56 / 386
再会
再会・・・その16
しおりを挟む
裕子が見ている目の前だというのに、
それを気にする事もなく、無邪気に絡みついて甘えている雪子。
ねぇ~、雪子・・・?それが本当の雪子なの・・・?
初めて見たわ・・・雪子のそんな仕草・・・。
あの頃は、私の目を盗んで夏樹さんと会っていた雪子。
だから、いつも私の前では、どこかよそよそしい感じだった雪子。
それでも、私に気づかれないように、出来るだけ普通に振る舞っていた雪子。
私に対して後ろめたいという気持ちだったはずなのに・・・。
それなのに、それでも、夏樹さんに会うことをやめなかった雪子。
そういえば、雪子が夏樹さんと一緒にいるところなんて1度も見たことがなかったのよね?
雪子は、いったい、どんな顔をしながら夏樹さんと会っているんだろう?
どんな風に会話をして、どんな風に甘えて・・・。
そして、どんな風に二人の時間を過ごしているんだろう?って、ずっと思っていたけど。
なるほどね~・・・。そんな顔して、そんな仕草で、そんな風に甘えていたのね?
ってか、私と一緒にいる時と、全然、違うくない?
雪子が私と一緒にいる時は、猫をかぶっていない普通の雪子だと思ってたけど・・・
今の雪子を見る限りでは、私といる時も猫を被っていたとしか思えないんですけど?
違うかしら・・・?
「裕子・・・どうしたの?」
「えっ・・・?」
「ぼんやりしちゃって・・・何を考えてたの?」
いや・・・あの・・・だから、その・・・女言葉で訊かれても・・・。
「そういえば、初めてじゃないかしら?あたしが雪子と一緒にいるところを見るのって?」
だから・・・あたしって言わないで・・・う~ん、ややこしいわ。
「ふふっ・・・裕子のそんなところは変わんないわね~」
「えっ・・・?」
「裕子は、いつまでこっちにいるの?」
「いつまでって・・・」
「ほら・・・」、そう言うと、夏樹は自分が巻いていたマフラーをそっと裕子の首に巻いた。
「暖ったかいでしょ?」
「うん・・・あっ・・・でも・・・」
「ん・・・?」
「雪子に怒られちゃうわ・・・」
「ん・・・?雪子は怒るのか?」
夏樹の左腕に絡みついている雪子の方を見ながら夏樹が訊いた。
「怒んないよ。だって、裕子のことも大好きだもん」
えっ・・・?
なんか、今の雪子って、ちょっと壊れ過ぎてるような気がするけど・・・気のせいかしら?
「ほら、それじゃ今日はもう帰りなさい」
「えええ===っ!」
「えええ===っ!・・・じゃないでしょ?」
「だって・・・」
「だって!じゃないの!早く帰らないと風邪引くわよ?」
「それじゃ~また会える?」
「会えるわよ・・・」
「いつ・・・?」
「いつでも・・・」
「それじゃ明日も・・・?」
「ええ・・・明日も会えるわよ」
「ホントに・・・?」
「ホントよ・・・」
「それじゃ、電話してもいい?」
「いいわよ・・・」
「それじゃ、今夜、電話してもいい?」
「今夜でも、いつでも、雪子が電話をしたい時に電話をちょうだい」
裕子が、二人の会話を聞きながらクスッと笑うと、急に恥ずかしくなったのか、
雪子は、腕に絡みついたまま夏樹の背中の方に隠れてしまった。
「それじゃ裕子、雪子のことを頼んだわね」
そう言って、夏樹は背中に隠れている雪子を裕子に引き渡した。
大粒の雪が降りしきる中、裕子の傘の中で、雪子は夏樹の車が見えなくなるまで見送っていた。
「初めて見たわ。雪子って、あんな風に甘えるのね?」
「へへへ・・・なんか、少し恥ずかしいね!」
「ふふっ・・・それじゃ帰るわよ」
「うん・・・」
二人は1本の傘の中に入ったまま、街灯の灯りの中を住宅街へと歩き出した。
「そういえば、雪子の旦那さん、こっちに来るって連絡があったみたいよ」
そう言いながら、雪子の方に視線を移そうとした時に聞こえてきた言葉に裕子は耳を疑った。
「うちの旦那ってウザいね!」・・・裕子には、そう聞こえたような気がしたからである。
それを気にする事もなく、無邪気に絡みついて甘えている雪子。
ねぇ~、雪子・・・?それが本当の雪子なの・・・?
初めて見たわ・・・雪子のそんな仕草・・・。
あの頃は、私の目を盗んで夏樹さんと会っていた雪子。
だから、いつも私の前では、どこかよそよそしい感じだった雪子。
それでも、私に気づかれないように、出来るだけ普通に振る舞っていた雪子。
私に対して後ろめたいという気持ちだったはずなのに・・・。
それなのに、それでも、夏樹さんに会うことをやめなかった雪子。
そういえば、雪子が夏樹さんと一緒にいるところなんて1度も見たことがなかったのよね?
雪子は、いったい、どんな顔をしながら夏樹さんと会っているんだろう?
どんな風に会話をして、どんな風に甘えて・・・。
そして、どんな風に二人の時間を過ごしているんだろう?って、ずっと思っていたけど。
なるほどね~・・・。そんな顔して、そんな仕草で、そんな風に甘えていたのね?
ってか、私と一緒にいる時と、全然、違うくない?
雪子が私と一緒にいる時は、猫をかぶっていない普通の雪子だと思ってたけど・・・
今の雪子を見る限りでは、私といる時も猫を被っていたとしか思えないんですけど?
違うかしら・・・?
「裕子・・・どうしたの?」
「えっ・・・?」
「ぼんやりしちゃって・・・何を考えてたの?」
いや・・・あの・・・だから、その・・・女言葉で訊かれても・・・。
「そういえば、初めてじゃないかしら?あたしが雪子と一緒にいるところを見るのって?」
だから・・・あたしって言わないで・・・う~ん、ややこしいわ。
「ふふっ・・・裕子のそんなところは変わんないわね~」
「えっ・・・?」
「裕子は、いつまでこっちにいるの?」
「いつまでって・・・」
「ほら・・・」、そう言うと、夏樹は自分が巻いていたマフラーをそっと裕子の首に巻いた。
「暖ったかいでしょ?」
「うん・・・あっ・・・でも・・・」
「ん・・・?」
「雪子に怒られちゃうわ・・・」
「ん・・・?雪子は怒るのか?」
夏樹の左腕に絡みついている雪子の方を見ながら夏樹が訊いた。
「怒んないよ。だって、裕子のことも大好きだもん」
えっ・・・?
なんか、今の雪子って、ちょっと壊れ過ぎてるような気がするけど・・・気のせいかしら?
「ほら、それじゃ今日はもう帰りなさい」
「えええ===っ!」
「えええ===っ!・・・じゃないでしょ?」
「だって・・・」
「だって!じゃないの!早く帰らないと風邪引くわよ?」
「それじゃ~また会える?」
「会えるわよ・・・」
「いつ・・・?」
「いつでも・・・」
「それじゃ明日も・・・?」
「ええ・・・明日も会えるわよ」
「ホントに・・・?」
「ホントよ・・・」
「それじゃ、電話してもいい?」
「いいわよ・・・」
「それじゃ、今夜、電話してもいい?」
「今夜でも、いつでも、雪子が電話をしたい時に電話をちょうだい」
裕子が、二人の会話を聞きながらクスッと笑うと、急に恥ずかしくなったのか、
雪子は、腕に絡みついたまま夏樹の背中の方に隠れてしまった。
「それじゃ裕子、雪子のことを頼んだわね」
そう言って、夏樹は背中に隠れている雪子を裕子に引き渡した。
大粒の雪が降りしきる中、裕子の傘の中で、雪子は夏樹の車が見えなくなるまで見送っていた。
「初めて見たわ。雪子って、あんな風に甘えるのね?」
「へへへ・・・なんか、少し恥ずかしいね!」
「ふふっ・・・それじゃ帰るわよ」
「うん・・・」
二人は1本の傘の中に入ったまま、街灯の灯りの中を住宅街へと歩き出した。
「そういえば、雪子の旦那さん、こっちに来るって連絡があったみたいよ」
そう言いながら、雪子の方に視線を移そうとした時に聞こえてきた言葉に裕子は耳を疑った。
「うちの旦那ってウザいね!」・・・裕子には、そう聞こえたような気がしたからである。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説


白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。



【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

融資できないなら離縁だと言われました、もちろん快諾します。
音爽(ネソウ)
恋愛
無能で没落寸前の公爵は富豪の伯爵家に目を付けた。
格下ゆえに逆らえずバカ息子と伯爵令嬢ディアヌはしぶしぶ婚姻した。
正妻なはずが離れ家を与えられ冷遇される日々。
だが伯爵家の事業失敗の噂が立ち、公爵家への融資が停止した。
「期待を裏切った、出ていけ」とディアヌは追い出される。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる