愛して欲しいと言えたなら

zonbitan

文字の大きさ
上 下
79 / 386
後悔

後悔・・・その19

しおりを挟む
「後悔・・・?」

「うん。それに、私にも、ふーちゃんと別れてからの時間を後悔して欲しくないんだと思う」

雪子って、時々、すごく大人びたような事を言うわよね?
「私は、何でもお見通しだ~い!」・・・みたいな・・・。
普段は、ホント、子供みたいな感じなのに不思議だわ。

「でも、それは、雪子に対しての全部ってことじゃないの?」

「違うよ・・・」

「どうして・・・?」

「ふーちゃんは、別れた奥さんにも、自分と結婚したことを後悔させたくないんだよ」

「どうして、そうなるの・・・?」

「もし、そうじゃなかったから、きっと今頃は違う女の人と付き合ってるか再婚とかしてると思うよ」

「どうして・・・?」

「だって、ふーちゃんってモテるから」

「モテる・・・?う~ん・・・確かに・・・。それじゃ、もしかして女装してるもの、そういうことが絡んでるの?」

「半分はそうだと思うよ」

「半分・・・?それじゃ残りの半分は?」

「ただの変態!」

「ただの変態・・・なの?」

「うん。間違いないよ!」

「あはは・・・。まあ、雪子がそういうんならそうかもしれないわね」

「ふーちゃんは、自分が違う人と付き合ったりしたら、別れた奥さんとの結婚を否定してしまうって思ってるんだと思うし」

「そんなことを言ったって、長く一緒に暮らしてたりしたら、そのうち価値観が違ってきたりとかってするんじゃないの?」

「だから、さっき言ったでしょ?ふーちゃんって、そういうところが割り切れない性格だって」

「そんなことを言ってたら、最後は雁字搦めになってしまって何も出来なくなってしまうわよ?」

「うん・・・。きっと、今のふーちゃんがそうなんじゃないかな?」

「そうなの・・・?雪子には、そんな風に見えてたの?」

「そんな風にっていうより、ふーちゃんが女の人の格好をしてるのを見た時にそう思ったのだ!」

「うそ・・・?マジで・・・?私、全然、気がつかなかったけど」

「ふーちゃんって、自分を隠すことが得意だから、裕子じゃなくても他の誰も分かんないよ」

「だって、雪子にはすぐに分かったんでしょ?」

「うん、分かってしまった・・・。やっぱ!そこいったんだ~って!」

「そこって、女装ってこと・・・?」

「うん。やっぱ!ふーちゃんは変態に走ってしもうたのね~って!」

「ちょっと、それって、もしかして精神不安定ってことなんじゃないの?」

「そうとも言う・・・」

「そうとも言うって・・・。それって、ちょっと大変なことなんじゃないの?」

「どうして・・・?」

「だって、夏樹さんは今は一人暮らしなのよ?」

「大丈夫だと思うよ・・・」

「どうして・・・?精神不安定って鬱とかってことなのよ?」

「でも、それは逆に一人暮らしだから、かえっていいんだと思う」

「いや、普通は逆でしょ?一人暮らしってことは、何かあっても誰も助けてくれないってことになるのよ?」

「裕子・・・?」

「なに・・・?」

「ふーちゃんってさ、誰かに助けてもらいたいなんて考えるタイプだと思う?」

「う~ん・・・そう言われると・・・」

「でしょ・・・?」

「でも、夏樹さんだってもう若くないんだし、何かあったらどうするの?」

「ふーちゃんのことだから何とかすると思うよ」

「何とかって・・・雪子は心配じゃないの?」

「うん・・・全然・・・」

「全然って。ちょっと、雪子・・・?」

「ふーちゃんはね、これから先の私のことを心配してるんだと思う」

「えっ・・・?」

「だから、私とは近くもなく遠くもなくの、ただのメル友になろうとしてるんだと思うんだ」

「どういうことなの・・・?」

「偶然だったのかな?・・・それとも、必然だったのかな?」

「それって、もしかして夏樹さんとの再会の・・・?」

「うん・・・。裕子は、どっちだと思う・・・?」

「どっちって言われても・・・」

「お互いの再会が、知らないうちに、お互いの後悔まで一緒に連れて来ちゃった・・・」

「えっ・・・?」

「そのことを後悔したくても、心のどこかで後悔したくないって気持ちがふーちゃんにもあるのかな?」

後悔したくても、後悔したくない・・・か・・・。
そういう考え方って雪子らしいけど、っってか、でも、それって、どういう意味?

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

М女と三人の少年

浅野浩二
恋愛
SМ的恋愛小説。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

元妻

Rollman
恋愛
元妻との画像が見つかり、そして元妻とまた出会うことに。

処理中です...