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後悔
後悔・・・その10
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おいおい・・・。10年ぶりの一発目の言葉が・・・それ?
「別に無視しなくても・・・」って言われても、それは言いがかりってもんじゃないかしら?
大体にして、あたしのことを忌み嫌って無視していたのはあんたの方でしょ?
あっ・・・違った・・・。
あたしが女になったから気がつかなかったんだっだわ・・・。やだわ~もう~。
とはいえ、あたしのことを忌み嫌っていたという点においては正解よね?
それはそうと、あんたってずいぶんと嫌味な顔になっちゃったわね。
あたしと一緒にいた頃は、もっと優しい顔立ちだったはずなのにさ。
あたしと結婚するまで務めていた会社じゃ、社員たちから高嶺の花、な~んて言われたんじゃなかったっけ?
10年も人を憎み続けながら生きているから、せっかくの美人も台無しじゃない。まったく。
「ずいぶんと景気が良さそうなのね?」
「そっち・・・?」
「えっ・・・?」
「こっちじゃななくて、こっちなの?」
夏樹は自分を指さしてから、乗ってきた車を指さしながら少し微笑んだ。
そんな夏樹の仕草が可笑しかったのか、京子もクスッと笑ってしまった。
「ふふっ。やっぱり、あんたは笑った顔の方が可愛いわよ」
夏樹にそう言われて京子は少しまずいと思ったのか、また、元の渋い顔つきに戻った。
「誰のせいで、こんな風になったと思ってるのよ?」
「ま~だ、そんなことを根に持ってるの?」
「そんなことって、ずいぶんと他人事みたいに言うのね?」
「いつまでもそんな顔してると、子供たちにも見捨てられちゃうわよ」
「子供たちのことは、あなたには関係ないことでしょ?」
「そうムキになるところを見ると、もしかしてもしかしたりして?」
京子は、思いもよらない確信を夏樹に当てられてしまって返す言葉が見つからなかった。
「それじゃ~ね・・・」
そう言って夏樹がドアに手をかけようとすると、京子が「ちょっと待ってよ」と言葉を続けた。
「なに?まだ、何か用があるの?」
「ずいぶんと冷たいのね?」
いや・・・あの・・・それはちと違うんじゃ・・・と、思うあたしは正しい。
もともとは、いきなり手のひらを返したみたいに冷たくなったのは、あんたの方じゃなかったかしら?
ま~、確かに悪いとは思ったわよ。あたしが勝手にあんたのクレジットカードを使ったんだからさ。
でも、だからって即、あたしに向かって「人生の失敗作」って、少しひどすぎない?
勝手に使ったことが判明する数秒前までは、普通に話をしていたのにさ。
いきなり人を軽蔑するような目であたしを見てたのは、あんたの方だったはずよ?
だから、あたしは「日陰の女」やってたっていうのに・・・。う~ん・・・なんか変だわ。
何か話したいくせに、何を話したらいいのか分からないみたいな様子の京子にひとつ訊いてみた。
「あのさ、ひとつ訊いてもいいかしら?」
「なに・・・?」
「これ・・・?」
夏樹はそう言いながら、女性の恰好をしている自分を指さしてみた。
すると、また京子がクスッと笑った・・・。
「やっぱり可愛いわね。あんたって昔から笑った顔が可愛いのよね」
「関係ないでしょ?」
「いや、関係あるわよ!それも大ありよ!」
「どういうことよ・・・?」
「普通わさ、元の旦那が女性の恰好して街を歩いていたら文句の一つも言うもんなんじゃないかしら?」
「だって、似合ってるわよ」
おおお===い!そこは素直になるところじゃないでしょ===が?
「そんな恰好してても、もしかして少し後ろめたいとかって・・・?」
「それはないわね・・・」
「ふ~ん・・・でも、いつからそんな恰好するようになったの?」
「もう~5年くらいになるから?」
「それで、突然、あなたを見かけなくなったってわけね?」
「あら?あたしを探してたの?」
「そういうわけじゃないけど・・・。どこかに引っ越したのかなって思ったから」
「ふ~ん・・・どこかに引っ越しちゃった方が、あんたにとっては良かったのかしら?」
「どうして、私には、そういう言い方をするの?」
「あい・・・?」
そこって、絡むとなの・・・?
「別に無視しなくても・・・」って言われても、それは言いがかりってもんじゃないかしら?
大体にして、あたしのことを忌み嫌って無視していたのはあんたの方でしょ?
あっ・・・違った・・・。
あたしが女になったから気がつかなかったんだっだわ・・・。やだわ~もう~。
とはいえ、あたしのことを忌み嫌っていたという点においては正解よね?
それはそうと、あんたってずいぶんと嫌味な顔になっちゃったわね。
あたしと一緒にいた頃は、もっと優しい顔立ちだったはずなのにさ。
あたしと結婚するまで務めていた会社じゃ、社員たちから高嶺の花、な~んて言われたんじゃなかったっけ?
10年も人を憎み続けながら生きているから、せっかくの美人も台無しじゃない。まったく。
「ずいぶんと景気が良さそうなのね?」
「そっち・・・?」
「えっ・・・?」
「こっちじゃななくて、こっちなの?」
夏樹は自分を指さしてから、乗ってきた車を指さしながら少し微笑んだ。
そんな夏樹の仕草が可笑しかったのか、京子もクスッと笑ってしまった。
「ふふっ。やっぱり、あんたは笑った顔の方が可愛いわよ」
夏樹にそう言われて京子は少しまずいと思ったのか、また、元の渋い顔つきに戻った。
「誰のせいで、こんな風になったと思ってるのよ?」
「ま~だ、そんなことを根に持ってるの?」
「そんなことって、ずいぶんと他人事みたいに言うのね?」
「いつまでもそんな顔してると、子供たちにも見捨てられちゃうわよ」
「子供たちのことは、あなたには関係ないことでしょ?」
「そうムキになるところを見ると、もしかしてもしかしたりして?」
京子は、思いもよらない確信を夏樹に当てられてしまって返す言葉が見つからなかった。
「それじゃ~ね・・・」
そう言って夏樹がドアに手をかけようとすると、京子が「ちょっと待ってよ」と言葉を続けた。
「なに?まだ、何か用があるの?」
「ずいぶんと冷たいのね?」
いや・・・あの・・・それはちと違うんじゃ・・・と、思うあたしは正しい。
もともとは、いきなり手のひらを返したみたいに冷たくなったのは、あんたの方じゃなかったかしら?
ま~、確かに悪いとは思ったわよ。あたしが勝手にあんたのクレジットカードを使ったんだからさ。
でも、だからって即、あたしに向かって「人生の失敗作」って、少しひどすぎない?
勝手に使ったことが判明する数秒前までは、普通に話をしていたのにさ。
いきなり人を軽蔑するような目であたしを見てたのは、あんたの方だったはずよ?
だから、あたしは「日陰の女」やってたっていうのに・・・。う~ん・・・なんか変だわ。
何か話したいくせに、何を話したらいいのか分からないみたいな様子の京子にひとつ訊いてみた。
「あのさ、ひとつ訊いてもいいかしら?」
「なに・・・?」
「これ・・・?」
夏樹はそう言いながら、女性の恰好をしている自分を指さしてみた。
すると、また京子がクスッと笑った・・・。
「やっぱり可愛いわね。あんたって昔から笑った顔が可愛いのよね」
「関係ないでしょ?」
「いや、関係あるわよ!それも大ありよ!」
「どういうことよ・・・?」
「普通わさ、元の旦那が女性の恰好して街を歩いていたら文句の一つも言うもんなんじゃないかしら?」
「だって、似合ってるわよ」
おおお===い!そこは素直になるところじゃないでしょ===が?
「そんな恰好してても、もしかして少し後ろめたいとかって・・・?」
「それはないわね・・・」
「ふ~ん・・・でも、いつからそんな恰好するようになったの?」
「もう~5年くらいになるから?」
「それで、突然、あなたを見かけなくなったってわけね?」
「あら?あたしを探してたの?」
「そういうわけじゃないけど・・・。どこかに引っ越したのかなって思ったから」
「ふ~ん・・・どこかに引っ越しちゃった方が、あんたにとっては良かったのかしら?」
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