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後悔
後悔・・・その8
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車の後部座席の窓から見える街の景色は、正月らしく、どこもかしこも雪が積もっている。
昨日、海が見える遊歩道を夏樹と腕を組んで歩いていた自分が今も信じられないという感覚の中
裕子は、迎えに来た旦那の車の中で、昨日、夏樹と過ごした時間を思い出しながら雪景色を見ていた。
「今年は帰るのが早いんだね?」
「だから・・・?」
「いや・・・なにも正月から突っかかんなくてもいいと思うんだけど・・・」
同じように4本のタイヤが付いている車だというのに、
どうして、こうも見える景色が違うのかしら?
夏樹さんの車から見える景色は、柔らかくて、暖かいのに、
旦那の車から見える景色って、どうして、こうも私を現実の世界へと引き戻すのかしらね?
「そこ、右に曲がってくれる?」
「右にって、どこかによっていくのかい?」
「あんたに関係ないでしょ?」
あ~あ・・な~んかさ、旦那といる時の私ってまるで別人だわ・・・。
裕子は後部座席から右、左にそこから曲がってと、
まるでタクシーにでも乗って、目的地までの道のりを指示しているみたいに、
旦那に指示を出していた。・・・しかも、命令調である。
「こっちの道に何かあるのかい?なんか、田んぼとか山しか見えないんだけど」
「ねえ、今、何時・・・?」
「今は・・・う~んと、午後2時を少し回った頃かな?」
「確か、今日は、1月3日よね?」
「そうだよ。だから、今年は帰るのがずいぶん早いな~って思ってたんだよ」
「そうね~・・・いつもなら6日頃までこっちにいるから・・・って、なに?私が邪魔って言いたいの?」
「いや・・・そうじゃなくて。なにかあったのかな?って、ちょっと思ってさ」
「いいのよ。昨日のうちに浮気してきたから、あとは帰るだけってこと!」
「あはは・・・。すぐ、そうやって冗談を言うんだから」
「あっ・・・そこから右に曲がってちょうだい」
「はいはい・・・」
「ここからは、ゆっくり走って頂戴よ」
「ゆっくりって・・・この通りに何かあるのかい?」
「何にもないわよ。ただ、ここの景色が昔から好きなだけ」
「そうなんだ。でも、確かにいい景色だね。街外れにこんな良い場所があるとは思わなかったよ」
国道というわけではないのだが、道幅が広くて真っ直ぐに伸びていく道路から見える景色は、
右に視線を移せば田んぼがあたり一面い広がっていて、
左に視線を移せは小高い丘のような感じの山が道に沿って続いている。
家と家が密集しているわけもなく、かといって家と家の感覚が遠すぎるわけでもなく、
どこか懐かしく思えてくるのである。
少し行くと左側に郵便局が見えてきた。
郵便局を通り過ぎると間もなく左に曲がる道が見えてきた。
ちょうど車が一台通れるくらいの道幅で少し上り坂になっている。
今、裕子たちが走っている道路から30mくらいだろうか?
少し高いところに一軒の住宅が見えてきた。
その住宅は平屋なのだが、少し大きくて、その前は駐車場だろうか?
見ようによっては広い庭のようにも見えるその場所には、見覚えのある車が止まっていた。
いるのね・・・夏樹さん。今、そこにいるのね・・・。
昨日は帰りが少し遅くなったので、夏樹の住んでいる住宅が暗くてよく見えなかったのだが、
裕子は帰る前に、明るい時に夏樹の住んでいる住宅を、もう一度、見ておきたかったのである。
でも、夏樹さんの家、雪子が見たら、きっと、喜ぶのかしら?
夏樹さんは家の中には入れてくれなかったけど、ヘッドライトから照らし出された縁側には、
沢山のぬいぐるみが飾ってあったし、その真ん中には小さなテーブルと椅子。
ちょっと不思議な景色だったけど、きっと雪子には似合うのかもしれないわね。
「灯りがついていないみたいだけど、ホントに一人で暮らしてるのね?」
「そんなことないわよ、ちゃんといるわよ!ぬいぐるみさんたちが」
「ぬいぐるみたち?」
「家の中には、もっと生息してるわよ」
「生息してる・・・の?、ぬいぐるみが・・・?」
「そうよ・・・。だから、毎日が賑やかなのよ」
「ふふっ・・・。夏樹さん、変わったわね・・・」
「まあ~女になったからね」
「そっち・・・?」
「そう・・・そっち・・・」
でも、家の中には入れてくれなかった・・・。
もう遅いからって・・・。それに、あんたは人妻なんだからって・・・。
夏樹さんは、いつから、そんなに真面目になっちゃったのかしら・・・?
それとも、私だったから・・・。?もし、雪子だったなら夏樹さんはなんて言ったの・・・?
夏樹の家の前を、ゆっくり通り過ぎると・・・
「もういいわ!高速に乗って早く帰るわよ」と、裕子は運転している旦那に命令?するのだった。
昨日、海が見える遊歩道を夏樹と腕を組んで歩いていた自分が今も信じられないという感覚の中
裕子は、迎えに来た旦那の車の中で、昨日、夏樹と過ごした時間を思い出しながら雪景色を見ていた。
「今年は帰るのが早いんだね?」
「だから・・・?」
「いや・・・なにも正月から突っかかんなくてもいいと思うんだけど・・・」
同じように4本のタイヤが付いている車だというのに、
どうして、こうも見える景色が違うのかしら?
夏樹さんの車から見える景色は、柔らかくて、暖かいのに、
旦那の車から見える景色って、どうして、こうも私を現実の世界へと引き戻すのかしらね?
「そこ、右に曲がってくれる?」
「右にって、どこかによっていくのかい?」
「あんたに関係ないでしょ?」
あ~あ・・な~んかさ、旦那といる時の私ってまるで別人だわ・・・。
裕子は後部座席から右、左にそこから曲がってと、
まるでタクシーにでも乗って、目的地までの道のりを指示しているみたいに、
旦那に指示を出していた。・・・しかも、命令調である。
「こっちの道に何かあるのかい?なんか、田んぼとか山しか見えないんだけど」
「ねえ、今、何時・・・?」
「今は・・・う~んと、午後2時を少し回った頃かな?」
「確か、今日は、1月3日よね?」
「そうだよ。だから、今年は帰るのがずいぶん早いな~って思ってたんだよ」
「そうね~・・・いつもなら6日頃までこっちにいるから・・・って、なに?私が邪魔って言いたいの?」
「いや・・・そうじゃなくて。なにかあったのかな?って、ちょっと思ってさ」
「いいのよ。昨日のうちに浮気してきたから、あとは帰るだけってこと!」
「あはは・・・。すぐ、そうやって冗談を言うんだから」
「あっ・・・そこから右に曲がってちょうだい」
「はいはい・・・」
「ここからは、ゆっくり走って頂戴よ」
「ゆっくりって・・・この通りに何かあるのかい?」
「何にもないわよ。ただ、ここの景色が昔から好きなだけ」
「そうなんだ。でも、確かにいい景色だね。街外れにこんな良い場所があるとは思わなかったよ」
国道というわけではないのだが、道幅が広くて真っ直ぐに伸びていく道路から見える景色は、
右に視線を移せば田んぼがあたり一面い広がっていて、
左に視線を移せは小高い丘のような感じの山が道に沿って続いている。
家と家が密集しているわけもなく、かといって家と家の感覚が遠すぎるわけでもなく、
どこか懐かしく思えてくるのである。
少し行くと左側に郵便局が見えてきた。
郵便局を通り過ぎると間もなく左に曲がる道が見えてきた。
ちょうど車が一台通れるくらいの道幅で少し上り坂になっている。
今、裕子たちが走っている道路から30mくらいだろうか?
少し高いところに一軒の住宅が見えてきた。
その住宅は平屋なのだが、少し大きくて、その前は駐車場だろうか?
見ようによっては広い庭のようにも見えるその場所には、見覚えのある車が止まっていた。
いるのね・・・夏樹さん。今、そこにいるのね・・・。
昨日は帰りが少し遅くなったので、夏樹の住んでいる住宅が暗くてよく見えなかったのだが、
裕子は帰る前に、明るい時に夏樹の住んでいる住宅を、もう一度、見ておきたかったのである。
でも、夏樹さんの家、雪子が見たら、きっと、喜ぶのかしら?
夏樹さんは家の中には入れてくれなかったけど、ヘッドライトから照らし出された縁側には、
沢山のぬいぐるみが飾ってあったし、その真ん中には小さなテーブルと椅子。
ちょっと不思議な景色だったけど、きっと雪子には似合うのかもしれないわね。
「灯りがついていないみたいだけど、ホントに一人で暮らしてるのね?」
「そんなことないわよ、ちゃんといるわよ!ぬいぐるみさんたちが」
「ぬいぐるみたち?」
「家の中には、もっと生息してるわよ」
「生息してる・・・の?、ぬいぐるみが・・・?」
「そうよ・・・。だから、毎日が賑やかなのよ」
「ふふっ・・・。夏樹さん、変わったわね・・・」
「まあ~女になったからね」
「そっち・・・?」
「そう・・・そっち・・・」
でも、家の中には入れてくれなかった・・・。
もう遅いからって・・・。それに、あんたは人妻なんだからって・・・。
夏樹さんは、いつから、そんなに真面目になっちゃったのかしら・・・?
それとも、私だったから・・・。?もし、雪子だったなら夏樹さんはなんて言ったの・・・?
夏樹の家の前を、ゆっくり通り過ぎると・・・
「もういいわ!高速に乗って早く帰るわよ」と、裕子は運転している旦那に命令?するのだった。
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