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心の時間
心の時間・・・その6
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しかし、うかつだったわ・・・私としたことが。考えてみたら、雪子って頭が良いのよね。
昔から、そんなに勉強もしていないのに、それなりにレベルの高い高校に合格しちゃうし。
そのくせ、もっと上のレベルの高校にも行けたはずなのにそうしないし。
「どうして、もっとレベルの高い高校を受験しないのよ?」って、訊いたら
「別に行きたいと思わないし」って、簡単に言うのよね、この子は。
受験すればどこでも入れるって。なんなの、その余裕は?って感じっていうの?
普通は、どこの高校に入ろうかな?とか、あそこに決めようかな?とかって考えるんじゃなくて、
出来るだけ勉強して、出来るだけレベルの高い高校に入りたいって思うもんなんじゃないかしら?
ところが、雪子の場合は少し違っていて、「自分の入りたい高校に入る」だったのよね。
あ~も~。私ったら、とんでもない失敗だわ!
写真を見て、すぐにあの人だって気が付いていながら、そんな素振りなんて少しも見せないで、
わざと知らないふりをしてたなんて。その上、「裕子の大切な人なんでしょ?」なんて言うんだから。
ある意味、奇跡にも近い写真での再会、すぐにあの人って気がついたのに、動揺すこともなく、
あの人の名前を口にすることもなく、些細な素振りも見せないまま普通に会話を続けていた雪子。
あなたは、その小さな胸の心の奥で、何を想い、その視線の先には何が映っているの?
あの時もそうだった・・・。そして、今も・・・可憐しいくらいに心を閉ざそうとする雪子。
とはいっても、なんとか一矢報いないと、私にだって立場ってものがあるんだからね。
「ねぇ~、雪子」
「な~に・・・?」
「今から、あの人にメールしてみる?」
「ん・・・?」
「きっと、まだ、起きてるわよ」
「どうしたの、急に・・・?」
「メールで、雪子と一緒にお酒飲んでるのよって教えてあげたら、なんて言うかしら?」
「たぶん、メールが止まると思うけど・・・」
「どうして・・・?」
「だって、もし、私だったらメール止まっちゃうと思うから」
「雪子がそうでも、あの人は意外と乗り気になっちゃうかもしれないわよ?」
「まさか・・・」
「いんや、今のあの人って、はっきり言って別人なのよ」
「いんや?別人・・・?」
「そうじゃなかったら、私だって気が付いたと思うわ。だって、あの人と3か月くらいもメールしてたのよ」
「裕子は、全然、気が付かなかったの?」
「全然よ!全然!それに、この人ってホントに男かしら?って、思ったくらいなんだから」
「でも、あの写真を見せられたら、誰でも女性だって思うよ?」
「それがね、写真を見せられたのって、ずっと後になってからなのよ」
「それじゃ、裕子は、ずっと女の人とメールしてると思ってたの?」
「そうよ。あの人は自分は男だけど女よ!な~んて言ってたけど、わざとそう言ってるだけで、ホントは女の人じゃないかしらって思ってたのよ」
「え~っ!なに?それじゃ、ふーちゃんは女言葉を使ってるの?」
「女言葉っていうかオカマ言葉っていうか。まぁ、そんな感じだけど」
「ふーちゃんって面白いね」
ふーちゃんって面白い・・・?
「でもさ~、雪子はどうなの?」
「どうって・・・?」
「あの人が女性の洋服を着て暮らしてるって、雪子はどう思うの?」
「女の人の格好って、別に、家にいる時だけなんでしょ?」
「それが、違うのよ・・・」
「うそ・・・?」
「ホントよ!あの人、どこに行くにもスカート履いて行くって言ってたし」
「まさか・・・」
「私も最初はそう思ってたのよ。きっと、メールの中だから適当な事を言ってるんだろうなって」
「もしかして、違ったの?」
「違ったみたい・・・街のスーパーの前で写した写真も見せられたのよ」
「ホントに~?」
「しかもよ、コール・アイザって知ってるでしょ?」
「知ってるよ、バイパス沿いにある大きなスーパーよね」
「そう・・・そこの前で写真を写してたのよ」
「あはっ・・・」
「ビックリでしょ?ほら!見て見てよ」
そう言って、裕子はスマホに保管してある写真を雪子に見せた。
「あはっ・・・。ホントだ~」
「では、ここで、あの人のメールを届けてあげましょう!」
そう言うと、裕子はメールを送ってみるのである。
あい?あいあいあい?
しばらく大人しいと思ってたらどうしたのから?
「こんばんは~カバチ起きてる?」
「あら?どうしたの?」
裕子のスマホにメールが届くと、それを雪子に見せた。
「ほらね!女言葉でしょ?そうそう、あの人ね、ハンネをカバチっていうのよ」
「カバチ・・・?」
「そうなの、んで意味を訊いてみたらカバチタレのカバチなんだって」
「へ~・・・カバチタレのカバチ・・・ふふっ」
「では、ここで雪子と一緒にいるってメールしてみるわよ」
「いいよ・・・。そんなことしなくても」
と、止める仕草をする雪子を横目にメールをする裕子なのである。
「今ね、私の目の前に誰がいると思う?」
「な~に?あんたとテーブルでも挟んで旦那でもいるの?」
「そんなわけないでしょ?」
「そんなこと言って、もし旦那にでも知れたら、あんた変態だと思われるわよ」
「雪子よ!私のテーブルの前で座ってるのは、カバチの大好きな雪子よ!・・・驚いた?」
裕子がメールを送って1分が過ぎ3分が過ぎ・・・そして5分が過ぎた・・・。
もしかして・・・止まったの・・・?
昔から、そんなに勉強もしていないのに、それなりにレベルの高い高校に合格しちゃうし。
そのくせ、もっと上のレベルの高校にも行けたはずなのにそうしないし。
「どうして、もっとレベルの高い高校を受験しないのよ?」って、訊いたら
「別に行きたいと思わないし」って、簡単に言うのよね、この子は。
受験すればどこでも入れるって。なんなの、その余裕は?って感じっていうの?
普通は、どこの高校に入ろうかな?とか、あそこに決めようかな?とかって考えるんじゃなくて、
出来るだけ勉強して、出来るだけレベルの高い高校に入りたいって思うもんなんじゃないかしら?
ところが、雪子の場合は少し違っていて、「自分の入りたい高校に入る」だったのよね。
あ~も~。私ったら、とんでもない失敗だわ!
写真を見て、すぐにあの人だって気が付いていながら、そんな素振りなんて少しも見せないで、
わざと知らないふりをしてたなんて。その上、「裕子の大切な人なんでしょ?」なんて言うんだから。
ある意味、奇跡にも近い写真での再会、すぐにあの人って気がついたのに、動揺すこともなく、
あの人の名前を口にすることもなく、些細な素振りも見せないまま普通に会話を続けていた雪子。
あなたは、その小さな胸の心の奥で、何を想い、その視線の先には何が映っているの?
あの時もそうだった・・・。そして、今も・・・可憐しいくらいに心を閉ざそうとする雪子。
とはいっても、なんとか一矢報いないと、私にだって立場ってものがあるんだからね。
「ねぇ~、雪子」
「な~に・・・?」
「今から、あの人にメールしてみる?」
「ん・・・?」
「きっと、まだ、起きてるわよ」
「どうしたの、急に・・・?」
「メールで、雪子と一緒にお酒飲んでるのよって教えてあげたら、なんて言うかしら?」
「たぶん、メールが止まると思うけど・・・」
「どうして・・・?」
「だって、もし、私だったらメール止まっちゃうと思うから」
「雪子がそうでも、あの人は意外と乗り気になっちゃうかもしれないわよ?」
「まさか・・・」
「いんや、今のあの人って、はっきり言って別人なのよ」
「いんや?別人・・・?」
「そうじゃなかったら、私だって気が付いたと思うわ。だって、あの人と3か月くらいもメールしてたのよ」
「裕子は、全然、気が付かなかったの?」
「全然よ!全然!それに、この人ってホントに男かしら?って、思ったくらいなんだから」
「でも、あの写真を見せられたら、誰でも女性だって思うよ?」
「それがね、写真を見せられたのって、ずっと後になってからなのよ」
「それじゃ、裕子は、ずっと女の人とメールしてると思ってたの?」
「そうよ。あの人は自分は男だけど女よ!な~んて言ってたけど、わざとそう言ってるだけで、ホントは女の人じゃないかしらって思ってたのよ」
「え~っ!なに?それじゃ、ふーちゃんは女言葉を使ってるの?」
「女言葉っていうかオカマ言葉っていうか。まぁ、そんな感じだけど」
「ふーちゃんって面白いね」
ふーちゃんって面白い・・・?
「でもさ~、雪子はどうなの?」
「どうって・・・?」
「あの人が女性の洋服を着て暮らしてるって、雪子はどう思うの?」
「女の人の格好って、別に、家にいる時だけなんでしょ?」
「それが、違うのよ・・・」
「うそ・・・?」
「ホントよ!あの人、どこに行くにもスカート履いて行くって言ってたし」
「まさか・・・」
「私も最初はそう思ってたのよ。きっと、メールの中だから適当な事を言ってるんだろうなって」
「もしかして、違ったの?」
「違ったみたい・・・街のスーパーの前で写した写真も見せられたのよ」
「ホントに~?」
「しかもよ、コール・アイザって知ってるでしょ?」
「知ってるよ、バイパス沿いにある大きなスーパーよね」
「そう・・・そこの前で写真を写してたのよ」
「あはっ・・・」
「ビックリでしょ?ほら!見て見てよ」
そう言って、裕子はスマホに保管してある写真を雪子に見せた。
「あはっ・・・。ホントだ~」
「では、ここで、あの人のメールを届けてあげましょう!」
そう言うと、裕子はメールを送ってみるのである。
あい?あいあいあい?
しばらく大人しいと思ってたらどうしたのから?
「こんばんは~カバチ起きてる?」
「あら?どうしたの?」
裕子のスマホにメールが届くと、それを雪子に見せた。
「ほらね!女言葉でしょ?そうそう、あの人ね、ハンネをカバチっていうのよ」
「カバチ・・・?」
「そうなの、んで意味を訊いてみたらカバチタレのカバチなんだって」
「へ~・・・カバチタレのカバチ・・・ふふっ」
「では、ここで雪子と一緒にいるってメールしてみるわよ」
「いいよ・・・。そんなことしなくても」
と、止める仕草をする雪子を横目にメールをする裕子なのである。
「今ね、私の目の前に誰がいると思う?」
「な~に?あんたとテーブルでも挟んで旦那でもいるの?」
「そんなわけないでしょ?」
「そんなこと言って、もし旦那にでも知れたら、あんた変態だと思われるわよ」
「雪子よ!私のテーブルの前で座ってるのは、カバチの大好きな雪子よ!・・・驚いた?」
裕子がメールを送って1分が過ぎ3分が過ぎ・・・そして5分が過ぎた・・・。
もしかして・・・止まったの・・・?
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