愛して欲しいと言えたなら

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戻らない想い

戻らない想い・・・その2

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「あら・・・?あたしの顔に何か付いてる?」

「いえ・・・あの・・・ちょっと、ビックリしたもので・・・」

「あたしも、ビックリしたわよ!」

「どうしてですか・・・?」

「どうしてって?あんたね、あたしを知らない人が突然やってきて、あたしを見てビックリ!してってさ、あたしだって、そんなあんたにビックリ!だわよ!」

「ふふっ・・・確かに、言われてみればそうですよね」

「でしょ・・・?」

「でも、正直言ってホントに驚きました」

「驚いたって、あたしに・・・?」

「ええ・・・一応、話には聞いてはいたんですけど、まさか、ここまでとは思ってなかったもので」

「な~に・・・まさか、ここまで化け物になってたって?」

「いえ・・・そうじゃなくて、どこから見ても女性にしか見えなくて、てっきり・・・」

「てっきり・・・なに?てっきり愛人か何かだって思ったっていうの?」

「ええ・・・まあ・・・愛人っていうか再婚相手っていうか・・・」

「まあね・・・。確かに、夏樹って面喰いなところがあるからね」

「ふふっ・・・」

「いいのよ!誰もあたしのことを綺麗ね!って、言ってくれないんだから」

「えっ・・・でも、ホントに綺麗ですよ・・・」

「あら?そう言ってもらえると嘘でも嬉しいわ・・・」

「うそじゃないですよ・・・。だって、最初、全然分かんなかったんですから」

「でもね、これでマスクをしてると20代前半に見られることもあるのよ」

「ホントですか・・・?」

「ホントよん!。で・・・何の用?」

「あっ・・・実は、京子のことで・・・」

「京子・・・?」

「ええ・・・」

「で・・・あんた、京子の何なの?」

「あっ・・・すみません、自己紹介が遅れました。私、京子の知り合いの直美っていいます」

「知り合い・・・?」

「ええ・・・知り合いっていうか友達っていうか・・・」

「いうかって・・・どっちなの?京子のことでって言われても、知り合いと友達では大きく違うわよ?」

「あれ・・・京子から私のことを聞いてませんでした?」

夏樹は、カップの底を左手で包み込むように持つと、少し意地悪な目つきで直美を見つめながら

「ミルキーウェイ・・・?」

「あっ・・・覚えていてくれたんですか?」

「あの時のコミック本はどこかにいっちゃったけど、同じ本は今でも持ってるわよ」

「ミルキーウェイってコミック本が好きなんですか?」

「好きじゃなかったら持ってないわよ」

「ふふっ、それはそうですよね・・・」

「で・・・そのミルキーウェイさんが、あたしに何の用なの?」

「ええ・・・あの・・・実は、先月の中ごろに京子に会った時に夏樹さんの話になったんです」

「な~に・・・?元旦那が変態になってたって?」

「ふふっ・・・いえ・・・そのことではないんですけど」

「ん?もしかして、あんたもやっぱりあたしのことを変態になったって思ってたの?」

「京子から聞いた時は正直ちょっと・・・」

「そういう趣味があったんだ~って?」

「ええ・・・まあ・・・ええ===っ?うそ===っ!って・・・」

「あたしね、太ももを触ってるのが好きなのよ」

「えっ・・・?」

「あんたの太もものことじゃないわよ、自分の太もものことよ」

「あっ・・・そうなんですか・・・」

「きゃはは!あんた、今、あたしのことを、やっぱ!こいつ変態なんだ!って、思ったでしょ?」

「いえ・・・あの・・・」

「で・・・何の用で来たわけ?」

「あっ・・・すみません・・・。実は、京子から夏樹さんと話した時のことを聞かされたんです」

「あたしと・・・?ああ・・・ディスカウントストアで会った時のことね」

「ええ・・・」

「それで京子が、あたしの言ってることが理解が出来ないとでも言ってたんでしょ?」

「分かるんですか・・・?」

「あたしが京子と何年夫婦やってたと思ってるのよ」

「でも、そこまで京子のことが分かってたのに、どうして・・・」

「離婚になったかって・・・?」

「ええ・・・京子に離婚したって聞かされた時には、正直言って信じられなかったんですよ」

「そうね・・・。確かに、あたしも信じられなかったわ・・・」

「それじゃ・・・どうして・・・」

「どうして?・・・でもね・・・あたしが京子を不幸せにしちゃったのよね」

「えっ・・・?」

普通の会話から、突然、「不幸せにしたのよ・・・」と言った夏樹の言葉に、直美は驚きを隠せなかった。

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