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消えていくトリック
消えていくトリック・・・その20
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「視点に戻って・・・そんでもって、被害者の女性がSという設定に戻して・・・」
「そっ!」
あやねは楽しそうな顔で簡単に言うのだが、倉根はというとあやねとは正反対のようである。
それは、今の捜査状況と捜査に関わっている刑事の全てが同じ方向で纏まってしまっているわけで
そこに倉根ひとりが割り込んでいくというのは現実的に少々無理があるのだろう。
いや、少々どころか、ほとんど無理と言った方が正解かもしれない。
というのは建前であって、実際には何をどういう風にどこからどうやって調べたらいいのか?
あやねの言っている言葉の意味も、理解しているようで理解出来ていない倉根なのだから
やっと見えてきた一筋の光に喜ぶよりも、どこか、どんよりとした表情になってしまうのである。
「面倒くさいんでしょ?違う?」
「えっ?」
「あんたがプロの棋士とかだったなら、もうノリノリに目を輝かせちゃうんだろうけど!」
「あやねさんってば、ノリノリだなんてちょっと不謹慎ですよ!」
「な~に気取ってんのよ!人間なんてどんな死に方をしようがさ、みんな、いつかは死んじゃうんだよ?」
「それは、そうですけど・・・」
「周りの目を気にしながら言葉を選んで指し障りのない自分で居ようとする方がよっぽど不謹慎じゃないかしら?」
今は、こういう風に言うあやねの言葉に慣れている倉根なのだが最初の頃はその度に驚いていた。
それでも、最初の頃は霊能力があるから人とは考え方が違うのかもしれないと思っていたのだが
一般的に言われる霊能力者とは、何かが違うというか、どこかが違うというか・・・
いや、根本的な何かが違っている。倉根にはそんな風に感じる時があるのである。
「まあ、とりあえず、天井裏でも覗いてみる事から始めてみたら?」
「天井裏からですか?」
「そうよ」
「でも、あやねさんの言葉の通りだとしたら、天井裏を覗いてみても証拠は見つからないのでは?と、思うんですけど」
「見つかるわよ!」
「はい?」
「何、驚いてんのよ?」
「だって、証拠は見つからないっていうか残してないっていうか・・・です、はい」
「天井裏の潜んでいた形跡も見つからないって?」
「ええ・・・違うんですか?」
「あのさ、天井裏ってさ、そんなに綺麗なのかしら?」
「あっ!」
「どんなに気配りが出来るとはいってもさ、天井裏の全てを綺麗にお掃除するなんて出来ないと思うわよ?それに、たとへ、全ての天井裏を綺麗にお掃除出来たとしても、それはそれであまりに不自然じゃない?」
「ですよね!はい!確かにそう思います!」
「ほら?真犯人に繋がる形跡がひとつ見つかったじゃない?」
「はい!戻りましたら、早速、確認してみたいと思います」
「ひとつが転がれば、あとは自然に転がり始めるものよ!ってか、確認するのは天井裏だけでいいわよ!」
「えっ?どうしてですか?」
「あんたさ、死にたいの?」
「えっ?あっ!あああ===っ!やっぱり、危ないんでしょうか?」
「かもね!ってか、それよりさ、あんたさ、さっき見たわよね?陶器のお皿が飛んで来たのを?」
「ええ!確かに見ました!」
「でさ、あんたのすぐ後ろに殺された被害者の女性が居たって知ったのよね?」
「ええ、見えませんでしたけど、でも、お皿が飛んで来たので居たんだと思います」
「でさ、あんたがさ、これから確認しようと行く家ってさ?」
「あ・あ・ああ・あああ===っ!」
「もち!ひとりで行くんでしょ?」
そう言いながら、あやねはひとり青ざめていく倉根を楽しそうに見つめていた。
「そっ!」
あやねは楽しそうな顔で簡単に言うのだが、倉根はというとあやねとは正反対のようである。
それは、今の捜査状況と捜査に関わっている刑事の全てが同じ方向で纏まってしまっているわけで
そこに倉根ひとりが割り込んでいくというのは現実的に少々無理があるのだろう。
いや、少々どころか、ほとんど無理と言った方が正解かもしれない。
というのは建前であって、実際には何をどういう風にどこからどうやって調べたらいいのか?
あやねの言っている言葉の意味も、理解しているようで理解出来ていない倉根なのだから
やっと見えてきた一筋の光に喜ぶよりも、どこか、どんよりとした表情になってしまうのである。
「面倒くさいんでしょ?違う?」
「えっ?」
「あんたがプロの棋士とかだったなら、もうノリノリに目を輝かせちゃうんだろうけど!」
「あやねさんってば、ノリノリだなんてちょっと不謹慎ですよ!」
「な~に気取ってんのよ!人間なんてどんな死に方をしようがさ、みんな、いつかは死んじゃうんだよ?」
「それは、そうですけど・・・」
「周りの目を気にしながら言葉を選んで指し障りのない自分で居ようとする方がよっぽど不謹慎じゃないかしら?」
今は、こういう風に言うあやねの言葉に慣れている倉根なのだが最初の頃はその度に驚いていた。
それでも、最初の頃は霊能力があるから人とは考え方が違うのかもしれないと思っていたのだが
一般的に言われる霊能力者とは、何かが違うというか、どこかが違うというか・・・
いや、根本的な何かが違っている。倉根にはそんな風に感じる時があるのである。
「まあ、とりあえず、天井裏でも覗いてみる事から始めてみたら?」
「天井裏からですか?」
「そうよ」
「でも、あやねさんの言葉の通りだとしたら、天井裏を覗いてみても証拠は見つからないのでは?と、思うんですけど」
「見つかるわよ!」
「はい?」
「何、驚いてんのよ?」
「だって、証拠は見つからないっていうか残してないっていうか・・・です、はい」
「天井裏の潜んでいた形跡も見つからないって?」
「ええ・・・違うんですか?」
「あのさ、天井裏ってさ、そんなに綺麗なのかしら?」
「あっ!」
「どんなに気配りが出来るとはいってもさ、天井裏の全てを綺麗にお掃除するなんて出来ないと思うわよ?それに、たとへ、全ての天井裏を綺麗にお掃除出来たとしても、それはそれであまりに不自然じゃない?」
「ですよね!はい!確かにそう思います!」
「ほら?真犯人に繋がる形跡がひとつ見つかったじゃない?」
「はい!戻りましたら、早速、確認してみたいと思います」
「ひとつが転がれば、あとは自然に転がり始めるものよ!ってか、確認するのは天井裏だけでいいわよ!」
「えっ?どうしてですか?」
「あんたさ、死にたいの?」
「えっ?あっ!あああ===っ!やっぱり、危ないんでしょうか?」
「かもね!ってか、それよりさ、あんたさ、さっき見たわよね?陶器のお皿が飛んで来たのを?」
「ええ!確かに見ました!」
「でさ、あんたのすぐ後ろに殺された被害者の女性が居たって知ったのよね?」
「ええ、見えませんでしたけど、でも、お皿が飛んで来たので居たんだと思います」
「でさ、あんたがさ、これから確認しようと行く家ってさ?」
「あ・あ・ああ・あああ===っ!」
「もち!ひとりで行くんでしょ?」
そう言いながら、あやねはひとり青ざめていく倉根を楽しそうに見つめていた。
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