愛して欲しいと言えたなら

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後悔

後悔・・・その5

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「そういえば、夏樹さんって何してるの?」

「あたし?車を運転してるじゃない」

「そうじゃなくて、お仕事のことよ」

「お仕事・・・?あたしの・・・?」

「だって、女の格好とかしてるから」

「な~に?・・・もしかして、夜のお仕事って?」

「やっぱり・・・」

「やっぱりって、なによ?」

「だって、やっぱり、そうじゃないかな~って?」

「どうして・・・?」

「どうしてって、普通に考えて、女装してる人を雇ってくれるところなんて、そうそうないでしょ?」

「そうそう!ってか、田舎じゃ皆無だわね」

「そうよね・・・」

ちょっと待って!ちょっと待って!ということは・・・もしかして、あっちの方もってこと?
うっそ!・・・。それって、ちょっと信じられないんだけど・・・。

でも、それじゃ夏樹さんってどっちなのかしら?やっぱり受け身の方ってことはないわよね?
いえ・・・分かんないわよ。そういえば、夏樹さんって昔からぬいぐるみとか好きだったし。
ってことは・・・受け身ってこと?・・・びぇ===ってか!マジ?

「あんた、さっきから、何を妄想してるの?」

「えっ・・・?いや~、それは、その~なんていいますか・・・」

「あははっ!大体、みんな、同じような妄想をするのよね」

「はい・・・?」

「でも、あたしとしては、どっちかっていうと嫌いじゃないし。攻めるのって本当は昔からあんまり好きじゃないのよね」

「夏樹さんが攻める方じゃなくて、受けの方って、ちょっと想像出来ないわ・・・」

ってか・・マジなの・・・?
ううう・・・その時の夏樹さんって、いったい、どんな顔してしてるのかしら・・・?

「あんた、さっきから変な顔してるけど。やっぱり、あたしって、そんな風に見えないのかしら?」

「見えない!見えない!無理!絶対に無理!1ミリも無理!」

「そうかしら?あたしとしては、けっこう気に入ってるのよね~」

「気に入っている・・・?というか、それよりも、雪子は知ってるの?」

「なにを・・・?」

「なにをって、今の夏樹さんのことよ」

「知ってるもなにも、年末に会ったじゃないのよ?」

「それじゃ、雪子にも話したの?」

「なにを・・・?」

「だから、夏樹さんが受け身・・・というか、そういうことよ」

「知らないんじゃないかしら?別に、そのことは何も言ってないから」

「よかった~・・・。でも、雪子には、どう説明するの?」

「どうって?何を説明するのよ?」

「だから、夏樹さんのお仕事の延長線のことよ」

「あたしの仕事の延長線・・・?」

「んもう~・・・。だから、夏樹さんが男の人とあれしてってこと!」

「あい・・・?あたし、別に男に興味なんてないわよ?」

「えええ===っ!じゃあ、お相手は女の人なの?」

「あんた、さっきから、なにを言ってるのよ?」

「なにって、だから、夏樹さんのお仕事のことよ」

「ん・・・?あたしのお仕事って、小説を書くことよ?」

「えっ・・・?」

「あんた、さっきから何を妄想してたの?」

「えっ・・・いや・・・あの・・・なんでもありません・・・。はい。」

「あんた、何かエッチなことでも考えてたんじゃないの?受け身とかなんとかって言ってたから」

「いえ・・・そのことは訊かないでください・・・はい。」

「あはは!でもま~、そっちを妄想する人もいるかもしれないわね」

よね~よね~そうよね~。私がしちゃった妄想って間違ってないわよね?
普通は、誰でも、そっちの方を考えちゃうわよね?あ~びっくりしたわ・・・もう。

「あれ、ということは、夏樹さんは小説家ってことなの?」

「違わよ。別に、小説家とかってわけじゃないわよ」

「でも、さっき小説を書いてるって・・・」

「あたしが書いてるのは電子書籍の方なのよ」

「電子書籍って、携帯小説みたいな?」

「まあ~、似たような感じかしら?」

「どんな小説を書いてるの?」

「いま書いてるのは「猫の雪遊び」って小説よ」

「恋愛小説なの・・・?」

「ちょっと違うかしら。あたしが死んだ後の物語を書いてるのよ」

夏樹さんが死んだ後・・・?
裕子は、夏樹の意外な小説の内容に、なぜか、あの時の、雪子の言葉を思い出していた。
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