愛して欲しいと言えたなら

zonbitan

文字の大きさ
上 下
1 / 386
メル友

メル友・・・その1

しおりを挟む
それは、あるメル友サイトで知り合った女性との何気ない会話から始まった。

「私ね、初体験の相手と知り合うきっかけがね、ちょっと変わっててね」

「変わってるの?」

「そうなの、私が高校1年の時だったんだけど、しかも12月だったのよ」

「冬の出会いなんて、ちょっとロマンチックじゃない」

「そうなのよ。とは言ってもさ、もう30年以上も前だけどね」

「あんた、いま、いくつなの?」

「私?今年で、もう50歳になるわ。早いもんよね~」

「それじゃ、あたしと2つ違いじゃない?あたしは今年で28歳になるのよ」

「うそ?ってか、どこが2つ違いなのよ?」

「あはは!確か、去年も28歳だったと思うわ」

「何、それ?で、ホントは何歳なの?」

「あんたと2つ違いで52歳よ」

「私より年上なんだ。そういえば、あの人も2つ上で、確か、学年が3年だったわ」

「へぇ~、なんか良い感じじゃない?」

「私が住んでいた所は田舎だったから、余計にドキドキしちゃってね」

「あんた、田舎は何処なの?」

「うんとね、〇〇県で〇〇市って街よ」

「あら?偶然ね?あたしが住んでる所じゃないの?」

「うそ・・・?ホントに?」

「本当よ!」

「じゃさ、どこか街の地名言ってみてよ」

「いいわよ、それじゃこんなのはどうかしら?神尾町、竹野原町、それから南愛町なんてどう?」

「うそ?ホントに私の住んでた街だわ。ってか、ちょっと信じられないけど」

「あたしも、ビックリだわよ。確かに、メル友とか探してれば、いつか、もしかして?とは思ってたけどさ」

「私は、もっと、ビックリ。だって、まさか、私の住んでた街のオカマとメル友なるなんて思ってもみかったわよ」

「だから、オカマじゃないってば!あたしゃ男には興味ないし」

「あはっ、そうだったわね。オカマじゃなくて女装家だったわね」

「違うわよ!女装家じゃなくて女性化よ!」

「あはっ、どっちでも同じようなもんじゃない?でも、写真を見ると、どう見ても女性にしか見えないわよ」

「でしょ?でしょ?あたし綺麗でしょ?」

「あはっ、それを自分で言わなければね?」

「いいのよ!誰も言ってくれないんだから!」

「でも、ホントにその恰好で普段から生活してるの?」

「そうよ!」

「お買い物とかに行くときも?」

「そうよ、だって、あたしスカートしか持ってないし」

「マジ?」

「マジ!」

「ちなみに、カバチはどこの高校だったの?」

このカバチと言うのは、ネットで使うハンドルネームみたいな感じである。

「それは、内緒よん!」

「え===っ!ケチなんだから」

「それよりさ、あんた高1の時のその男との出会いのきっかけって何だったのよ?」

「教えな~い!」

「あら?さっきのお返し?もう、この子ったら」

「ねぇ~当ててみてよ!とは言っても、絶対に当たらないと思うけど!」

「ん・・・?絶対に、当たらないの?」

「そうよ、彼との出会いのきっかけって、絶対にありえないような出来事だったのよ」

「ありえない出来事?絶対に?それじゃ、当ててみようかしら?」

「いいわよ!それじゃ、当ててみて!」

「500円玉?」

ん?メールが止まったわね・・・。
あれ?という事は、もしかして、当たったのかしら?
この文字を送ったあと、次のメールが届くまで少し時間が止まってしまったみたいである。
なので、のんびりコーヒー作りタイムを楽しんでいるとメル友からメールが届いた。

「ねぇ~?なんで分かったの?」

「もしかして、当たった?」

「だから、なんで分かったの?って、訊いてるでしょ?」

「あっ、お隣のおばあちゃんが遊びに来たみたいだから、続きは、また今夜ね」

「ちょっと!こら===っ!」

と、メールを閉じて、おばあちゃんとお茶のみタイムのあたしなのでありんす!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。

なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。 追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。 優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。 誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、 リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。 全てを知り、死を考えた彼女であったが、 とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。 後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

それぞれのその後

京佳
恋愛
婚約者の裏切りから始まるそれぞれのその後のお話し。 ざまぁ ゆるゆる設定

勘違い令嬢の心の声

にのまえ
恋愛
僕の婚約者 シンシアの心の声が聞こえた。 シア、それは君の勘違いだ。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...