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メル友
メル友・・・その19
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裕子を乗せた車が温泉に着いた時は、あたりはもうすっかり暗くなっていた。
とはいっても、まだ夕方の5時を少し回ったくらいなのだが、
11月も後半になると日が暮れるのが急に早くなるらしい。
「なんで、あんな人と結婚したんだろう?」
裕子は、送ってくれた健二の車が走り去るテールランプの灯りを見つめながら呟いた。
とはいえ、あんな旦那でも、いままで離婚もしないできたのは両親への当てつけなんだろうけど。
それでも、あんな旦那と結婚したのは、必ずしも両親に勧められたからってばかりじゃないのよね。
あの人と別れて違う人と付き合っていても、今の旦那と付き合っていても、
勤めていた銀行の人たちと話していても、男友達と話していても、いつも心の中の何かが空しかっただけだった。
私が、健二との結婚を決めたのは、あの人の結婚が決まったって友達から聞かされたから。
両親に勧められたからとか、結婚後の生活の安定がどうとか、そんなことは関係なかった。
それに、別に、自分の将来なんてどうでもよかった。
もし、あの人と出会ってなかったら、私の人生も変わっていたのかもしれないと思う時もあるし。
それに、あの人が誰とも結婚していなかったら、私は、きっと今でも独身だったかもしれないし。
あの人が雪子と別れてから、一度だけ、あの人に抱かれた・・・あの夜。
ううん・・・違うわね、一度だけ抱かれたんじゃなくて、一度しか抱かれなかった。
もし、私が望んだら、あの人は、何度でも私の身体を抱いてくれたと思う。
でも、決して結ばれることはないんだって・・・そう思ったわ。
あの夜、あの人の腕に抱かれながら、私は、それを知らされた。
あの人は何も言わないけど、私には、すぐに分かってしまったの。
私を抱きながら私の姿を見ていない、あの人が見てるのは雪子なんだって。
だから、あの日から、私は、あの人と会うのをやめた。
そして、あの人を見かけても、あの人から私が見えないように、
あの人が私に気がつかないようにと、あの人の視界に入らないように隠れてばかりだった。
そんな時だった。友達から、あの人がもうすぐ結婚するって聞かされたのは。
あの人の結婚する相手が、私の知ってる人で、ひとつ後輩の女性だったのには少し驚いたけど。
でも、別に、悔しくなんかなかったわ。
だって、あの人がその後輩の女性と結婚しても、うまくいくわけないって分かっていたから。
私が、あの人しか愛せないのと同じように、あの人も、雪子しか愛せないって知っていたから。
だから、私、言ったのよね。
あの人の友達にあの人の伝えてって。私も、もうすぐ結婚するからって。
そして、心の中で、「あなたも私と同じなのよ」って・・・。そう、呟いたの。
あの人が離婚したって聞いた時は、「やっぱり」って、思ったわ。
でも、よく20年も結婚生活が続いたもんだとも思ったけど。
あの人のことだから、きっと、奥さんに合わせていたんだろうなって・・・。
あの人、優しいから。
でもさ。でも、まさかオカマになってたとは思ってもみなかったわよ。
あっ・・・違った。えっと、なんだっけ?
確か女装家だっけ?あ~、違う!違う!女装家じゃなくて女性化だったわ。
ってか、そんなのどっちでもおんなじでしょうが!まったく、もう!
などと、裕子が一人で思い出し笑いをしていると、後ろの方から声が聞こえた。
「裕子、なに一人で笑ってるの?」
その声に振り替えると、雪子が不思議そうな顔で裕子を見ていた。
そんな雪子の顔を見ていると、思わず吹き出しそうになるのを我慢しても・・・。
それでも、きつく閉じた唇から少しだけ笑いが漏れてしまう裕子であった。
とはいっても、まだ夕方の5時を少し回ったくらいなのだが、
11月も後半になると日が暮れるのが急に早くなるらしい。
「なんで、あんな人と結婚したんだろう?」
裕子は、送ってくれた健二の車が走り去るテールランプの灯りを見つめながら呟いた。
とはいえ、あんな旦那でも、いままで離婚もしないできたのは両親への当てつけなんだろうけど。
それでも、あんな旦那と結婚したのは、必ずしも両親に勧められたからってばかりじゃないのよね。
あの人と別れて違う人と付き合っていても、今の旦那と付き合っていても、
勤めていた銀行の人たちと話していても、男友達と話していても、いつも心の中の何かが空しかっただけだった。
私が、健二との結婚を決めたのは、あの人の結婚が決まったって友達から聞かされたから。
両親に勧められたからとか、結婚後の生活の安定がどうとか、そんなことは関係なかった。
それに、別に、自分の将来なんてどうでもよかった。
もし、あの人と出会ってなかったら、私の人生も変わっていたのかもしれないと思う時もあるし。
それに、あの人が誰とも結婚していなかったら、私は、きっと今でも独身だったかもしれないし。
あの人が雪子と別れてから、一度だけ、あの人に抱かれた・・・あの夜。
ううん・・・違うわね、一度だけ抱かれたんじゃなくて、一度しか抱かれなかった。
もし、私が望んだら、あの人は、何度でも私の身体を抱いてくれたと思う。
でも、決して結ばれることはないんだって・・・そう思ったわ。
あの夜、あの人の腕に抱かれながら、私は、それを知らされた。
あの人は何も言わないけど、私には、すぐに分かってしまったの。
私を抱きながら私の姿を見ていない、あの人が見てるのは雪子なんだって。
だから、あの日から、私は、あの人と会うのをやめた。
そして、あの人を見かけても、あの人から私が見えないように、
あの人が私に気がつかないようにと、あの人の視界に入らないように隠れてばかりだった。
そんな時だった。友達から、あの人がもうすぐ結婚するって聞かされたのは。
あの人の結婚する相手が、私の知ってる人で、ひとつ後輩の女性だったのには少し驚いたけど。
でも、別に、悔しくなんかなかったわ。
だって、あの人がその後輩の女性と結婚しても、うまくいくわけないって分かっていたから。
私が、あの人しか愛せないのと同じように、あの人も、雪子しか愛せないって知っていたから。
だから、私、言ったのよね。
あの人の友達にあの人の伝えてって。私も、もうすぐ結婚するからって。
そして、心の中で、「あなたも私と同じなのよ」って・・・。そう、呟いたの。
あの人が離婚したって聞いた時は、「やっぱり」って、思ったわ。
でも、よく20年も結婚生活が続いたもんだとも思ったけど。
あの人のことだから、きっと、奥さんに合わせていたんだろうなって・・・。
あの人、優しいから。
でもさ。でも、まさかオカマになってたとは思ってもみなかったわよ。
あっ・・・違った。えっと、なんだっけ?
確か女装家だっけ?あ~、違う!違う!女装家じゃなくて女性化だったわ。
ってか、そんなのどっちでもおんなじでしょうが!まったく、もう!
などと、裕子が一人で思い出し笑いをしていると、後ろの方から声が聞こえた。
「裕子、なに一人で笑ってるの?」
その声に振り替えると、雪子が不思議そうな顔で裕子を見ていた。
そんな雪子の顔を見ていると、思わず吹き出しそうになるのを我慢しても・・・。
それでも、きつく閉じた唇から少しだけ笑いが漏れてしまう裕子であった。
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