62 / 386
後悔
後悔・・・その2
しおりを挟む
「でもね、それだけで、なんでも割り切れるわけでもないのよね」
「えっ・・・?」
「世の中には、それすら決めることが許されない人たちもいるの」
「どういうこと・・・?」
「生まれた時から病気だったり、幼い時に重い病気になってしまったり。だから、あたしなんかは、ただの甘ったれた人間よね」
「えっ・・・?」
「そのくせ、そんな人たちの不幸を、自分の生きる糧にしてる自分がいることが許せなくなる時があるの」
何を、言ってるの・・・?
「でもね、世の中って矛盾してることが多いけど、その中でも納得が出来ない矛盾もあるわ」
「世の中の矛盾・・・?」
「この国の中でも貧困とか溢れてるでしょ?そして、その貧困から親が幼い子供の命を奪ってしまったり」
「うん。この間もニュースで言ってたわ」
「そして勝ち組と言われる偽善者たちがいる。いわいる事業や仕事で成功した人たちね」
「うん・・・」
「でもね、その人たちは貧困に対して、それを利用して自分を正義とは決して言わないのよね」
「うん・・・」
「でもね、政治家たちはどうかしら?」
「政治家・・・?」
「そう、世界中で貧困にあえいでいる人たちやお金がなくて病気を治せなくて死んでいく子供たち、それは、この国の中でも同じようなことが言われてるわね」
「うん、それなら分かる。でも、それと政治家と、どう関係があるの?」
「政治家ってね、貧困にあえいでいる人たちに手を差し伸べるようなことを言ってるでしょ?」
「うん、格差社会とか待機児童とか賃金とかってこと?」
「それもあるわね。ようするに、困ってる人に対して自分は良い人なんだよと言いながら、高級レストランで高級料理を食べながら、それを口にするのよね」
「でも、それは政治家に限ったことじゃないんじゃないの?」
「違うわね。貧困ということを利用して勝ち組になろうとするのは政治家だけなのよ」
「それじゃ、大企業の社長とか芸能人とかはどうなの?」
「大企業の社長にしろ、芸能人にしろ、貧困問題をマニフェストにして今のお仕事をしてないでしょ?」
「よく分かんないけど・・・」
「ってか、ずいぶんと話が脱線しちゃったわね」
「ふふっ・・・夏樹さんは昔からそうよ」
「ん?もう夏樹さんに戻っちゃったの?」
「あっ・・・ごめんなさい・・・」
そんな人たちの不幸を自分の生きる糧にしてる自分がいることが許せなくなる・・・。
夏樹さんは、今日まで、いったい、どんな人生を送ってきたの?
いったい、どんな人生を送ってきたら、そんな考え方が出来るようになるの?
「夏樹・・・さん・・・あっ、まただ・・・」
「あはは・・・」
「それじゃ・・・夏樹。うん、言えたわ!さっき言ってた人の不幸を自分の生きる糧にしてるって?」
「そのこと・・・。別に、そんなに深い意味があるわけじゃないのよ」
「すぐ、そうやって話をはぐらかすんだから・・・」
「あんた、昔よりも、あたしの考えてることが分かるようになったみたいね?」
「昔みたいに抱かれることを求めようとしないからかも・・・」
「それはそれで、ずいぶんと意味深な感じがするけど?」
「別にそんなわけじゃないけど。でも、その分、客観的に考えることが出来るようになったのかも」
「ふふっ・・・確かにあんたの言う通り、今のあたしにとってはそのことが何よりも辛いのかもしれないわ」
「でも、どうして、そんな風に考えるようになったの?」
「そうね、意味は全然違うけど感情的には同じことがあるのよ」
「感情的に同じこと・・・?」
「そう思ってしまうことから逃れることが出来ない悲しさって言ったらいいかしら?」
「どんなことなの・・・?」
「自分勝手な感情なのかもしれないけど、自分が別れたくないからじゃなくて、相手のことを考えてしまうと別れることが出来なくなってしまう。すると、もう1人の自分がね、お前はいったい何様のつもりだ!って言ってくるんだけど。それでも、相手が悲しむ姿を見たくないって思ってしまう・・・。それが、あたしが離婚をする時期を間違えてしまった理由なのよ」
夏樹は、そう言って、少し寂しそうな表情を浮かべると、ポケットから取り出して煙草に火をつけようとした。
「ちょっと、夏樹さん・・・。ここ禁煙よ!」
「あっ・・・」
「えっ・・・?」
「世の中には、それすら決めることが許されない人たちもいるの」
「どういうこと・・・?」
「生まれた時から病気だったり、幼い時に重い病気になってしまったり。だから、あたしなんかは、ただの甘ったれた人間よね」
「えっ・・・?」
「そのくせ、そんな人たちの不幸を、自分の生きる糧にしてる自分がいることが許せなくなる時があるの」
何を、言ってるの・・・?
「でもね、世の中って矛盾してることが多いけど、その中でも納得が出来ない矛盾もあるわ」
「世の中の矛盾・・・?」
「この国の中でも貧困とか溢れてるでしょ?そして、その貧困から親が幼い子供の命を奪ってしまったり」
「うん。この間もニュースで言ってたわ」
「そして勝ち組と言われる偽善者たちがいる。いわいる事業や仕事で成功した人たちね」
「うん・・・」
「でもね、その人たちは貧困に対して、それを利用して自分を正義とは決して言わないのよね」
「うん・・・」
「でもね、政治家たちはどうかしら?」
「政治家・・・?」
「そう、世界中で貧困にあえいでいる人たちやお金がなくて病気を治せなくて死んでいく子供たち、それは、この国の中でも同じようなことが言われてるわね」
「うん、それなら分かる。でも、それと政治家と、どう関係があるの?」
「政治家ってね、貧困にあえいでいる人たちに手を差し伸べるようなことを言ってるでしょ?」
「うん、格差社会とか待機児童とか賃金とかってこと?」
「それもあるわね。ようするに、困ってる人に対して自分は良い人なんだよと言いながら、高級レストランで高級料理を食べながら、それを口にするのよね」
「でも、それは政治家に限ったことじゃないんじゃないの?」
「違うわね。貧困ということを利用して勝ち組になろうとするのは政治家だけなのよ」
「それじゃ、大企業の社長とか芸能人とかはどうなの?」
「大企業の社長にしろ、芸能人にしろ、貧困問題をマニフェストにして今のお仕事をしてないでしょ?」
「よく分かんないけど・・・」
「ってか、ずいぶんと話が脱線しちゃったわね」
「ふふっ・・・夏樹さんは昔からそうよ」
「ん?もう夏樹さんに戻っちゃったの?」
「あっ・・・ごめんなさい・・・」
そんな人たちの不幸を自分の生きる糧にしてる自分がいることが許せなくなる・・・。
夏樹さんは、今日まで、いったい、どんな人生を送ってきたの?
いったい、どんな人生を送ってきたら、そんな考え方が出来るようになるの?
「夏樹・・・さん・・・あっ、まただ・・・」
「あはは・・・」
「それじゃ・・・夏樹。うん、言えたわ!さっき言ってた人の不幸を自分の生きる糧にしてるって?」
「そのこと・・・。別に、そんなに深い意味があるわけじゃないのよ」
「すぐ、そうやって話をはぐらかすんだから・・・」
「あんた、昔よりも、あたしの考えてることが分かるようになったみたいね?」
「昔みたいに抱かれることを求めようとしないからかも・・・」
「それはそれで、ずいぶんと意味深な感じがするけど?」
「別にそんなわけじゃないけど。でも、その分、客観的に考えることが出来るようになったのかも」
「ふふっ・・・確かにあんたの言う通り、今のあたしにとってはそのことが何よりも辛いのかもしれないわ」
「でも、どうして、そんな風に考えるようになったの?」
「そうね、意味は全然違うけど感情的には同じことがあるのよ」
「感情的に同じこと・・・?」
「そう思ってしまうことから逃れることが出来ない悲しさって言ったらいいかしら?」
「どんなことなの・・・?」
「自分勝手な感情なのかもしれないけど、自分が別れたくないからじゃなくて、相手のことを考えてしまうと別れることが出来なくなってしまう。すると、もう1人の自分がね、お前はいったい何様のつもりだ!って言ってくるんだけど。それでも、相手が悲しむ姿を見たくないって思ってしまう・・・。それが、あたしが離婚をする時期を間違えてしまった理由なのよ」
夏樹は、そう言って、少し寂しそうな表情を浮かべると、ポケットから取り出して煙草に火をつけようとした。
「ちょっと、夏樹さん・・・。ここ禁煙よ!」
「あっ・・・」
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説


白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。



【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

融資できないなら離縁だと言われました、もちろん快諾します。
音爽(ネソウ)
恋愛
無能で没落寸前の公爵は富豪の伯爵家に目を付けた。
格下ゆえに逆らえずバカ息子と伯爵令嬢ディアヌはしぶしぶ婚姻した。
正妻なはずが離れ家を与えられ冷遇される日々。
だが伯爵家の事業失敗の噂が立ち、公爵家への融資が停止した。
「期待を裏切った、出ていけ」とディアヌは追い出される。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる