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再会
再会・・・その16
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裕子が見ている目の前だというのに、
それを気にする事もなく、無邪気に絡みついて甘えている雪子。
ねぇ~、雪子・・・?それが本当の雪子なの・・・?
初めて見たわ・・・雪子のそんな仕草・・・。
あの頃は、私の目を盗んで夏樹さんと会っていた雪子。
だから、いつも私の前では、どこかよそよそしい感じだった雪子。
それでも、私に気づかれないように、出来るだけ普通に振る舞っていた雪子。
私に対して後ろめたいという気持ちだったはずなのに・・・。
それなのに、それでも、夏樹さんに会うことをやめなかった雪子。
そういえば、雪子が夏樹さんと一緒にいるところなんて1度も見たことがなかったのよね?
雪子は、いったい、どんな顔をしながら夏樹さんと会っているんだろう?
どんな風に会話をして、どんな風に甘えて・・・。
そして、どんな風に二人の時間を過ごしているんだろう?って、ずっと思っていたけど。
なるほどね~・・・。そんな顔して、そんな仕草で、そんな風に甘えていたのね?
ってか、私と一緒にいる時と、全然、違うくない?
雪子が私と一緒にいる時は、猫をかぶっていない普通の雪子だと思ってたけど・・・
今の雪子を見る限りでは、私といる時も猫を被っていたとしか思えないんですけど?
違うかしら・・・?
「裕子・・・どうしたの?」
「えっ・・・?」
「ぼんやりしちゃって・・・何を考えてたの?」
いや・・・あの・・・だから、その・・・女言葉で訊かれても・・・。
「そういえば、初めてじゃないかしら?あたしが雪子と一緒にいるところを見るのって?」
だから・・・あたしって言わないで・・・う~ん、ややこしいわ。
「ふふっ・・・裕子のそんなところは変わんないわね~」
「えっ・・・?」
「裕子は、いつまでこっちにいるの?」
「いつまでって・・・」
「ほら・・・」、そう言うと、夏樹は自分が巻いていたマフラーをそっと裕子の首に巻いた。
「暖ったかいでしょ?」
「うん・・・あっ・・・でも・・・」
「ん・・・?」
「雪子に怒られちゃうわ・・・」
「ん・・・?雪子は怒るのか?」
夏樹の左腕に絡みついている雪子の方を見ながら夏樹が訊いた。
「怒んないよ。だって、裕子のことも大好きだもん」
えっ・・・?
なんか、今の雪子って、ちょっと壊れ過ぎてるような気がするけど・・・気のせいかしら?
「ほら、それじゃ今日はもう帰りなさい」
「えええ===っ!」
「えええ===っ!・・・じゃないでしょ?」
「だって・・・」
「だって!じゃないの!早く帰らないと風邪引くわよ?」
「それじゃ~また会える?」
「会えるわよ・・・」
「いつ・・・?」
「いつでも・・・」
「それじゃ明日も・・・?」
「ええ・・・明日も会えるわよ」
「ホントに・・・?」
「ホントよ・・・」
「それじゃ、電話してもいい?」
「いいわよ・・・」
「それじゃ、今夜、電話してもいい?」
「今夜でも、いつでも、雪子が電話をしたい時に電話をちょうだい」
裕子が、二人の会話を聞きながらクスッと笑うと、急に恥ずかしくなったのか、
雪子は、腕に絡みついたまま夏樹の背中の方に隠れてしまった。
「それじゃ裕子、雪子のことを頼んだわね」
そう言って、夏樹は背中に隠れている雪子を裕子に引き渡した。
大粒の雪が降りしきる中、裕子の傘の中で、雪子は夏樹の車が見えなくなるまで見送っていた。
「初めて見たわ。雪子って、あんな風に甘えるのね?」
「へへへ・・・なんか、少し恥ずかしいね!」
「ふふっ・・・それじゃ帰るわよ」
「うん・・・」
二人は1本の傘の中に入ったまま、街灯の灯りの中を住宅街へと歩き出した。
「そういえば、雪子の旦那さん、こっちに来るって連絡があったみたいよ」
そう言いながら、雪子の方に視線を移そうとした時に聞こえてきた言葉に裕子は耳を疑った。
「うちの旦那ってウザいね!」・・・裕子には、そう聞こえたような気がしたからである。
それを気にする事もなく、無邪気に絡みついて甘えている雪子。
ねぇ~、雪子・・・?それが本当の雪子なの・・・?
初めて見たわ・・・雪子のそんな仕草・・・。
あの頃は、私の目を盗んで夏樹さんと会っていた雪子。
だから、いつも私の前では、どこかよそよそしい感じだった雪子。
それでも、私に気づかれないように、出来るだけ普通に振る舞っていた雪子。
私に対して後ろめたいという気持ちだったはずなのに・・・。
それなのに、それでも、夏樹さんに会うことをやめなかった雪子。
そういえば、雪子が夏樹さんと一緒にいるところなんて1度も見たことがなかったのよね?
雪子は、いったい、どんな顔をしながら夏樹さんと会っているんだろう?
どんな風に会話をして、どんな風に甘えて・・・。
そして、どんな風に二人の時間を過ごしているんだろう?って、ずっと思っていたけど。
なるほどね~・・・。そんな顔して、そんな仕草で、そんな風に甘えていたのね?
ってか、私と一緒にいる時と、全然、違うくない?
雪子が私と一緒にいる時は、猫をかぶっていない普通の雪子だと思ってたけど・・・
今の雪子を見る限りでは、私といる時も猫を被っていたとしか思えないんですけど?
違うかしら・・・?
「裕子・・・どうしたの?」
「えっ・・・?」
「ぼんやりしちゃって・・・何を考えてたの?」
いや・・・あの・・・だから、その・・・女言葉で訊かれても・・・。
「そういえば、初めてじゃないかしら?あたしが雪子と一緒にいるところを見るのって?」
だから・・・あたしって言わないで・・・う~ん、ややこしいわ。
「ふふっ・・・裕子のそんなところは変わんないわね~」
「えっ・・・?」
「裕子は、いつまでこっちにいるの?」
「いつまでって・・・」
「ほら・・・」、そう言うと、夏樹は自分が巻いていたマフラーをそっと裕子の首に巻いた。
「暖ったかいでしょ?」
「うん・・・あっ・・・でも・・・」
「ん・・・?」
「雪子に怒られちゃうわ・・・」
「ん・・・?雪子は怒るのか?」
夏樹の左腕に絡みついている雪子の方を見ながら夏樹が訊いた。
「怒んないよ。だって、裕子のことも大好きだもん」
えっ・・・?
なんか、今の雪子って、ちょっと壊れ過ぎてるような気がするけど・・・気のせいかしら?
「ほら、それじゃ今日はもう帰りなさい」
「えええ===っ!」
「えええ===っ!・・・じゃないでしょ?」
「だって・・・」
「だって!じゃないの!早く帰らないと風邪引くわよ?」
「それじゃ~また会える?」
「会えるわよ・・・」
「いつ・・・?」
「いつでも・・・」
「それじゃ明日も・・・?」
「ええ・・・明日も会えるわよ」
「ホントに・・・?」
「ホントよ・・・」
「それじゃ、電話してもいい?」
「いいわよ・・・」
「それじゃ、今夜、電話してもいい?」
「今夜でも、いつでも、雪子が電話をしたい時に電話をちょうだい」
裕子が、二人の会話を聞きながらクスッと笑うと、急に恥ずかしくなったのか、
雪子は、腕に絡みついたまま夏樹の背中の方に隠れてしまった。
「それじゃ裕子、雪子のことを頼んだわね」
そう言って、夏樹は背中に隠れている雪子を裕子に引き渡した。
大粒の雪が降りしきる中、裕子の傘の中で、雪子は夏樹の車が見えなくなるまで見送っていた。
「初めて見たわ。雪子って、あんな風に甘えるのね?」
「へへへ・・・なんか、少し恥ずかしいね!」
「ふふっ・・・それじゃ帰るわよ」
「うん・・・」
二人は1本の傘の中に入ったまま、街灯の灯りの中を住宅街へと歩き出した。
「そういえば、雪子の旦那さん、こっちに来るって連絡があったみたいよ」
そう言いながら、雪子の方に視線を移そうとした時に聞こえてきた言葉に裕子は耳を疑った。
「うちの旦那ってウザいね!」・・・裕子には、そう聞こえたような気がしたからである。
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