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再会
再会・・・その17
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「ずいぶん降るわね~、今夜の雪は」
裕子は話題を変えた・・・。
というより、さっき聞こえた雪子の言葉を訊き返すことが出来なかったのかもしれない。
それは、あまりにも意外な雪子の言葉だったからである。
さっきみたいな言葉遣いをする雪子を、裕子は一度も見たことがなかった。
雪子とは、小学生、いや、もっと前だから、物心ついた頃からお互いが近所に住んでいたので
幼稚園に入る時も一緒だったし、小学校も、そして中学校も一緒だった。
ただ、高校だけはお互い別々の高校に行くことになったわけだが。
それでも時々は会ったり、時には一緒に街まで出かけたりもしていたのである。
雪子が夏樹と初めて出会った時も、たまたま二人が一緒に動物園に行った帰りのことだった。
高校を卒業してから親の勧めもあって、裕子は地元の会社に就職することになり
そして、雪子は長女ということもあって、いずれは親の面倒をみなければならない立場のためか
一度は親から離れて一人暮らしをしてみたいという思いから、県北の観光ホテルに就職することになった。
裕子が21歳の時に今の旦那と結婚。ついで、その3年後に雪子が今の旦那と結婚。
その頃から、裕子と雪子は、また、学生の頃のように頻繁に会うようになっていた。
この二人の関係は世間いうところの腐れ縁、良く言えば大親友という事になるのだろう。
それだけ、何十年という長い付き合いである裕子でさえ、さっき聞こえてきた言葉が
雪子の口から出た言葉だとは、とても思えなかったのである。
「ねぇ~、雪子・・・?」
「な~に・・・?」
「雪子って、夏樹さんと会ってる時は、いつも、あんな風な感じなの?」
「う~ん・・・分かんない」
「それじゃ、雪子ってよく夏樹さんと喧嘩してたわよね?」
「うん・・・そうみたい」
「そうみたいって、まあいいけど。それで、喧嘩の原因ってどんなことだったの?」
「どんなことって訊かれても、よく分かんないよ」
「それじゃ、原因も分かんないのに喧嘩してたの?」
「う~ん・・・気がつくと喧嘩になってたって感じかな?」
「そうなんだ・・・」
「でもね、時々ね、ふーちゃんが言ってたよ」
「なんて・・・?」
「それが面白いんだけどね。いつもね、おのれは多重人格か!って」
「多重人格・・・?」
「そうなんだよ。ふーちゃんって、面白いでしょ」
いや・・・それは、雪子の方でしょ?
「でも、それじゃ、夏樹さんと別れたのは、その喧嘩が原因で別れたの?」
「違うよ・・・」
「喧嘩が原因じゃないの?」
「うん。どんなに喧嘩とかしてても、別れたいって思ったことなんて一度もないよ」
「それじゃ、いったい何が原因で夏樹さんと別れることになったの?」
「う~ん・・・。たぶん、私が、若かったからかな?」
「若かったから・・・?」
「うん。だから、ふーちゃんの抱えていた辛さとか寂しさとかが分かんなかったんだと思うの」
「そうだったんだ・・・」
「うん。だから、私が勝手にふーちゃんが変わってしまったって思ったんだと思うんだ」
「そういえば雪子、昔、そんなことを言ってたもんね」
「うん。でも、今、考えれば、それは、ふーちゃんが変わったんじゃなくて、愛が上手じゃなかっただけ。でも、私は、自分の進路とか将来の事しか考えてなかったから。だから、いつも、どうして、ふーちゃんは私の悩みを分かってくれないの?って思ってたんだ」
「愛が上手じゃなかったって?」
「うん、上手く言えないけど、そんな感じ。それに私も未熟だったし」
「それで、雪子の方から別れを言ったのね」
「うん・・・」
「それで、今は、どうなの?夏樹さんと別れたこと、やっぱり後悔してるの?」
「分かんない・・・」
「どうして・・・?」
「だって・・・分かんないんだもん」
何度も何度も「分かんない」と、言葉を繰り返す雪子の方に視線を移した裕子の目に映ったのは
夏樹と別れたと裕子に告げた、あの日、あの夜の雪子と同じ雪子だった。
「そんなに泣くくらいなら、夏樹さんに会わなきゃいいのに。ホントにバカなんだから、雪子は」
1本の傘の中で、小柄な雪子の細い肩を抱きよせた裕子の細い指先が微かに震えていた。
裕子は話題を変えた・・・。
というより、さっき聞こえた雪子の言葉を訊き返すことが出来なかったのかもしれない。
それは、あまりにも意外な雪子の言葉だったからである。
さっきみたいな言葉遣いをする雪子を、裕子は一度も見たことがなかった。
雪子とは、小学生、いや、もっと前だから、物心ついた頃からお互いが近所に住んでいたので
幼稚園に入る時も一緒だったし、小学校も、そして中学校も一緒だった。
ただ、高校だけはお互い別々の高校に行くことになったわけだが。
それでも時々は会ったり、時には一緒に街まで出かけたりもしていたのである。
雪子が夏樹と初めて出会った時も、たまたま二人が一緒に動物園に行った帰りのことだった。
高校を卒業してから親の勧めもあって、裕子は地元の会社に就職することになり
そして、雪子は長女ということもあって、いずれは親の面倒をみなければならない立場のためか
一度は親から離れて一人暮らしをしてみたいという思いから、県北の観光ホテルに就職することになった。
裕子が21歳の時に今の旦那と結婚。ついで、その3年後に雪子が今の旦那と結婚。
その頃から、裕子と雪子は、また、学生の頃のように頻繁に会うようになっていた。
この二人の関係は世間いうところの腐れ縁、良く言えば大親友という事になるのだろう。
それだけ、何十年という長い付き合いである裕子でさえ、さっき聞こえてきた言葉が
雪子の口から出た言葉だとは、とても思えなかったのである。
「ねぇ~、雪子・・・?」
「な~に・・・?」
「雪子って、夏樹さんと会ってる時は、いつも、あんな風な感じなの?」
「う~ん・・・分かんない」
「それじゃ、雪子ってよく夏樹さんと喧嘩してたわよね?」
「うん・・・そうみたい」
「そうみたいって、まあいいけど。それで、喧嘩の原因ってどんなことだったの?」
「どんなことって訊かれても、よく分かんないよ」
「それじゃ、原因も分かんないのに喧嘩してたの?」
「う~ん・・・気がつくと喧嘩になってたって感じかな?」
「そうなんだ・・・」
「でもね、時々ね、ふーちゃんが言ってたよ」
「なんて・・・?」
「それが面白いんだけどね。いつもね、おのれは多重人格か!って」
「多重人格・・・?」
「そうなんだよ。ふーちゃんって、面白いでしょ」
いや・・・それは、雪子の方でしょ?
「でも、それじゃ、夏樹さんと別れたのは、その喧嘩が原因で別れたの?」
「違うよ・・・」
「喧嘩が原因じゃないの?」
「うん。どんなに喧嘩とかしてても、別れたいって思ったことなんて一度もないよ」
「それじゃ、いったい何が原因で夏樹さんと別れることになったの?」
「う~ん・・・。たぶん、私が、若かったからかな?」
「若かったから・・・?」
「うん。だから、ふーちゃんの抱えていた辛さとか寂しさとかが分かんなかったんだと思うの」
「そうだったんだ・・・」
「うん。だから、私が勝手にふーちゃんが変わってしまったって思ったんだと思うんだ」
「そういえば雪子、昔、そんなことを言ってたもんね」
「うん。でも、今、考えれば、それは、ふーちゃんが変わったんじゃなくて、愛が上手じゃなかっただけ。でも、私は、自分の進路とか将来の事しか考えてなかったから。だから、いつも、どうして、ふーちゃんは私の悩みを分かってくれないの?って思ってたんだ」
「愛が上手じゃなかったって?」
「うん、上手く言えないけど、そんな感じ。それに私も未熟だったし」
「それで、雪子の方から別れを言ったのね」
「うん・・・」
「それで、今は、どうなの?夏樹さんと別れたこと、やっぱり後悔してるの?」
「分かんない・・・」
「どうして・・・?」
「だって・・・分かんないんだもん」
何度も何度も「分かんない」と、言葉を繰り返す雪子の方に視線を移した裕子の目に映ったのは
夏樹と別れたと裕子に告げた、あの日、あの夜の雪子と同じ雪子だった。
「そんなに泣くくらいなら、夏樹さんに会わなきゃいいのに。ホントにバカなんだから、雪子は」
1本の傘の中で、小柄な雪子の細い肩を抱きよせた裕子の細い指先が微かに震えていた。
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