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戻らない想い
戻らない想い・・・その6
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「でも、京子が自分を良く見せようとしてるようには見えませんでしたけど・・・」
「どうして、そう思ったの?」
「ええ・・・京子の子供たちです」
「子供たち・・・?」
「あっ、それは夏樹さんの子供たちでもあるんですよね」
「あはは!そんなのは、もう遠い昔の話よ」
「遠い昔って・・・離婚しても自分の子供は子供ですよ」
「あんたにとってはね。っていうか、世間一般ではそうかもしれないわね」
「そうかもって・・・夏樹さんは違うんですか?」
「違うわね・・・」
「違うって・・・」
「子供たちがあたしのもとを離れて行った時から、もう赤の他人よ」
「そんな・・・。それじゃ、子供たちが可哀そうなんじゃないですか?」
「可哀そう?どうして・・・?」
「どうしてって・・・。普通は、子供にとって自分の親は死ぬまで自分の親なんだし・・・」
「そんでもって、親が死ぬまで子供は子供だって言いたいの?」
「ええ・・・。昔、私も離婚しましたけど、でも、子供とは今でもちゃんと親子をしてますし」
「それでいいんじゃないの?」
直美は、少し戸惑っていた・・・。
さっきまでの夏樹とは全然違う夏樹になってしまったというか、少し考え方が違うというか・・・
「な~に?あたしの考え方がひねくれてるとでも思ったの?」
直美は、夏樹の言葉にドキッとした・・・。
もしかして、この人には、今、私が思ったことが分かるのだろうか?
そう言えば、京子が言ってたことがあったわ。
夏樹さんは、人の考え方や思っていることが分かってしまうって。
聞いてはいたけど・・・
でも、いざ目の前でそれを体験しちゃうと、なんか自分を見透かされているっていうか。
私の考えてることが全部筒抜けになっているっていうか・・・少し怖くなってくるわ。
「あんたにとって子供って何なの?」
「えっ・・・?」
「だから、あんたにとっての自分の子供って何なのってことよ?」
「何なのって、言われても・・・」
「自分の支えだとか、自分が生きていこうとする勇気をくれるとかって、出来合いのお惣菜みたいなことは言わないでよ」
まただ・・・。また、今、私が思ったことを言い当てた・・・。
でも・・・なぜだろう?・・・今の、この感覚は・・・。
なぜかは分からないけど、この人の言葉に腹が立たないというか、嫌な気持ちにはならないというか。
今さっき、この人は、自分の子供を赤の他人だと言った。
夏樹さんにとっては、子供なんて、そんな程度の存在でしかないんだとでも言いたげな口調で言ったはずなのに、何かが違うような気がするのは、なぜなんだろう?
「でもね・・・。あたしのこんな考え方って本当はどこかひねくれてるのよね。あんた、そう思わない?」
「あっ・・・。まあ、確かにそんな感じには思いますけど・・・」
「子供にとって、親って自分が生まれた時から自動的に親なの。そして、それは親にとっても同じことなの。親にとっても、子供っていうのは、その子供が生まれた時から家族なのよ。誰に強要されたわけでもなく、誰かの願いを叶えたわけでもなく、強制的に、絶対命令の中で出来上がった親子という関係なのよ」
「でも、自分の子供が欲しいって、親は、願うもんじゃないですか?」
「あはは!そんなあげ足はどうでもいいから。それよりも、強制や絶対命令という視点から考えてみたら?」
「そんなことを考えたことなんてないし、ましてや自分の子供ですよ?そもそも、そんな風に考えること自体、間違ってませんか?」
「それなら、どうして、あんたは離婚したの?」
「えっ・・・?」
「あんたは、自分の都合で、自分の子供から、その子の父親を切り捨てたのよ」
「切り捨てたって・・・そんな・・・」
「な~に?もっと優しい言葉で?それとも、思いやりが一杯詰まった飾りたてた言葉で言って欲しかったの?」
「夏樹さんって冷たい人なんですね・・・」
直美の言葉に反応したわけでもなく、かといって聞こえていないふりをするわけでもなく。
少しの笑みと、少しの孤独を、流す視線に静かに乗せながら言葉を口にした。
「もっと早く冷たい人間になれてたなら、京子の人生も、きっと幸せな人生になっていたかもって。今更ながらそんなことを思ったりしてるけど・・・。遅かったのよね。すべてが遅すぎたの・・・」
静かに、そして、優しく話す、夏樹の言葉に、
直美は、「そんな風に言わないで欲しい・・・」と、心で呟いた。
夏樹さんは冷たい人だって、京子が可哀そうだって・・・。そう思って帰れるのに・・・。
でも・・・さっきから、時々、引っかかっていたことが、なんとなく見えてきたような気がする。
この人は、おどけて見せたり、笑わせるようなことを言ってみたり。
そして、急に冷たい言葉を吐き捨てるように言ってみたりしてるけど・・・。
この人は・・・私の目の前にいる夏樹さんという人は、もしかして・・・。
「どうして、そう思ったの?」
「ええ・・・京子の子供たちです」
「子供たち・・・?」
「あっ、それは夏樹さんの子供たちでもあるんですよね」
「あはは!そんなのは、もう遠い昔の話よ」
「遠い昔って・・・離婚しても自分の子供は子供ですよ」
「あんたにとってはね。っていうか、世間一般ではそうかもしれないわね」
「そうかもって・・・夏樹さんは違うんですか?」
「違うわね・・・」
「違うって・・・」
「子供たちがあたしのもとを離れて行った時から、もう赤の他人よ」
「そんな・・・。それじゃ、子供たちが可哀そうなんじゃないですか?」
「可哀そう?どうして・・・?」
「どうしてって・・・。普通は、子供にとって自分の親は死ぬまで自分の親なんだし・・・」
「そんでもって、親が死ぬまで子供は子供だって言いたいの?」
「ええ・・・。昔、私も離婚しましたけど、でも、子供とは今でもちゃんと親子をしてますし」
「それでいいんじゃないの?」
直美は、少し戸惑っていた・・・。
さっきまでの夏樹とは全然違う夏樹になってしまったというか、少し考え方が違うというか・・・
「な~に?あたしの考え方がひねくれてるとでも思ったの?」
直美は、夏樹の言葉にドキッとした・・・。
もしかして、この人には、今、私が思ったことが分かるのだろうか?
そう言えば、京子が言ってたことがあったわ。
夏樹さんは、人の考え方や思っていることが分かってしまうって。
聞いてはいたけど・・・
でも、いざ目の前でそれを体験しちゃうと、なんか自分を見透かされているっていうか。
私の考えてることが全部筒抜けになっているっていうか・・・少し怖くなってくるわ。
「あんたにとって子供って何なの?」
「えっ・・・?」
「だから、あんたにとっての自分の子供って何なのってことよ?」
「何なのって、言われても・・・」
「自分の支えだとか、自分が生きていこうとする勇気をくれるとかって、出来合いのお惣菜みたいなことは言わないでよ」
まただ・・・。また、今、私が思ったことを言い当てた・・・。
でも・・・なぜだろう?・・・今の、この感覚は・・・。
なぜかは分からないけど、この人の言葉に腹が立たないというか、嫌な気持ちにはならないというか。
今さっき、この人は、自分の子供を赤の他人だと言った。
夏樹さんにとっては、子供なんて、そんな程度の存在でしかないんだとでも言いたげな口調で言ったはずなのに、何かが違うような気がするのは、なぜなんだろう?
「でもね・・・。あたしのこんな考え方って本当はどこかひねくれてるのよね。あんた、そう思わない?」
「あっ・・・。まあ、確かにそんな感じには思いますけど・・・」
「子供にとって、親って自分が生まれた時から自動的に親なの。そして、それは親にとっても同じことなの。親にとっても、子供っていうのは、その子供が生まれた時から家族なのよ。誰に強要されたわけでもなく、誰かの願いを叶えたわけでもなく、強制的に、絶対命令の中で出来上がった親子という関係なのよ」
「でも、自分の子供が欲しいって、親は、願うもんじゃないですか?」
「あはは!そんなあげ足はどうでもいいから。それよりも、強制や絶対命令という視点から考えてみたら?」
「そんなことを考えたことなんてないし、ましてや自分の子供ですよ?そもそも、そんな風に考えること自体、間違ってませんか?」
「それなら、どうして、あんたは離婚したの?」
「えっ・・・?」
「あんたは、自分の都合で、自分の子供から、その子の父親を切り捨てたのよ」
「切り捨てたって・・・そんな・・・」
「な~に?もっと優しい言葉で?それとも、思いやりが一杯詰まった飾りたてた言葉で言って欲しかったの?」
「夏樹さんって冷たい人なんですね・・・」
直美の言葉に反応したわけでもなく、かといって聞こえていないふりをするわけでもなく。
少しの笑みと、少しの孤独を、流す視線に静かに乗せながら言葉を口にした。
「もっと早く冷たい人間になれてたなら、京子の人生も、きっと幸せな人生になっていたかもって。今更ながらそんなことを思ったりしてるけど・・・。遅かったのよね。すべてが遅すぎたの・・・」
静かに、そして、優しく話す、夏樹の言葉に、
直美は、「そんな風に言わないで欲しい・・・」と、心で呟いた。
夏樹さんは冷たい人だって、京子が可哀そうだって・・・。そう思って帰れるのに・・・。
でも・・・さっきから、時々、引っかかっていたことが、なんとなく見えてきたような気がする。
この人は、おどけて見せたり、笑わせるようなことを言ってみたり。
そして、急に冷たい言葉を吐き捨てるように言ってみたりしてるけど・・・。
この人は・・・私の目の前にいる夏樹さんという人は、もしかして・・・。
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