愛して欲しいと言えたなら

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再会

再会・・・その13

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ホントにもう~。まったく・・・。
今夜、何食べたい?なんて、この子ったら本気であたしの家に来る気なのかしら?

「ほら、今夜は、お刺身にしようかなって思ってるのよ」

夏樹は、先ほどスーパーで買ったお刺身が入ってる買い物袋を開いて中を見せてあげた

「わぁ~、それじゃ、美味しいお味噌汁を作るね」

夏樹を見つめながら嬉しそうな顔で話す雪子・・・の、はずなのだが・・・。

まるで、二十歳かそこらの女の子が話すような口ぶりで嬉しそうに話す雪子の顔が、
夏樹には、取り返しのつかない時間を恨み続けてきた悲しい顔に見えてしまう。

「何を言ってるの?あんたの帰る家は違うでしょ?」

「ああ~、もしかして彼女?もしかしたら彼氏がいるんだな?」

「ばかね、そんな人はいないわよ」

「お味噌汁は・・・?」

少し寂しそうな顔でつぶやく雪子なのだが・・・。

「雪子、さっきも言ったでしょ?あたしはここにいるのよ。雪子の目に前に。分かる?」

「うん・・・」

「雪子が、あたしから離れない限り、あたしは何処にもいかないから」

「ホントに・・・?」

「本当よ・・・」

「ホントにホント・・・?」

「ええ・・・。あんたに嘘なんか言わないわよ」

「それじゃ、また会えるの?」

「ええ・・・」

「今度は、いつ会えるの・・・?」

「いつでもいいわよ・・・」

「じゃ~ね、じゃ~明日も会える?」

「いいわよ。それじゃ、明日また電話頂戴。そしたら迎えにいくから」

「うん・・・」

「それじゃ乗って、あんたの家の近くまで送ってあげるから」

「うん・・・」

「あっ、それから裕子に連絡しなさい。きっと、心配してると思うわよ」

夏樹は車の助手席のドアを開けて、雪子の肩と頭の上に積もった雪を手で払いのける。
そんな、たわいもない夏樹の仕草でも、今の雪子にはとても嬉しかった。

「うううっ、やっぱ!寒いわね」

夏樹は、キーを差し込んでエンジンをかけた。
同時にスイッチが入った車内のエアコンの液晶画面には3℃と表示されている。

「うわ、車内の温度が3℃だわ。少し暖ったまるまで待ちましょ」

「ねぇ~、ふーちゃん?」

「な~に・・・?」

「ふーちゃんは、彼女とか彼氏とかっていないの?」

「何、その彼氏とかっていうのは?」

「だって・・・」

「な~に?あたしの、この恰好?」

「うん。もしかして、そっち系にいっちゃったかもって」

「あはは。だから、そっち系には興味はないって言ったでしょ?」

「それじゃ、どうして女性に?っていうか、ずっと気になってたんだけど、ふーちゃん胸あるよね?」

「そそ、あんたと同じくらいかしら?」

「ふーちゃん、もしかして身体も女になったの?」

「んなわけないでしょ?」

「だって胸が出てるよ?」

「あっこれ?ブラでよせてるのよ」

「ブラでって、ふーちゃんブラしてるの?」

「ブラしてちゃダメなの?」

「嘘・・・?」

「嘘って、あんたもしてるじゃない?」

「そういう問題・・・?」

「そういう問題・・・」

「ちょっと待って!ちょっと待って!・・・。それじゃ、もしかして下の方も?」

「下の方・・・?」

「うん。ふーちゃん下着とか、もしかして女性物だったりする?」

「何、言ってるの?そんなの当たり前でしょ」

「いえ・・・普通に当たり前じゃないと思いますです・・・。はい」

「何、言ってんのよ。この恰好で下着だけ男物の方が、よっぽど普通じゃないと思うわよ」

「んんん・・・にゃるへそ・・・。言われてみれば、確かにそうかも」

「ちなみに、あたし、男物の洋服とか下着とかって1枚も持ってないわよ」

「それじゃ、もしかして、毛とか脱毛したの?」

「してないわよ」

「だって、足の毛とかないよ?」

「あ~これ?剃ってるのよ、電気シェーバーでビ~ンって」

「そっか、剃ってるんだ」

「そうよ。だから、髪の毛と眉毛以外は毛がないのよ」

「あい・・・?」
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