71 / 386
後悔
後悔・・・その11
しおりを挟む
そういう言い方って、どういう言い方よ?
あたしは別に普通に話してるつもりなんだけど、どうやら受け取る側に問題があるみたいね?
「あんたさ、この先も、ずっと、あたしを恨みながら生きていくつもりなの?」
「別に、そんなことなんて考えていないわよ」
「それじゃ、いつまで、あたしを恨み続けるつもりなの?」
「どうして、私には、そんな風に冷たい言い方をするの?」
私には・・・。やっぱりね。
年末のあの時のことが、よっぽどショックだったみたい。
ま~、確かに、それはそうよね。
なにせ、京子とすれ違った時に、あたしと腕を組んでいたのが、あの雪子だったんだから。
そりゃ~京子にしてみればショックもショック、大ショックだったってことはわかってはいたけど。
でも、まさか、雪子とのすれ違いが、京子をこんな風に動かすことになるとはね。
ちょっと驚いたってか、予想外っていうか、少し不思議な感じ。
旦那の方から離婚した妻に声をかけることはあっても、元妻の方からってのはあまり聞いた事ないし。
う~ん・・・京子のショックは想像以上だったってことかしら?
とは言っても、あたしにとっての雪子の存在っていうのは、京子も同じように思ってたわけだから、仕方がないって言えば仕方がないんだろうけど・・・。
「あんた、何か勘違いしてるんじゃない?」
「勘違いって、何よ?」
「ま~、別にいいけど・・・」
そう言って、夏樹がまた車のドアに手をかけようとすると
「ちょっと・・・」
「今のあんたとは、まだ、話さない方がいいんじゃないかしら?」
「どういう意味よ・・・?」
「いや・・・その前に、どうして、あんたは女言葉のあたしを普通に受け入れてるのよ?」
「えっ・・・?」
「えっ・・・?じゃないでしょ?普通は軽蔑のまなざしの一つも向けてくれるもんじゃないの?」
「軽蔑されたいの・・・?」
京子は少しうつむきながら小声でつぶやくと、上目使いで夏樹を見ながらまたクスッと笑った。
う~ん・・・どうも、話がかみ合ってないわね?
「そういえばさ、あんた、子供たちとは仲良くやってたんじゃなかったの?」
「別に、あなたには関係ないでしょ?」
「あら?ずいぶんと冷たい言い方をするのね?」
「何よ・・・?子供たちを捨てて勝手に出て行ったのはあなたの方でしょ?」
「ふふっ・・・なるほどね・・・。そういうことなのね」
「そういうことって、何よ・・・?」
「違うでしょ・・・?」
「えっ・・・?」
「そこじゃなくて、その前に、ふふっ・・・て、女笑いしたあたしに疑問の一つも持つ方が先でしょ?」
「だって、そう言われても、違和感ないわよ?」
「うそ・・・?」
「うそじゃないわよ。あなたって、どこから見ても女の人にしか見えないわよ」
「ま~ね。あたしって元々が二枚目だったからね」
「バカみたい、1人で勝手に言ってなさいよ・・・」
「ふふっ・・・でも、10年ぶりにあたしと話をしてどうかしら?少しは肩の荷が下りたんじゃない?」
「なに、それ・・・?」
「あらら・・・。それとも、余計に憎しみが沸いてきちゃった?」
「当たり前でしょ?よりにもよってあの人と歩いていたなんて、しかも仲良く腕なんか組んじゃってさ、あんなの見せられてカチンとこないわけがないでしょ?」
「やっぱり、そこにくるのね?」
「どういうことよ・・・?」
「あんたってさ、昔から、あたしに対しての焼きもちってすごかったもんね?」
「そんなわけないでしょ?それとも、何?あれってわざとだったの?」
「そうよ。そんなの当たり前でしょ?あんたは何だと思ってたのよ?」
「ずいぶんひどいことをするのね?」
「そうよ。だから、もう、あたしのことなんか忘れちゃいなさい?そうしないと、あんたは、いつまでたっても前に進めないわよ」
「そんなこと、あなたに言われる筋合いはないわよ」
「あるわよ・・・。あたし以外の人にはないけど、あたしにだけはあるわよ」
「は~?何を言ってるの?」
「この際だから、はっきり言ってあげるけど、あんたがあたしのことが嫌いでも、あたしはあんたのことが嫌いにはなれないってことよ、分かった?」
「えっ・・・?」
「少しは頭を冷やして考えなさい・・・。そうしないと本当に子供達にまで見捨てられちゃうわよ」
そう言って夏樹は車のドアを開けて乗り込むと、そのまま走り去ってしまった。
京子は、あまりに意外な、そして、自分の本心をいう時の強い口調で話す夏樹の言葉に、
何も言えないまま、走り去っていく夏樹の車のテールランプを憎悪にも似た鋭い目つきで、じっと、睨みつけていた。
あたしは別に普通に話してるつもりなんだけど、どうやら受け取る側に問題があるみたいね?
「あんたさ、この先も、ずっと、あたしを恨みながら生きていくつもりなの?」
「別に、そんなことなんて考えていないわよ」
「それじゃ、いつまで、あたしを恨み続けるつもりなの?」
「どうして、私には、そんな風に冷たい言い方をするの?」
私には・・・。やっぱりね。
年末のあの時のことが、よっぽどショックだったみたい。
ま~、確かに、それはそうよね。
なにせ、京子とすれ違った時に、あたしと腕を組んでいたのが、あの雪子だったんだから。
そりゃ~京子にしてみればショックもショック、大ショックだったってことはわかってはいたけど。
でも、まさか、雪子とのすれ違いが、京子をこんな風に動かすことになるとはね。
ちょっと驚いたってか、予想外っていうか、少し不思議な感じ。
旦那の方から離婚した妻に声をかけることはあっても、元妻の方からってのはあまり聞いた事ないし。
う~ん・・・京子のショックは想像以上だったってことかしら?
とは言っても、あたしにとっての雪子の存在っていうのは、京子も同じように思ってたわけだから、仕方がないって言えば仕方がないんだろうけど・・・。
「あんた、何か勘違いしてるんじゃない?」
「勘違いって、何よ?」
「ま~、別にいいけど・・・」
そう言って、夏樹がまた車のドアに手をかけようとすると
「ちょっと・・・」
「今のあんたとは、まだ、話さない方がいいんじゃないかしら?」
「どういう意味よ・・・?」
「いや・・・その前に、どうして、あんたは女言葉のあたしを普通に受け入れてるのよ?」
「えっ・・・?」
「えっ・・・?じゃないでしょ?普通は軽蔑のまなざしの一つも向けてくれるもんじゃないの?」
「軽蔑されたいの・・・?」
京子は少しうつむきながら小声でつぶやくと、上目使いで夏樹を見ながらまたクスッと笑った。
う~ん・・・どうも、話がかみ合ってないわね?
「そういえばさ、あんた、子供たちとは仲良くやってたんじゃなかったの?」
「別に、あなたには関係ないでしょ?」
「あら?ずいぶんと冷たい言い方をするのね?」
「何よ・・・?子供たちを捨てて勝手に出て行ったのはあなたの方でしょ?」
「ふふっ・・・なるほどね・・・。そういうことなのね」
「そういうことって、何よ・・・?」
「違うでしょ・・・?」
「えっ・・・?」
「そこじゃなくて、その前に、ふふっ・・・て、女笑いしたあたしに疑問の一つも持つ方が先でしょ?」
「だって、そう言われても、違和感ないわよ?」
「うそ・・・?」
「うそじゃないわよ。あなたって、どこから見ても女の人にしか見えないわよ」
「ま~ね。あたしって元々が二枚目だったからね」
「バカみたい、1人で勝手に言ってなさいよ・・・」
「ふふっ・・・でも、10年ぶりにあたしと話をしてどうかしら?少しは肩の荷が下りたんじゃない?」
「なに、それ・・・?」
「あらら・・・。それとも、余計に憎しみが沸いてきちゃった?」
「当たり前でしょ?よりにもよってあの人と歩いていたなんて、しかも仲良く腕なんか組んじゃってさ、あんなの見せられてカチンとこないわけがないでしょ?」
「やっぱり、そこにくるのね?」
「どういうことよ・・・?」
「あんたってさ、昔から、あたしに対しての焼きもちってすごかったもんね?」
「そんなわけないでしょ?それとも、何?あれってわざとだったの?」
「そうよ。そんなの当たり前でしょ?あんたは何だと思ってたのよ?」
「ずいぶんひどいことをするのね?」
「そうよ。だから、もう、あたしのことなんか忘れちゃいなさい?そうしないと、あんたは、いつまでたっても前に進めないわよ」
「そんなこと、あなたに言われる筋合いはないわよ」
「あるわよ・・・。あたし以外の人にはないけど、あたしにだけはあるわよ」
「は~?何を言ってるの?」
「この際だから、はっきり言ってあげるけど、あんたがあたしのことが嫌いでも、あたしはあんたのことが嫌いにはなれないってことよ、分かった?」
「えっ・・・?」
「少しは頭を冷やして考えなさい・・・。そうしないと本当に子供達にまで見捨てられちゃうわよ」
そう言って夏樹は車のドアを開けて乗り込むと、そのまま走り去ってしまった。
京子は、あまりに意外な、そして、自分の本心をいう時の強い口調で話す夏樹の言葉に、
何も言えないまま、走り去っていく夏樹の車のテールランプを憎悪にも似た鋭い目つきで、じっと、睨みつけていた。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説


白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。



【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

融資できないなら離縁だと言われました、もちろん快諾します。
音爽(ネソウ)
恋愛
無能で没落寸前の公爵は富豪の伯爵家に目を付けた。
格下ゆえに逆らえずバカ息子と伯爵令嬢ディアヌはしぶしぶ婚姻した。
正妻なはずが離れ家を与えられ冷遇される日々。
だが伯爵家の事業失敗の噂が立ち、公爵家への融資が停止した。
「期待を裏切った、出ていけ」とディアヌは追い出される。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる