「あたしがそのことに気がついたのは離婚の時なのよ」
「離婚の時・・・?」
「ええ、そうよ。さっき言ったでしょ?離婚の時にあたしに要求してきたお金のこと」
「ええ・・・生活費とか住宅ローンとかですよね?」
「そうよ・・・。あの時のあたしって、もう、ブラックリストに載りまくってたのよ?分かる?この意味?」
「そんな夏樹さんにお金を要求してきた・・・」
「そんな状況のあたしにお金なんて作れると思う?あたし思ったわ。あたしって、いったい、今まで誰のために、こんなにもボロボロになるまで頑張ってきたのかしら?ってね」
「それなのに、京子は・・・?」
「そうよ。そんな状況になっているあたしのことなんかお構いなし・・・。その時に思ったのよね、京子って、そういう性格だったっんだってね。それからの京子の行動は早かったわよ。瞬く間に自分は被害者、んでもってあたしが加害者っていう構図を作り上げちゃったからね」
「あの京子が・・・」
「京子が言ってたのよ。お金がないから、このまま冷蔵庫の食べ物がなくなったら死のうかって子供たちと相談したって・・・。それがさ、離婚する1か月くらい前あたりから根回しはじめちゃうんだもん・・・。あたし思ったわよ、いったい、あの時の京子に言葉は何だったの?ってね。そしたら付き合い始めてから今までの20年以上という長い時間の中で、京子があたしにしてきた色々なことがね、全部、分かっちゃったの・・・。京子、言ってなかった?離婚の頃のあたしの口癖・・・?」
「夏樹さんの口癖ですか?」
「そうよ・・・あの頃、あたしね、こう言ってたの・・・。もういい・・・って・・・」
「あっ・・・それ、京子から聞いたことがあります・・・。京子は、夏樹さんがあんなに根性がない男だとは思わなかったって言ってました」
「そうやって、京子は、今度は子供たちを自分の味方に引き寄せていったのよ」
「夏樹さんを悪くいうことで、京子は自分を被害者にして、今度は、夏樹さんに変わって子供たちを・・・ですか?」
「そんでもって、自分の父親を憎み続けてきたあたしの時と同じように、今度は、子供たちが父親であるあたしのことを憎むように洗脳し始めたの」
「それでさっき、子供たちは夏樹さんとは違うって言ったんですね?」
「そう・・・。そして、子供たちは、そんな京子の一部始終を見ていたってわけ・・・」
「確かに、そう言われてみれば、何となく腑に落ちる所があります」
「京子が、どんなに自分のことを被害者だと言っても、それを信じない人間がこの世に二人いるってことなのよ」
「それは、二人の子供たち・・・」
「そういうこと・・・。これで、京子が何に怯えているか分かったでしょ?」
知らなかった・・・。京子にそんな性格があったなんて・・・。
でも、確かに夏樹さんの言う通りなのかもしれない。
友達である私の前で見せる京子の姿と、子供たちの前で見せる京子の姿が違うのは、
普通は、みんな、そんな感じだとは知ってはいたけど・・・。
人はみんな、それなりに性格の裏表ってあるのは分かるし、それなりに使い分けている人がいるのも分かる。家の中では意地悪な性格でも、一歩家の外に出れば優しい性格の人を演じている人もいるし。
妻や子供たちの前では良いお父さんを演じながら、会社では自分の家族の悪口を言ってる人もいる。
人、それぞれに色々な自分の性格を使い分けて生きていくのは、その人なりの生きていく術なのだと思う。
でも・・・夏樹さんの言う京子の性格は、それとは少し違うような気がする・・・。
「あの・・・」
「ん・・・?な~に?」
「夏樹さんの子供たちは、会いにとか来ないんですか?」
「会いにって・・・誰に?」
「誰にって・・・夏樹さんにですけど」
「来ないわよ・・・」
「一度も・・・ですか?」
「そう。一度も会いに来たことなんてないわよ」
「どうしてですか・・・?」
「どうしてってことよりもさ、もし、あたしに会いに来たって・・・これよ?」
そう言いながら、夏樹は履いているスカートを指で指しながら笑った。
「あの・・・それって、どういうことなんですか?」
「まあ、簡単な話、あたしが自分の父親を憎むように仕向けていたってことなんだけどね」
「仕向けていたって・・・京子がですか?」
「そうよ・・・」
「でも、夏樹さんはそのことに気がつかなかったんですか?」
「あはは!あたしって変なところがおバカだからね」
「変なところって・・・あの・・・」
「別に今さらどうでもいいことだからいいんだけど。でもね~、子供たちはちょっと可哀そうかしらね」
「今さらって・・・」
「な~に?気になるの?」
「ええ・・・とっても・・・」
「あたしがそのことに気がついたのは離婚の時なのよ」
「離婚の時・・・?」
「ええ、そうよ。さっき言ったでしょ?離婚の時にあたしに要求してきたお金のこと」
「ええ・・・生活費とか住宅ローンとかですよね?」
「そうよ・・・。あの時のあたしって、もう、ブラックリストに載りまくってたのよ?分かる?この意味?」
「そんな夏樹さんにお金を要求してきた・・・」
「そんな状況のあたしにお金なんて作れると思う?あたし思ったわ。あたしって、いったい、今まで誰のために、こんなにもボロボロになるまで頑張ってきたのかしら?ってね」
「それなのに、京子は・・・?」
「そうよ。そんな状況になっているあたしのことなんかお構いなし・・・。その時に思ったのよね、京子って、そういう性格だったっんだってね。それからの京子の行動は早かったわよ。瞬く間に自分は被害者、んでもってあたしが加害者っていう構図を作り上げちゃったからね」
「あの京子が・・・」
「京子が言ってたのよ。お金がないから、このまま冷蔵庫の食べ物がなくなったら死のうかって子供たちと相談したって・・・。それがさ、離婚する1か月くらい前あたりから根回しはじめちゃうんだもん・・・。あたし思ったわよ、いったい、あの時の京子に言葉は何だったの?ってね。そしたら付き合い始めてから今までの20年以上という長い時間の中で、京子があたしにしてきた色々なことがね、全部、分かっちゃったの・・・。京子、言ってなかった?離婚の頃のあたしの口癖・・・?」
「夏樹さんの口癖ですか?」
「そうよ・・・あの頃、あたしね、こう言ってたの・・・。もういい・・・って・・・」
「あっ・・・それ、京子から聞いたことがあります・・・。京子は、夏樹さんがあんなに根性がない男だとは思わなかったって言ってました」
「そうやって、京子は、今度は子供たちを自分の味方に引き寄せていったのよ」
「夏樹さんを悪くいうことで、京子は自分を被害者にして、今度は、夏樹さんに変わって子供たちを・・・ですか?」
「そんでもって、自分の父親を憎み続けてきたあたしの時と同じように、今度は、子供たちが父親であるあたしのことを憎むように洗脳し始めたの」
「それでさっき、子供たちは夏樹さんとは違うって言ったんですね?」
「そう・・・。そして、子供たちは、そんな京子の一部始終を見ていたってわけ・・・」
「確かに、そう言われてみれば、何となく腑に落ちる所があります」
「京子が、どんなに自分のことを被害者だと言っても、それを信じない人間がこの世に二人いるってことなのよ」
「それは、二人の子供たち・・・」
「そういうこと・・・。これで、京子が何に怯えているか分かったでしょ?」
知らなかった・・・。京子にそんな性格があったなんて・・・。
でも、確かに夏樹さんの言う通りなのかもしれない。
友達である私の前で見せる京子の姿と、子供たちの前で見せる京子の姿が違うのは、
普通は、みんな、そんな感じだとは知ってはいたけど・・・。
人はみんな、それなりに性格の裏表ってあるのは分かるし、それなりに使い分けている人がいるのも分かる。家の中では意地悪な性格でも、一歩家の外に出れば優しい性格の人を演じている人もいるし。
妻や子供たちの前では良いお父さんを演じながら、会社では自分の家族の悪口を言ってる人もいる。
人、それぞれに色々な自分の性格を使い分けて生きていくのは、その人なりの生きていく術なのだと思う。
でも・・・夏樹さんの言う京子の性格は、それとは少し違うような気がする・・・。
「あの・・・」
「ん・・・?な~に?」
「夏樹さんの子供たちは、会いにとか来ないんですか?」
「会いにって・・・誰に?」
「誰にって・・・夏樹さんにですけど」
「来ないわよ・・・」
「一度も・・・ですか?」
「そう。一度も会いに来たことなんてないわよ」
「どうしてですか・・・?」
「どうしてってことよりもさ、もし、あたしに会いに来たって・・・これよ?」
そう言いながら、夏樹は履いているスカートを指で指しながら笑った。
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