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再会
再会・・・その10
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何が嬉しいのか、目の前で美味しそうにマロンケーキを頬張る雪子を見ていると、
いつの間にか、時間が戻ってしまったかのような錯覚をしてしまう夏樹である。
しかし、この子ってホント変わんないわね。
今年で50歳になるなんて、とても思えないわ。
「そういえば、あんた、どうして、あたしが離婚したことを知ってたの?」
「裕子が教えてくれたよ」
「ふ~ん・・・」
「でも、つい最近までふーちゃんが離婚したことを知らなかったんだ」
「あんた、今でも裕子とは仲がいいの?」
「うん、住んでる所もそんなに離れてないよ」
「ふ~ん、裕子があんたの近くに引っ越してきたんでしょ?」
「ふーちゃん、知ってたの?」
「知らないわよ。ただ、なんとなくそんな気がしただけ」
「裕子がね、無理やり旦那さんを連れてきたみたい」
「無理やりって、旦那の仕事は?」
「なんか、前に勤めていた会社が潰れちゃったみたい」
「それは知ってたけど、確か、転勤で隣の県に移ったでしょ?」
「うん。そこで会計士のお仕事してたみたいだけど長く続かなかったみたい」
「それで、あんたの住んでる街に引っ越したの?」
「うん。ふーちゃんは裕子とはそういう話しないの?」
「しないわよ・・・」
「どんな話をしてたの?」
「どんなって、あたしが夏樹だと気がつくまでは、どこにでもあるような変態話かしら?」
「あはは!裕子って、そういう話もするんだね」
「まぁ~、面白いオカマがいるとでも思ってたんじゃないの?」
「でも、ふーちゃんだって気がついた時はビックリしてたでしょ?」
「まぁ~ね。なにせ、突然メールが止まったからね」
「うんうん、なんとなく分かる気がするかも」
「でもね、メールの相手があたしだって分かってからは随分悩んでたみたいよ」
「裕子が・・・?」
「そうみたいよ・・・」
「裕子、何を悩んでたの?」
「さぁ~、口には出さなかったから」
「悩んでたんじゃなくてドキドキしてたのかも?」
「きっと、違うと思うわ・・・」
「ふーちゃんには分かるの?裕子が、何を悩んでいたのかって?」
「ええ・・・。なんとなく分かったてたわ」
「何を悩んでたの?裕子はそういうことは言わないから全然気がつかなかったし」
「気がつかなかったんじゃなくて、あんたに気づかれないようにしてたのよ」
「私に・・・?どうしてかな?」
「裕子はあんたのことが好きだから・・・。じゃないかしら?」
夏樹の言葉に雪子は少し驚いたみたいで、
違う!違う!そんな関係じゃないと訴えるような目で夏樹を見返していた。
「ばかね。そういう意味じゃないわよ」
「そっか、よかった・・・」
急に優しい目で見つめてくる夏樹の瞳に、雪子はどこか懐かしさを思い出した。
「あんた、旦那と話す時も今みたいに話してるの?」
夏樹に訊かれると思っていたらしく、どう返しても誤魔化せないと分かっていても、
まだ、その言葉に返す言葉が見つかっていない雪子は、少し俯きながら微笑んで見せる。
そんな仕草を見せる雪子に、夏樹は優しく語りかけた。
「雪子、あたしはここにいるわよ」
「うん・・・」
「今日、雪子と会ったのは偶然じゃないの、必然だったの」
「うん・・・」
俯き加減で夏樹を見つめる雪子に笑みが戻らない・・・。
30年以上も前に別れて、30年以上も過ぎてから、突然、再会した二人が、
いきなり、こんな風に話せるなんてありえないはずなのに・・・。
この子ったら・・・。困った子ね、まったく・・・。随分と無理しちゃって、もう。
そんなに無理されたら言わなきゃいけなくなるじゃないのよ・・・まったく、もう~。
「雪子、あたしと居ても寂しい?」
「ううん・・・」
「あたしね、雪子に会いたいって、ずっと思ってたのよ」
「ふーちゃん、そこは女言葉で言わないの!もう~・・・」
もう~・・・ふーちゃんはとでも続けたかったのだろうか?
その先を話そうとする雪子の言葉は、途切れ途切れで、夏樹まで届かない。
そんな雪子へ、男の言葉で返す夏樹の声に、隠していた感情を抑えきれなくなったのだろうか?
今にも流れてしまいそうな涙で潤んだその瞳を隠そうともしない雪子。
夏樹に会えた嬉しさを伝えたくて、涙に濡れた瞳の中に精一杯の笑みを浮かべたまま、
変わらないあの日の優しさのままでいてくれた夏樹を見つめていた。
いつの間にか、時間が戻ってしまったかのような錯覚をしてしまう夏樹である。
しかし、この子ってホント変わんないわね。
今年で50歳になるなんて、とても思えないわ。
「そういえば、あんた、どうして、あたしが離婚したことを知ってたの?」
「裕子が教えてくれたよ」
「ふ~ん・・・」
「でも、つい最近までふーちゃんが離婚したことを知らなかったんだ」
「あんた、今でも裕子とは仲がいいの?」
「うん、住んでる所もそんなに離れてないよ」
「ふ~ん、裕子があんたの近くに引っ越してきたんでしょ?」
「ふーちゃん、知ってたの?」
「知らないわよ。ただ、なんとなくそんな気がしただけ」
「裕子がね、無理やり旦那さんを連れてきたみたい」
「無理やりって、旦那の仕事は?」
「なんか、前に勤めていた会社が潰れちゃったみたい」
「それは知ってたけど、確か、転勤で隣の県に移ったでしょ?」
「うん。そこで会計士のお仕事してたみたいだけど長く続かなかったみたい」
「それで、あんたの住んでる街に引っ越したの?」
「うん。ふーちゃんは裕子とはそういう話しないの?」
「しないわよ・・・」
「どんな話をしてたの?」
「どんなって、あたしが夏樹だと気がつくまでは、どこにでもあるような変態話かしら?」
「あはは!裕子って、そういう話もするんだね」
「まぁ~、面白いオカマがいるとでも思ってたんじゃないの?」
「でも、ふーちゃんだって気がついた時はビックリしてたでしょ?」
「まぁ~ね。なにせ、突然メールが止まったからね」
「うんうん、なんとなく分かる気がするかも」
「でもね、メールの相手があたしだって分かってからは随分悩んでたみたいよ」
「裕子が・・・?」
「そうみたいよ・・・」
「裕子、何を悩んでたの?」
「さぁ~、口には出さなかったから」
「悩んでたんじゃなくてドキドキしてたのかも?」
「きっと、違うと思うわ・・・」
「ふーちゃんには分かるの?裕子が、何を悩んでいたのかって?」
「ええ・・・。なんとなく分かったてたわ」
「何を悩んでたの?裕子はそういうことは言わないから全然気がつかなかったし」
「気がつかなかったんじゃなくて、あんたに気づかれないようにしてたのよ」
「私に・・・?どうしてかな?」
「裕子はあんたのことが好きだから・・・。じゃないかしら?」
夏樹の言葉に雪子は少し驚いたみたいで、
違う!違う!そんな関係じゃないと訴えるような目で夏樹を見返していた。
「ばかね。そういう意味じゃないわよ」
「そっか、よかった・・・」
急に優しい目で見つめてくる夏樹の瞳に、雪子はどこか懐かしさを思い出した。
「あんた、旦那と話す時も今みたいに話してるの?」
夏樹に訊かれると思っていたらしく、どう返しても誤魔化せないと分かっていても、
まだ、その言葉に返す言葉が見つかっていない雪子は、少し俯きながら微笑んで見せる。
そんな仕草を見せる雪子に、夏樹は優しく語りかけた。
「雪子、あたしはここにいるわよ」
「うん・・・」
「今日、雪子と会ったのは偶然じゃないの、必然だったの」
「うん・・・」
俯き加減で夏樹を見つめる雪子に笑みが戻らない・・・。
30年以上も前に別れて、30年以上も過ぎてから、突然、再会した二人が、
いきなり、こんな風に話せるなんてありえないはずなのに・・・。
この子ったら・・・。困った子ね、まったく・・・。随分と無理しちゃって、もう。
そんなに無理されたら言わなきゃいけなくなるじゃないのよ・・・まったく、もう~。
「雪子、あたしと居ても寂しい?」
「ううん・・・」
「あたしね、雪子に会いたいって、ずっと思ってたのよ」
「ふーちゃん、そこは女言葉で言わないの!もう~・・・」
もう~・・・ふーちゃんはとでも続けたかったのだろうか?
その先を話そうとする雪子の言葉は、途切れ途切れで、夏樹まで届かない。
そんな雪子へ、男の言葉で返す夏樹の声に、隠していた感情を抑えきれなくなったのだろうか?
今にも流れてしまいそうな涙で潤んだその瞳を隠そうともしない雪子。
夏樹に会えた嬉しさを伝えたくて、涙に濡れた瞳の中に精一杯の笑みを浮かべたまま、
変わらないあの日の優しさのままでいてくれた夏樹を見つめていた。
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