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メル友
メル友・・・その20
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笑いをこらえているのだから、普通なら「なになに?」って、訊いてくると思うのだが。
雪子は、少し首をかしげてニコッとするだけで、笑いの訳を訊こうとはしない。
あの人のことだから、雪子のこんなところが好きなのかしらね?
でも、よくこんな感じの雪子が、あの人とケンカなんか出来たもんよね?不思議だわ。
しかし、今の雪子は、まだ、あの人がオカマ・・・。
いや、もとい。あの人が女性化してるって知らないのよね。
もし、あの人が女性の格好をしているなんて知ったら、どう思うのかしら?
そんなことを考えていると、また、笑い出しそうになってしまう裕子に、雪子はニコッとしながら
「寒いから早く中に入ろ?」・・・。
う~ん・・・私には、とうてい出来ない言葉使い&仕草だわ。
それに雪子の洋服の選び方もそうよね、どこをどうすれば、こういうファッションになるのかしら?
普段は、何処にでもいるような一般的な主婦の格好なのに、
私と出かける時だけ、決まってちょっと変わったっていうかなんていうか・・・。
長めのチュニックに長めのプリーツのスカート。
そして、膝くらいまで長いロングカーディガンを羽織ってる。
カーディガンも黒でチュニックも黒、そんでもってスカートも黒なんだけど。
スカートの裾の方から伸びる小さめのバラたちの赤色が、なんとも言えない不思議な感じである。
元々、小柄で細身な感じの雪子なのだが、いつも、黒を基準にした感じで洋服を選んでいるらしい。
う~ん・・・どう見ても、ペンギンにしか見えないんだけど・・・。
でも、考えてみたら、雪子が黒い洋服を着るようになったのって、あの人と別れてからよね?
それが、あれから30年ちょっと経ったのに、今でも黒い洋服をよく着てるし。
今までは、そんな雪子のファッションを見ても、何とも思わなかった裕子だったのだが・・・。
さすがに日が暮れてくると外は寒いので、チェックインをすませるために中に入った。
何年くらい前からかしら?雪子と会う時には、ここの温泉に泊まるようになったのは・・・。
昔のように二人で出掛けるようになったのは、お互い子供に手がかからなくなった頃からだったかしら?
いつも、会うために誘うのは裕子の方なのだが。
何処で会うかとか、ちょっと遠出などをする時は、決まって雪子が行き先を決めている。
なので近くで会う時は決まって雪子の行きつけの喫茶店になるわけだし、
一泊とか二泊とかというように遠出をする時は、決まってここの温泉なのである。
何度も来てる温泉のためか、どの部屋がいいかということが分かっているので、泊まる部屋も、いつも決まって1階の奥、窓が南向きの景色の良い部屋で本館から少し離れたところにある別館である。別館といっても、本館とは渡り廊下で繋がっているのだが。
温泉とはいっても、雪子にとっては、あまり温泉としての意味をなしていないようである。
というのは、温泉と言えば大浴場なり露天風呂なりが普通は目的であったり楽しみだと思うのだが。
雪子は、知らない人と一緒に入るのがあまり好きじゃないようで、
いつも決まって、部屋に備え付けのお風呂に入るのである。
でも、それでは、せっかく温泉に来た意味がないので、
せめてと思い、部屋に露天風呂が付いている別館のこの部屋を予約するようにしているのである。
二人は温泉に来てからの一応のプログラムをこなしてから、温泉のロビーの中にあるレストランに来ていた。
一応のプログラムと言っても、お風呂に入って食事をしただけなのだが。
「雪子は、相変わらずミルクティーね」
「そうかな?」
「んで、ミルクティーを飲み終わると、今度は決まってウイスキーでしょ?」
「ふふっ・・・」
「でも、どうしてウイスキーなの?」
「ん・・・?」
「前から不思議だったんだけど、雪子って、前はワインとかビールじゃなかった?」
「前って・・・。それって、高校の時よ」
「あんた、大人しそうな顔して高校の頃から、普通にお酒だもんね」
「それは裕子だって同じじゃない?」
「でもさ、それが、どうしてウイスキーになったわけ?」
「別に意味とかって言われても・・・」
「それに、決まって、いつも同じ銘柄のウイスキーよね?」
「ねぇ~、裕子?この間からなんか変だよ?」
変・・・?違うわよ・・・。変なのは私じゃなくて、あの人の方よ・・・。
だってオカマよ?・・・いや、女性化・・・もう、どっちでもいいわ!
「ねぇ~、雪子・・・?」
「な~に・・・?」
「もしさ・・・もしかしてだけど・・・」
そこまで言いかけた裕子は、その先に続く言葉を雪子に話すべきかどうするべきか迷っていた。
雪子は、少し首をかしげてニコッとするだけで、笑いの訳を訊こうとはしない。
あの人のことだから、雪子のこんなところが好きなのかしらね?
でも、よくこんな感じの雪子が、あの人とケンカなんか出来たもんよね?不思議だわ。
しかし、今の雪子は、まだ、あの人がオカマ・・・。
いや、もとい。あの人が女性化してるって知らないのよね。
もし、あの人が女性の格好をしているなんて知ったら、どう思うのかしら?
そんなことを考えていると、また、笑い出しそうになってしまう裕子に、雪子はニコッとしながら
「寒いから早く中に入ろ?」・・・。
う~ん・・・私には、とうてい出来ない言葉使い&仕草だわ。
それに雪子の洋服の選び方もそうよね、どこをどうすれば、こういうファッションになるのかしら?
普段は、何処にでもいるような一般的な主婦の格好なのに、
私と出かける時だけ、決まってちょっと変わったっていうかなんていうか・・・。
長めのチュニックに長めのプリーツのスカート。
そして、膝くらいまで長いロングカーディガンを羽織ってる。
カーディガンも黒でチュニックも黒、そんでもってスカートも黒なんだけど。
スカートの裾の方から伸びる小さめのバラたちの赤色が、なんとも言えない不思議な感じである。
元々、小柄で細身な感じの雪子なのだが、いつも、黒を基準にした感じで洋服を選んでいるらしい。
う~ん・・・どう見ても、ペンギンにしか見えないんだけど・・・。
でも、考えてみたら、雪子が黒い洋服を着るようになったのって、あの人と別れてからよね?
それが、あれから30年ちょっと経ったのに、今でも黒い洋服をよく着てるし。
今までは、そんな雪子のファッションを見ても、何とも思わなかった裕子だったのだが・・・。
さすがに日が暮れてくると外は寒いので、チェックインをすませるために中に入った。
何年くらい前からかしら?雪子と会う時には、ここの温泉に泊まるようになったのは・・・。
昔のように二人で出掛けるようになったのは、お互い子供に手がかからなくなった頃からだったかしら?
いつも、会うために誘うのは裕子の方なのだが。
何処で会うかとか、ちょっと遠出などをする時は、決まって雪子が行き先を決めている。
なので近くで会う時は決まって雪子の行きつけの喫茶店になるわけだし、
一泊とか二泊とかというように遠出をする時は、決まってここの温泉なのである。
何度も来てる温泉のためか、どの部屋がいいかということが分かっているので、泊まる部屋も、いつも決まって1階の奥、窓が南向きの景色の良い部屋で本館から少し離れたところにある別館である。別館といっても、本館とは渡り廊下で繋がっているのだが。
温泉とはいっても、雪子にとっては、あまり温泉としての意味をなしていないようである。
というのは、温泉と言えば大浴場なり露天風呂なりが普通は目的であったり楽しみだと思うのだが。
雪子は、知らない人と一緒に入るのがあまり好きじゃないようで、
いつも決まって、部屋に備え付けのお風呂に入るのである。
でも、それでは、せっかく温泉に来た意味がないので、
せめてと思い、部屋に露天風呂が付いている別館のこの部屋を予約するようにしているのである。
二人は温泉に来てからの一応のプログラムをこなしてから、温泉のロビーの中にあるレストランに来ていた。
一応のプログラムと言っても、お風呂に入って食事をしただけなのだが。
「雪子は、相変わらずミルクティーね」
「そうかな?」
「んで、ミルクティーを飲み終わると、今度は決まってウイスキーでしょ?」
「ふふっ・・・」
「でも、どうしてウイスキーなの?」
「ん・・・?」
「前から不思議だったんだけど、雪子って、前はワインとかビールじゃなかった?」
「前って・・・。それって、高校の時よ」
「あんた、大人しそうな顔して高校の頃から、普通にお酒だもんね」
「それは裕子だって同じじゃない?」
「でもさ、それが、どうしてウイスキーになったわけ?」
「別に意味とかって言われても・・・」
「それに、決まって、いつも同じ銘柄のウイスキーよね?」
「ねぇ~、裕子?この間からなんか変だよ?」
変・・・?違うわよ・・・。変なのは私じゃなくて、あの人の方よ・・・。
だってオカマよ?・・・いや、女性化・・・もう、どっちでもいいわ!
「ねぇ~、雪子・・・?」
「な~に・・・?」
「もしさ・・・もしかしてだけど・・・」
そこまで言いかけた裕子は、その先に続く言葉を雪子に話すべきかどうするべきか迷っていた。
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