愛して欲しいと言えたなら

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再会

再会・・・その12

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「ねぇ~、ふーちゃん?」

「な~に?」

「どうして、ふーちゃんは離婚したの?」

「さぁ~ね、どうしてかしら?」

「すぐ、そうやって、とぼけるんだから?」

「別に、とぼけてるわけじゃないのよ」

「じゃ~、どうして?」

「分からないのよ」

「分からないの?どうして、分からないの?」

「離婚するまでは分かってたんだけど、時間が経つにつれてだんだん分かんなくなってきたのよ」

「奥さんのことが嫌いになったの?」

「別に、嫌いになったわけじゃないわ」

「なのに別れたの?」

「そうよ、不思議でしょ?」

「裕子が言ってたけど、離婚したのはふーちゃんの借金が原因だって」

「それもあるわね」

「他にもあるの?」

「色々あるんじゃないかしら?」

「な~んか他人事みたいなんだ」

「そうじゃないわよ、あんたの時と同じ」

「私の時は、私から別れを言ったんだよ?奥さんもそうなの?」

「そうじゃないわ。どっちから別れを言ったとか、そういう事じゃないの」

「う~ん・・・」

「違うとすれば、愛し方なのかしら?」

「愛し方・・・?」

「ええ・・・」

「そういえば、裕子もそんな事を言ってたよ」

「裕子が・・・?」

「うん。相手のことを想っての好きと、自分の感情に素直なままの好きとは違うって」

「あら、あたしが言ったやつね」

「うん、ふーちゃんにそう言われたって言ってたよ」

「あんたはどうなの?」

「ふーちゃんのこと?」

「違わよ、あんたの旦那のことよ」

「私の・・・?」

「あんたにとって旦那はどっち?」

「ふーちゃんはどっちだったの?」

「ん・・・?元妻?」

「うん・・・」

「前者よ・・・」

雪子が自分の旦那への想いを答えようとすると、夏樹はその言葉を制止するように話題を変えた。

「あら・・・そろそろ暗くなってきたわね」

「うん。それじゃ、そろそろ帰る?」

「ちょっと訊くけど、あんた、どこに帰るつもりなの?」

「ふーちゃんのとこだよ」

「ふふっ・・・ありがと・・・」

夏樹はそう言うと席を立って、まだ座っている雪子に左手を差し出した。
雪子は夏樹が差し出した左手をつかみながら、隣の席に置いていたバックを手に席を立った。

会計を済ませてレストランの外へ出てみると、あたりは雪一色になっていた。
薄暗くなった駐車場には、ヘッドライトやテールランプの灯りが、蛍の光が動き回るように、
右へ左へ、前へ後ろへと、不規則に動き回っている。

「ふーちゃんの車はどれなの?」

「そんなのあんたに決まってるじゃない?」

「それは今夜でしょ?」

「あはは!あたしのは駐車場の真ん中にある大きな4WDよ」

「4WD?」

「そうそう、あたしの場合って滑るという行為が理解出来ないのよね」

「滑るって道路が滑るの?」

「そうよ。雪はまだいいけど路面が凍結しちゃうとね、アイスバーンになっちゃうから」

「4WDは滑らないの?」

「そうなのよ。坂道なんかでもね、一度止まってからでも、また、ノコノコと動き出すのよ」

「ノコノコって、カメさんみたいだね」

「ってか、あんた、相変わらず車の事は全然知らないのね?」

「だって、怖いし・・・」

「また、白バイにでも止められちゃうから?」

「あっ・・・裕子から聞いたな?」

「ふふっ。裕子、笑い転げながら言ってたわよ」

「ん~、もう~。ねぇ~ねぇ~、ふーちゃん、今夜、何食べたい?」

ふーちゃん、今夜、何食べたい・・・?あい・・・?

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