愛して欲しいと言えたなら

zonbitan

文字の大きさ
上 下
2 / 386
メル友

メル友・・・その2

しおりを挟む
お部屋から縁側を通してお庭の方を見ると、お隣のおばあちゃんが、もう、椅子に座って花瓶の飾ってあるお花を手に取って見てるし・・・。
あたしの住んでるお家は、昔ながらの縁側なるものが付いている間取りなので、日差しが暖かいときなどは、サッシを閉めたままでいると、とても、ポカポカするんですよ。
んで、縁側のサッシのすぐ向こう側の左側に小さな花壇があって、花壇の手前、あたしのいるお部屋から見て縁側のサッシのすぐ向こう側には、こげ茶色の木のテーブルと椅子が2個ずつ向かい合わせに置いてあるの。
ちょっこ小高い丘の上に建ってる貸家なんだけど、丘の上の原っぱに住宅を建てたって感じなので、お庭が異常に広いんだわん。

「あら?おばあちゃん、こんにちは~」

「あんれ、まぁ~、中にいたのかい?」

おいおい、いなかったら、どうする気だったのよ?

「お茶、紅茶、コーヒーの中でどれがいい?」

「ひゃひゃひゃ、年寄りはやっぱしコーヒーだんべ」

いや、違うでしょ?普通はお茶じゃないんかい?
このおばあちゃんは、訊かないと訊かないで一人ブーブー言い始めるのよね。
どうせ年寄りなんか、黙って出されたもんでも飲んでろってか?って、始まるの。
今時のお年寄りの割には、けっこう、面白い、おばあちゃんなんですよ。
という事で、おばあちゃんのリクエストに合わせてコーヒーを持ってテーブルに行くと、

「あんた、ひとりもんやよね?」

「一応は、そうだけど・・・」

テーブルの上、おばちゃんの前にコーヒーを置くと、そのまま飲もうとしたので、

「ちょっと、おばあちゃん。お砂糖入れないと苦いわよ」

「ひゃひゃひゃ、何、言うだ。あたしゃ、昔からコーヒーはブラックしか飲んだ事がないんよ」

そう言いながら、お砂糖とミルクを入れ始める。こちらも、いつものお決まりパターンなのである。

「あんたさ~、一人で寂しくないんかい?」

「はい?」

「ホントは寂しいんじゃろ?」

「あい?」

「無理しないで、寂しいなら相手が欲しいって言わなきゃだめやんよ」

だめやんよ・・・って、それ、いったい、どこの方言よ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

それぞれのその後

京佳
恋愛
婚約者の裏切りから始まるそれぞれのその後のお話し。 ざまぁ ゆるゆる設定

勘違い令嬢の心の声

にのまえ
恋愛
僕の婚約者 シンシアの心の声が聞こえた。 シア、それは君の勘違いだ。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

融資できないなら離縁だと言われました、もちろん快諾します。

音爽(ネソウ)
恋愛
無能で没落寸前の公爵は富豪の伯爵家に目を付けた。 格下ゆえに逆らえずバカ息子と伯爵令嬢ディアヌはしぶしぶ婚姻した。 正妻なはずが離れ家を与えられ冷遇される日々。 だが伯爵家の事業失敗の噂が立ち、公爵家への融資が停止した。 「期待を裏切った、出ていけ」とディアヌは追い出される。

処理中です...