愛して欲しいと言えたなら

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後悔

後悔・・・その14

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「でもさ、雪子の旦那が疑い始めてるって少しヤバくない?」

「たぶん、大丈夫だと思うけど」

「どうして・・・?」

「この間ね、翔太さんに訊かれたんだ」

「訊かれたって、メールのこと?」

「うん。たぶん、旦那さんにでも頼まれたんだと思うけど」

「うそ・・・?マジで?」

「マジで・・・」

「それで、雪子はなんて答えたの?」

「ただのお友達って答えたよ」

「それで納得したの・・・?」

「しなかったみたい・・・。ちょっとメール見せてよ!って言われちゃった!」

「あちゃ~・・・それでメール見せたの?」

「うん。見せたよ・・・」

「見せたよって・・・」

「そしたら納得したみたい・・・」

「納得した・・・?なんで・・・?」

「なんでって・・・だって、ふーちゃんって女だよ」

「いや・・・男だって・・・あっ、なるほど!そういうことね」

「そなのだ・・・」

「そういえば、夏樹さん女言葉だったわね」

「そ・そ・・・ふーちゃんが、女言葉の方が疑われないからって」

「よかったわね・・・。そういえば、どうしてスマホとかでメールとかしないの?」

「だって、スマホとかよく分かんないし・・・」

「分かんないって、私とはメールしてるじゃない?」

「う~ん・・・短い文面とかならなんとか出来るけど長くなるとダメみたい」

「そっか~。なるほど、雪子らしいわね」

「それに、スマホだとバレちゃう可能性が大かな?って、思うし」

「それじゃ電話とかは?しないの?」

「しないよ・・・」

「どうして・・・?」

「だって、ふーちゃんの声とか聞いちゃったら会いたくなるかもしれないし」

「会いたくなるかもって?雪子、言ってる意味ちゃんと理解してるの?」

「してるよ。だから、もしもしはしないんだよ」

いや・・・そうじゃないわよ、雪子?
夏樹さんの声を聞いたら会いたくなるっていう気持ちの方よ・・・。

声を聞いたら会いたくなるって・・・その意味が、どういうことなのか分かってるの?
雪子は、ミルクティーを飲み終えると少し微笑ながら言葉を口にした。

「でも、会いたいって思うのは、私だけ・・・。きっと、ふーちゃんは私に会いたいって思わないよ」

「えっ・・・?」

「なんとなくだけど、分かるんだ・・・」

「どうして・・・?」

「どうしても・・・」

「だって、去年、あんなに仲良かったじゃない?」

「あれは、ふーちゃんが私に合わせてくれただけだよ・・・。きっと・・・」

「まさか・・・だって、私にはそうは見えなかったわよ?」

「ねえ~裕子・・・」

「なに・・・?」

「私が、ふーちゃんのどこが好きだったか分かる?」

何気ないどこでもあるような会話のやりとりなのだろうが、裕子にとってはそうではなかった。
雪子が、自分のことをこんな風に話すことなど、今まで一度だってなかったのだから。

絶対に自分の心の中を言葉にしたことなんて、ただの一度だってなかった雪子だったはず。
夏樹さんと別れた時だって、ただ泣き続けるだけで、親友の私にさえ何も話してはくれなかったのに。

「裕子は、ふーちゃんのどんなところが好きだったの?」

「えっ・・・?私・・・?」

「うん・・・」

「そうね・・・優しいところかな・・・?」

「それだけ・・・?」

「それだけって言われても・・・う~ん・・・。あとは一緒にいて疲れないっていうか、そんな感じかしら?」

「ふーちゃん、優しいもんね」

「そういう雪子はどうなの?夏樹さんのどんなところが好きだったの?」

「聞きたい・・・?」

いや・・・聞きたいって・・・あのね・・・。
とはいえ、嫌いじゃないわ。最近の雪子の言葉遊びって・・・もしかして、好きかも。

「もちろん聞きたいわ・・・。というより、絶対!聞きたいわ!」

「ふふっ、そう言うと思ってた」

「で、雪子は夏樹さんのどんなところが好きだったの?」

「なんでも自分のことは2番目に考えるところが、今でも好き・・・」

・・・今でも・・・?

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