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消えていくトリック
消えていくトリック・・・その17
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「でも、あやねさんには、なぜ?こんな格好でっていう、その意味とかって分かるんですか?」
「うん。でも、あんたにっていうか、あんたに限らずだと思うけど、その意味を説明しても分かんないと思うし、あんたにも分かるように説明しようとするとキリンさんのお首さんになってしまうから、今はその事にはあまり触れない方がいいかもね」
「はあ・・・」
「まあ、いいわ。それじゃね、あんたたち警察に関わる部分の意味を教えるわね」
「僕たち警察に・・・ですか?」
「そうよ。なぜ?こんな格好で?それはね、彼女をあんたたち警察から守るため。分かる?」
「僕たち警察から彼女を守るため?・・・あの・・・どうして、この格好で死ぬ事が僕たち警察から彼女を守る事になるんですか?」
「後追いトラップかな?」
「はい?」
「あ~ん、まったくもう!いい?あんたたち警察が逮捕したのは男性?それとも女性?」
「男性ですけど?」
「んで、そこから殺害現場を最初に見た時間へと時間を逆戻してしてみて!」
「あの・・・」
「ん、もう!困ったちゃんね!いい?あんたたち警察が最初にこの事件現場を見た時にね、ある選択肢がほとんど消えかかってしまっているのね?それって、なんだか分かる?」
「あの・・・そう言われましても」
「女性!」
「あっ!」
「分かったようね?」
「確かに言われてみれば・・・。というより、今、言われるまでは気にもとめませんでした」
「この事件現場を見た瞬間、犯人は男性っていう先入観が生まれてしまうの。しかも、無意識の中でね」
「確かにそうかもしれません」
「んでもって、捜査線上に浮かんできたのが?」
「男性・・・」
「その瞬間に、この後追いトラップが発動しちゃったのよ?分かる?」
「えっと、それは、ようするに、捜査線上に男性が浮かんで来た瞬間に、犯人が女性である可能性を否定させたのがこの事件現場の女性のこの格好になる。もともとSMプレイは男女でやるのもだという勝手な思い込みがあった僕たちにとっては、この最後の格好がそれを後押ししてしまったという事でしょうか?」
「正解でしゅ!」
「はあ、あやねさんに言われるまで全然気が付きませんでした」
「でもね~、ここでひとつミスをしてしまってるのよね。この被害者の女性が犯したミスって何だか分かる?」
「ミス・・・ですか?」
「そう!捕まってる男の指紋を残さなかったってミスを犯しちゃってるのよね」
「指紋?」
「そうよ!もし、この殺害された部屋の中に今捕まってる男の指紋を残しておけば完ぺきだったんだけどね」
「そうなんでしょうか?」
「何言ってんのよ!家中の至る所に指紋を残しておいてさ、この殺害現場の部屋だけ指紋が一つも無いってどう見ても不自然でしょ?」
「う~ん・・・そうなのかな?」
「不自然だと思わない?」
「でも、殺人現場ですので指紋を拭き取るくらいの事はするんじゃないですか?」
「あんたさ、そうとうっていうか、どっぷりと暗示にかかっちゃってるみたいね?」
「でも、もしですよ?もし、今捕まってる男がこの部屋だけ故意に指紋を残さなかったとしたら?そうすれば、捕まってる男がこの殺害現場になった部屋には入れてもらえなかったという話の説明もつきますし、そして、玄関のドアノブの内側だけ指紋を拭き取って自分は鍵が掛かってたら家の中には入れなかったって言えば自分の犯行ではないって自分の無実を証明出来る事になりませんか?」
と、自信たっぷりとあやねにしてやったり気分で説明をしてみた倉根だったのだが、
一呼吸、二呼吸としていくうちにだんだんと青ざめ始めていた。
「気が付いた?根暗君?」
いつの間にか、倉根自身も気が付かないうちに被害者の女性が仕掛けた蟻地獄にハマってしまっていたのである。
そうなのである!
倉根自身が、今捕まっている男が冤罪ではないか?そう思ってあやねに相談しに来たはずなのに
今、倉根の言った言葉は、言い換えれば、今捕まっている男が犯人だと言ってるようなもので
こうやって証拠を消していったのだと、まるで取り調べで自供を促すような言葉使いになってしまっていたのである。
「うん。でも、あんたにっていうか、あんたに限らずだと思うけど、その意味を説明しても分かんないと思うし、あんたにも分かるように説明しようとするとキリンさんのお首さんになってしまうから、今はその事にはあまり触れない方がいいかもね」
「はあ・・・」
「まあ、いいわ。それじゃね、あんたたち警察に関わる部分の意味を教えるわね」
「僕たち警察に・・・ですか?」
「そうよ。なぜ?こんな格好で?それはね、彼女をあんたたち警察から守るため。分かる?」
「僕たち警察から彼女を守るため?・・・あの・・・どうして、この格好で死ぬ事が僕たち警察から彼女を守る事になるんですか?」
「後追いトラップかな?」
「はい?」
「あ~ん、まったくもう!いい?あんたたち警察が逮捕したのは男性?それとも女性?」
「男性ですけど?」
「んで、そこから殺害現場を最初に見た時間へと時間を逆戻してしてみて!」
「あの・・・」
「ん、もう!困ったちゃんね!いい?あんたたち警察が最初にこの事件現場を見た時にね、ある選択肢がほとんど消えかかってしまっているのね?それって、なんだか分かる?」
「あの・・・そう言われましても」
「女性!」
「あっ!」
「分かったようね?」
「確かに言われてみれば・・・。というより、今、言われるまでは気にもとめませんでした」
「この事件現場を見た瞬間、犯人は男性っていう先入観が生まれてしまうの。しかも、無意識の中でね」
「確かにそうかもしれません」
「んでもって、捜査線上に浮かんできたのが?」
「男性・・・」
「その瞬間に、この後追いトラップが発動しちゃったのよ?分かる?」
「えっと、それは、ようするに、捜査線上に男性が浮かんで来た瞬間に、犯人が女性である可能性を否定させたのがこの事件現場の女性のこの格好になる。もともとSMプレイは男女でやるのもだという勝手な思い込みがあった僕たちにとっては、この最後の格好がそれを後押ししてしまったという事でしょうか?」
「正解でしゅ!」
「はあ、あやねさんに言われるまで全然気が付きませんでした」
「でもね~、ここでひとつミスをしてしまってるのよね。この被害者の女性が犯したミスって何だか分かる?」
「ミス・・・ですか?」
「そう!捕まってる男の指紋を残さなかったってミスを犯しちゃってるのよね」
「指紋?」
「そうよ!もし、この殺害された部屋の中に今捕まってる男の指紋を残しておけば完ぺきだったんだけどね」
「そうなんでしょうか?」
「何言ってんのよ!家中の至る所に指紋を残しておいてさ、この殺害現場の部屋だけ指紋が一つも無いってどう見ても不自然でしょ?」
「う~ん・・・そうなのかな?」
「不自然だと思わない?」
「でも、殺人現場ですので指紋を拭き取るくらいの事はするんじゃないですか?」
「あんたさ、そうとうっていうか、どっぷりと暗示にかかっちゃってるみたいね?」
「でも、もしですよ?もし、今捕まってる男がこの部屋だけ故意に指紋を残さなかったとしたら?そうすれば、捕まってる男がこの殺害現場になった部屋には入れてもらえなかったという話の説明もつきますし、そして、玄関のドアノブの内側だけ指紋を拭き取って自分は鍵が掛かってたら家の中には入れなかったって言えば自分の犯行ではないって自分の無実を証明出来る事になりませんか?」
と、自信たっぷりとあやねにしてやったり気分で説明をしてみた倉根だったのだが、
一呼吸、二呼吸としていくうちにだんだんと青ざめ始めていた。
「気が付いた?根暗君?」
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