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消えていくトリック
消えていくトリック・・・その8
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あやねさんは、迷路を消しちゃえばって言うけど、どうやって迷路を消すんだろう?
それに、もし、その迷路を消すことが出来たとしたら新しい証拠か何かが出てくるのだろうか?
「あの、あやねさん?」
「ん?」
「あの、もし、その迷路を消すことが出来たら、何か出てくるんでしょうか?」
「何かって?」
「うんとですね、今、捕まってる男の無実を証明出来る何かとか、もしくは、真犯人に繋がる何かの証拠とかって出てくるんでしょうか?」
「出てこないと思うわよ」
「はい?」
「だから言ってるでしょ?初めから存在しないトリックだって!」
「いや、あの・・・初めから存在しないって、それって、初めから何も無いって事になるんじゃないんですか?」
「そうだよ!だから、そう言ってるじゃない」
「でも、それじゃ、もし、迷路を消せたとしても何も変わらないって事になるんじゃないんですか?」
「あのね?今回のこの事件ってね、見方によってはとっても単純な事件なのよ?」
「いえ、とっても不可解でややこしい事件のような気がするのですが・・・」
「それは、あんたたち警察が訳の分からない謎解きごっこでごにょごにょしちゃったからでしょ?」
「そうは言われましても・・・」
「でもね~、これだけの状況証拠がそろっちゃうとさ、警察としても自分たちの捜査が間違っていたって認めないでしょうしね」
「ええ、それは言えるんですよね。捕まってる男の無罪を証明出来る何かが出てくればいいんでしょうけど、その望みは薄いような感じですし。そもそも、真犯人に繋がる痕跡すら何も無いのが現状ですから」
それほど、というか、難しく、というか。あまり深く考えないで、というか・・・
いつもの壁に当たって前に進めなくなってしまってどうしよう?
みたいな気持ちで、あやねを訪ねてきた倉根は事件そのものが分からなくなってきていた。
というか、おそらく、いや、間違いなく、あやねさん以外にこの事件は解決出来ないと思う。
たとへ真犯人が別にいるとしても、その真犯人に繋がる痕跡が何一つ無いうえに
犯人にされてしまっている男の状況証拠は有り余るほどにあり過ぎるわけなのだから
どう考えても、この事件の結末はもうすでに決まってしまっているのではないだろうか?
いったい、あやねさんはどう考えているのだろう?
今、捕まってる男が犯人でいいんじゃない?なんて言ってるけど、それって本心なんだろうか?
と、あやねの顔色にさりげなく視線を向けようとした倉根の座っている右側少し後方で鉢植えが転がるような音がした。
倉根が音のした方を見ると窓際にある細長いテーブルの上に飾ってある鉢植えが倒れたらしい。
「どうして鉢植えが?」・・・倉根がそう思った瞬間、鉢植えの下に敷いていた皿があやねに向かってものすごい勢いで飛んできた。
それに、もし、その迷路を消すことが出来たとしたら新しい証拠か何かが出てくるのだろうか?
「あの、あやねさん?」
「ん?」
「あの、もし、その迷路を消すことが出来たら、何か出てくるんでしょうか?」
「何かって?」
「うんとですね、今、捕まってる男の無実を証明出来る何かとか、もしくは、真犯人に繋がる何かの証拠とかって出てくるんでしょうか?」
「出てこないと思うわよ」
「はい?」
「だから言ってるでしょ?初めから存在しないトリックだって!」
「いや、あの・・・初めから存在しないって、それって、初めから何も無いって事になるんじゃないんですか?」
「そうだよ!だから、そう言ってるじゃない」
「でも、それじゃ、もし、迷路を消せたとしても何も変わらないって事になるんじゃないんですか?」
「あのね?今回のこの事件ってね、見方によってはとっても単純な事件なのよ?」
「いえ、とっても不可解でややこしい事件のような気がするのですが・・・」
「それは、あんたたち警察が訳の分からない謎解きごっこでごにょごにょしちゃったからでしょ?」
「そうは言われましても・・・」
「でもね~、これだけの状況証拠がそろっちゃうとさ、警察としても自分たちの捜査が間違っていたって認めないでしょうしね」
「ええ、それは言えるんですよね。捕まってる男の無罪を証明出来る何かが出てくればいいんでしょうけど、その望みは薄いような感じですし。そもそも、真犯人に繋がる痕跡すら何も無いのが現状ですから」
それほど、というか、難しく、というか。あまり深く考えないで、というか・・・
いつもの壁に当たって前に進めなくなってしまってどうしよう?
みたいな気持ちで、あやねを訪ねてきた倉根は事件そのものが分からなくなってきていた。
というか、おそらく、いや、間違いなく、あやねさん以外にこの事件は解決出来ないと思う。
たとへ真犯人が別にいるとしても、その真犯人に繋がる痕跡が何一つ無いうえに
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と、あやねの顔色にさりげなく視線を向けようとした倉根の座っている右側少し後方で鉢植えが転がるような音がした。
倉根が音のした方を見ると窓際にある細長いテーブルの上に飾ってある鉢植えが倒れたらしい。
「どうして鉢植えが?」・・・倉根がそう思った瞬間、鉢植えの下に敷いていた皿があやねに向かってものすごい勢いで飛んできた。
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