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戻らない想い
戻らない想い・・・その15
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ウサギさん・・・?
ウサギさんのぬいぐるみが、クマさんのぬいぐるみを呼んでいる?
面白い人だなと思いながら、縁側の方へ歩いて行く夏樹を見ていると、
縁側の開けたサッシの所から、何やら飾ってあるぬいぐるみたちに話しかけているみたいで、
さっきのクマのぬいぐるみを、ウサギのぬいぐるみと向かい合わせに座らせると、
今度は、反対側に飾ってあるカバのぬいぐるみを抱きかかえながら戻ってきた。
「ごめんなさいね。ふふっ・・・この子たちって、いつも、こんな調子なのよ」
ふふって・・・あの・・・。
「夏樹さんには、ぬいぐるみたちがお話しをしているように見えるのですか?」
「お話をしているようにではなくて、お話をしているのよ」
「あの・・・」
「あはは!あんた、あたしの頭がおかしいんじゃないかって思ってるんでしょ?」
「いえ・・・そういうわけではないんですけど・・・でも」
「いいわよ、別に。でもね、あたしには、この子たちがお話をしているのが聞こえるし、この子たちが動いているのも分かるのよ」
「動いている・・・ですか?」
「そうよ・・・あんたには見えない?」
「いえ・・・私にはただのぬいぐるみにしか見えないんですけど」
「目で見ようとするからよ。心で見ようとすればちゃんと見えるはずよ」
いえ・・・あの・・・言ってる意味がよく分からないんですけど・・・。
「まあ、いいわ。それよりさ、親って子供の何に恐怖を覚えると思う?」
「恐怖・・・?子供にですか?」
「う~ん・・・。ちょっと早まっちゃったかしら?」
「早まったって・・・?」
「お話しの内容のことよ」
「ええ・・・まあ・・・。いきなり恐怖をって言われても」
「そうよね。えっとね、子供って少しずつ成長していくでしょ?」
「はい・・・」
「するとさ、親って子供の何に関心が出てくると思う?」
「何って・・・えっと・・・、子供の成長っていうか、この子はどんな大人になるのだろうとかってことですか?」
「ええ、そうね。親が自分の子供に対する想いってね。楽しみと、恐怖の二つに分けられるのよ」
「楽しみと、恐怖・・・ですか?」
「まあ、大きく分ければだけどね・・・」
「楽しみっていうのは、親の希望通りとか、良い性格の子供に成長したとかってことですか?」
「まあ、そんなとこね」
「ということは、恐怖というのは、自分の子供が不良になるとか、悪い性格の人になっていくとかってことですか?」
「そうね・・・。まあ、大体、そんな感じかしらね」
「他にも何かあるんですか?」
「う~ん・・・。ようはね、自分の子供が成長して、親である自分に危害を加えるか危害を加えないかってことなのよ」
「危害・・・ですか?」
「まあ、危害っていっても、直接加える危害と別に、危害は加えないんだけど親に迷惑をかけてしまうって感じかしら」
「夏樹さんの言いたいことがなんとなく分かってきました」
「ということは、あたしの物事のとらえ方とか、考え方が少し分かってきたみたいね」
「ええ・・・。分かってきたっていうか、慣れてきたっていうか」
「親がさ、自分の子供がまだ小さい頃に、その子に対して暴力を振るってると、その親はその子の成長に何を考えると思う?」
「今度は、自分が自分の子供に仕返しされる?」
「仕返しもそうだけど、ようは、弱い人間に対して暴力を振るうことが正しいことなんだと理解したまま大人になっていくのよ」
「暴力が正しいこと・・・ですか?」
「みんながみんなそうなるってわけじゃないけどね。でも、確率は高いと思うわよ」
「でも、そういうのって、成長していくうちに学校とか周りから、それはいけないことだと教えられるものなのでは?」
「そんなのはごく少数よ。人の心に根付いた恐怖ってね、快感と表裏一体なのよ」
「恐怖がですか?」
「いじめられっ子がいじめる側になった時にどうなると思う?」
「いじめることに快感を覚えるってこと・・・?」
「そうよ。弱い人ほど、自分は本当は強いんだと知った時に、心に抱いていた恐怖が快感に変わっていくもんなのよ」
夏樹さんの話って正論のように聞こえてくるけど、本当にそうなのだろうか?
確かに、言われてみれば一つ一つがちゃんと説得力があるけど・・・でも・・・。
ウサギさんのぬいぐるみが、クマさんのぬいぐるみを呼んでいる?
面白い人だなと思いながら、縁側の方へ歩いて行く夏樹を見ていると、
縁側の開けたサッシの所から、何やら飾ってあるぬいぐるみたちに話しかけているみたいで、
さっきのクマのぬいぐるみを、ウサギのぬいぐるみと向かい合わせに座らせると、
今度は、反対側に飾ってあるカバのぬいぐるみを抱きかかえながら戻ってきた。
「ごめんなさいね。ふふっ・・・この子たちって、いつも、こんな調子なのよ」
ふふって・・・あの・・・。
「夏樹さんには、ぬいぐるみたちがお話しをしているように見えるのですか?」
「お話をしているようにではなくて、お話をしているのよ」
「あの・・・」
「あはは!あんた、あたしの頭がおかしいんじゃないかって思ってるんでしょ?」
「いえ・・・そういうわけではないんですけど・・・でも」
「いいわよ、別に。でもね、あたしには、この子たちがお話をしているのが聞こえるし、この子たちが動いているのも分かるのよ」
「動いている・・・ですか?」
「そうよ・・・あんたには見えない?」
「いえ・・・私にはただのぬいぐるみにしか見えないんですけど」
「目で見ようとするからよ。心で見ようとすればちゃんと見えるはずよ」
いえ・・・あの・・・言ってる意味がよく分からないんですけど・・・。
「まあ、いいわ。それよりさ、親って子供の何に恐怖を覚えると思う?」
「恐怖・・・?子供にですか?」
「う~ん・・・。ちょっと早まっちゃったかしら?」
「早まったって・・・?」
「お話しの内容のことよ」
「ええ・・・まあ・・・。いきなり恐怖をって言われても」
「そうよね。えっとね、子供って少しずつ成長していくでしょ?」
「はい・・・」
「するとさ、親って子供の何に関心が出てくると思う?」
「何って・・・えっと・・・、子供の成長っていうか、この子はどんな大人になるのだろうとかってことですか?」
「ええ、そうね。親が自分の子供に対する想いってね。楽しみと、恐怖の二つに分けられるのよ」
「楽しみと、恐怖・・・ですか?」
「まあ、大きく分ければだけどね・・・」
「楽しみっていうのは、親の希望通りとか、良い性格の子供に成長したとかってことですか?」
「まあ、そんなとこね」
「ということは、恐怖というのは、自分の子供が不良になるとか、悪い性格の人になっていくとかってことですか?」
「そうね・・・。まあ、大体、そんな感じかしらね」
「他にも何かあるんですか?」
「う~ん・・・。ようはね、自分の子供が成長して、親である自分に危害を加えるか危害を加えないかってことなのよ」
「危害・・・ですか?」
「まあ、危害っていっても、直接加える危害と別に、危害は加えないんだけど親に迷惑をかけてしまうって感じかしら」
「夏樹さんの言いたいことがなんとなく分かってきました」
「ということは、あたしの物事のとらえ方とか、考え方が少し分かってきたみたいね」
「ええ・・・。分かってきたっていうか、慣れてきたっていうか」
「親がさ、自分の子供がまだ小さい頃に、その子に対して暴力を振るってると、その親はその子の成長に何を考えると思う?」
「今度は、自分が自分の子供に仕返しされる?」
「仕返しもそうだけど、ようは、弱い人間に対して暴力を振るうことが正しいことなんだと理解したまま大人になっていくのよ」
「暴力が正しいこと・・・ですか?」
「みんながみんなそうなるってわけじゃないけどね。でも、確率は高いと思うわよ」
「でも、そういうのって、成長していくうちに学校とか周りから、それはいけないことだと教えられるものなのでは?」
「そんなのはごく少数よ。人の心に根付いた恐怖ってね、快感と表裏一体なのよ」
「恐怖がですか?」
「いじめられっ子がいじめる側になった時にどうなると思う?」
「いじめることに快感を覚えるってこと・・・?」
「そうよ。弱い人ほど、自分は本当は強いんだと知った時に、心に抱いていた恐怖が快感に変わっていくもんなのよ」
夏樹さんの話って正論のように聞こえてくるけど、本当にそうなのだろうか?
確かに、言われてみれば一つ一つがちゃんと説得力があるけど・・・でも・・・。
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