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消えていくトリック
消えていくトリック・・・その10
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殺されるかもって・・・?
っていうか・・・今のは、いったい、何だったのだろうか?
間違いなく皿が飛んだような?・・・しかも、物凄い勢いで・・・。
それに、あやねさんは、いったい、誰と話をしていたんだろうか?
そう思いながら倉根が鉢植えの方をそっと見返していた。
「あの・・・あやねさん?」
「ん?」
「今、お皿が飛んで来ましたよね?しかも、物凄い勢いで?」
「見えたの?」
「ええ、今のは、いったい・・・それに、今、あやねさん誰と話していたんですか?いや、それよりも、くまのぬいぐるみは確かテレビのアニメが始まるからって隣の部屋に持って行ったと思ったんですけど?」
「ふふっ、ずいぶん忙しい質問ね?」
「そう言われましても・・・それに、殺されるかもって・・・あの・・・」
「ああ、それね。まあ、気にしなくてもいいわよ、別に」
「いえ、あの、別にって言われましても・・・」
「そんな事よりさ、その旦那さんってノーマークなの?」
「えっ?」
「なにが、えっ?なわけ?」
「いえ、あの。えっ?あの・・・えっ?だって・・・」
意外なあやねの一言に倉根は返す言葉が見つからなかった。
いや、これは倉根に限った話でない、今回の事件の担当刑事たちにとっても寝耳に水なのではないだろうか?
なぜか?と、考える前に、なにせ、もうすでに犯人が捕まっているわけであり
その上、それを裏付ける状況証拠があり過ぎるくらいあるのだから自然にそこへ捜査が集中してしまうのも仕方がないと言えば仕方がないわけで。
とはいえ、旦那さんについてまったく調べなかったというわけでもない。
恒例に乗っ取って少しは調べたのだが、これといって被害者の女性と不仲だったとか
旦那さんが何かで大きな借金があるというわけでもない。
もし、旦那さんの方に何かしらの借金があって、その借金の返済に困ってるというのなら
保険金目当ての犯行という線もあるのだろうが、そんな話はどこからも聞こえて来ない。
それに、犯行当時、旦那さんは海外に赴任していたのだから初めから容疑者リストには入っていないのである。
「いえ、あの、それじゃあやねさんは旦那さんが事件に関与していると見ているんですか?」
「んなわけないでしょ!」
「えっ、だって今・・・。それじゃ、いったい、どういう意味なんですか?」
「でもさ、生前の意識がはっきりしている霊体って、妙に感が鋭くなっちゃうのよね~。う~ん」
「霊体って?あの、今、皿が飛んで来たのって、もしかして?ってか、居るんですか?もしかして、ここに居るんですか?」
「びっくりした?」
「いや、あの、びっくりって、あの、居るの?もしかして、居るの?」
そう言いながら、倉根が部屋の中を見渡している。
そんな倉根の仕草が可笑しかったのか、あやねは笑いながら手を振って見せる。
「ふふっ、もう居ないわよ!」
「はあ・・・ってか、居たんですか?」
「まあね。それよりさ、あんた、やっぱりさ、これ以上、この件には関わらない方がいいかもしれないわよ?」
「これ以上って、あの、その前に何が何だかさっぱりなんですけど・・・」
何がどうなっているのか、いまいち状況が呑み込めない倉根を笑みで横目に流すあやねは
何かを悩んでいるかのように額の生え際の髪をかくような仕草で視線を窓へと移す。
「あんたのように、人間社会しか見えなかったら楽なんだろうけどね」
「いえ、僕としては幽霊が見えて、幽霊とお話が出来るあやねさんが羨ましいと思ってしまいますよ」
倉根の言葉に微弱な笑みを浮かべるあやねの横顔が午後の日差しの中に蜃気楼を香らせていく。
「ねえ、根暗さん。別行動取ってみる気ある?」
「倉根ですってば!って、あの、別行動っていうのは?」
「ん?今の捜査とは別にって事だけどさ、どう?」
「あの、それって、いったい・・・」
「旦那さん、近いうちに戻って来るわよ」
「えっ?」・・・予想外の方向から飛んでくるあやねの言葉に倉根の思考回路が煙を上げる準備に入ったようである。
っていうか・・・今のは、いったい、何だったのだろうか?
間違いなく皿が飛んだような?・・・しかも、物凄い勢いで・・・。
それに、あやねさんは、いったい、誰と話をしていたんだろうか?
そう思いながら倉根が鉢植えの方をそっと見返していた。
「あの・・・あやねさん?」
「ん?」
「今、お皿が飛んで来ましたよね?しかも、物凄い勢いで?」
「見えたの?」
「ええ、今のは、いったい・・・それに、今、あやねさん誰と話していたんですか?いや、それよりも、くまのぬいぐるみは確かテレビのアニメが始まるからって隣の部屋に持って行ったと思ったんですけど?」
「ふふっ、ずいぶん忙しい質問ね?」
「そう言われましても・・・それに、殺されるかもって・・・あの・・・」
「ああ、それね。まあ、気にしなくてもいいわよ、別に」
「いえ、あの、別にって言われましても・・・」
「そんな事よりさ、その旦那さんってノーマークなの?」
「えっ?」
「なにが、えっ?なわけ?」
「いえ、あの。えっ?あの・・・えっ?だって・・・」
意外なあやねの一言に倉根は返す言葉が見つからなかった。
いや、これは倉根に限った話でない、今回の事件の担当刑事たちにとっても寝耳に水なのではないだろうか?
なぜか?と、考える前に、なにせ、もうすでに犯人が捕まっているわけであり
その上、それを裏付ける状況証拠があり過ぎるくらいあるのだから自然にそこへ捜査が集中してしまうのも仕方がないと言えば仕方がないわけで。
とはいえ、旦那さんについてまったく調べなかったというわけでもない。
恒例に乗っ取って少しは調べたのだが、これといって被害者の女性と不仲だったとか
旦那さんが何かで大きな借金があるというわけでもない。
もし、旦那さんの方に何かしらの借金があって、その借金の返済に困ってるというのなら
保険金目当ての犯行という線もあるのだろうが、そんな話はどこからも聞こえて来ない。
それに、犯行当時、旦那さんは海外に赴任していたのだから初めから容疑者リストには入っていないのである。
「いえ、あの、それじゃあやねさんは旦那さんが事件に関与していると見ているんですか?」
「んなわけないでしょ!」
「えっ、だって今・・・。それじゃ、いったい、どういう意味なんですか?」
「でもさ、生前の意識がはっきりしている霊体って、妙に感が鋭くなっちゃうのよね~。う~ん」
「霊体って?あの、今、皿が飛んで来たのって、もしかして?ってか、居るんですか?もしかして、ここに居るんですか?」
「びっくりした?」
「いや、あの、びっくりって、あの、居るの?もしかして、居るの?」
そう言いながら、倉根が部屋の中を見渡している。
そんな倉根の仕草が可笑しかったのか、あやねは笑いながら手を振って見せる。
「ふふっ、もう居ないわよ!」
「はあ・・・ってか、居たんですか?」
「まあね。それよりさ、あんた、やっぱりさ、これ以上、この件には関わらない方がいいかもしれないわよ?」
「これ以上って、あの、その前に何が何だかさっぱりなんですけど・・・」
何がどうなっているのか、いまいち状況が呑み込めない倉根を笑みで横目に流すあやねは
何かを悩んでいるかのように額の生え際の髪をかくような仕草で視線を窓へと移す。
「あんたのように、人間社会しか見えなかったら楽なんだろうけどね」
「いえ、僕としては幽霊が見えて、幽霊とお話が出来るあやねさんが羨ましいと思ってしまいますよ」
倉根の言葉に微弱な笑みを浮かべるあやねの横顔が午後の日差しの中に蜃気楼を香らせていく。
「ねえ、根暗さん。別行動取ってみる気ある?」
「倉根ですってば!って、あの、別行動っていうのは?」
「ん?今の捜査とは別にって事だけどさ、どう?」
「あの、それって、いったい・・・」
「旦那さん、近いうちに戻って来るわよ」
「えっ?」・・・予想外の方向から飛んでくるあやねの言葉に倉根の思考回路が煙を上げる準備に入ったようである。
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