88 / 119
消えていくトリック
消えていくトリック・・・その8
しおりを挟む
あやねさんは、迷路を消しちゃえばって言うけど、どうやって迷路を消すんだろう?
それに、もし、その迷路を消すことが出来たとしたら新しい証拠か何かが出てくるのだろうか?
「あの、あやねさん?」
「ん?」
「あの、もし、その迷路を消すことが出来たら、何か出てくるんでしょうか?」
「何かって?」
「うんとですね、今、捕まってる男の無実を証明出来る何かとか、もしくは、真犯人に繋がる何かの証拠とかって出てくるんでしょうか?」
「出てこないと思うわよ」
「はい?」
「だから言ってるでしょ?初めから存在しないトリックだって!」
「いや、あの・・・初めから存在しないって、それって、初めから何も無いって事になるんじゃないんですか?」
「そうだよ!だから、そう言ってるじゃない」
「でも、それじゃ、もし、迷路を消せたとしても何も変わらないって事になるんじゃないんですか?」
「あのね?今回のこの事件ってね、見方によってはとっても単純な事件なのよ?」
「いえ、とっても不可解でややこしい事件のような気がするのですが・・・」
「それは、あんたたち警察が訳の分からない謎解きごっこでごにょごにょしちゃったからでしょ?」
「そうは言われましても・・・」
「でもね~、これだけの状況証拠がそろっちゃうとさ、警察としても自分たちの捜査が間違っていたって認めないでしょうしね」
「ええ、それは言えるんですよね。捕まってる男の無罪を証明出来る何かが出てくればいいんでしょうけど、その望みは薄いような感じですし。そもそも、真犯人に繋がる痕跡すら何も無いのが現状ですから」
それほど、というか、難しく、というか。あまり深く考えないで、というか・・・
いつもの壁に当たって前に進めなくなってしまってどうしよう?
みたいな気持ちで、あやねを訪ねてきた倉根は事件そのものが分からなくなってきていた。
というか、おそらく、いや、間違いなく、あやねさん以外にこの事件は解決出来ないと思う。
たとへ真犯人が別にいるとしても、その真犯人に繋がる痕跡が何一つ無いうえに
犯人にされてしまっている男の状況証拠は有り余るほどにあり過ぎるわけなのだから
どう考えても、この事件の結末はもうすでに決まってしまっているのではないだろうか?
いったい、あやねさんはどう考えているのだろう?
今、捕まってる男が犯人でいいんじゃない?なんて言ってるけど、それって本心なんだろうか?
と、あやねの顔色にさりげなく視線を向けようとした倉根の座っている右側少し後方で鉢植えが転がるような音がした。
倉根が音のした方を見ると窓際にある細長いテーブルの上に飾ってある鉢植えが倒れたらしい。
「どうして鉢植えが?」・・・倉根がそう思った瞬間、鉢植えの下に敷いていた皿があやねに向かってものすごい勢いで飛んできた。
それに、もし、その迷路を消すことが出来たとしたら新しい証拠か何かが出てくるのだろうか?
「あの、あやねさん?」
「ん?」
「あの、もし、その迷路を消すことが出来たら、何か出てくるんでしょうか?」
「何かって?」
「うんとですね、今、捕まってる男の無実を証明出来る何かとか、もしくは、真犯人に繋がる何かの証拠とかって出てくるんでしょうか?」
「出てこないと思うわよ」
「はい?」
「だから言ってるでしょ?初めから存在しないトリックだって!」
「いや、あの・・・初めから存在しないって、それって、初めから何も無いって事になるんじゃないんですか?」
「そうだよ!だから、そう言ってるじゃない」
「でも、それじゃ、もし、迷路を消せたとしても何も変わらないって事になるんじゃないんですか?」
「あのね?今回のこの事件ってね、見方によってはとっても単純な事件なのよ?」
「いえ、とっても不可解でややこしい事件のような気がするのですが・・・」
「それは、あんたたち警察が訳の分からない謎解きごっこでごにょごにょしちゃったからでしょ?」
「そうは言われましても・・・」
「でもね~、これだけの状況証拠がそろっちゃうとさ、警察としても自分たちの捜査が間違っていたって認めないでしょうしね」
「ええ、それは言えるんですよね。捕まってる男の無罪を証明出来る何かが出てくればいいんでしょうけど、その望みは薄いような感じですし。そもそも、真犯人に繋がる痕跡すら何も無いのが現状ですから」
それほど、というか、難しく、というか。あまり深く考えないで、というか・・・
いつもの壁に当たって前に進めなくなってしまってどうしよう?
みたいな気持ちで、あやねを訪ねてきた倉根は事件そのものが分からなくなってきていた。
というか、おそらく、いや、間違いなく、あやねさん以外にこの事件は解決出来ないと思う。
たとへ真犯人が別にいるとしても、その真犯人に繋がる痕跡が何一つ無いうえに
犯人にされてしまっている男の状況証拠は有り余るほどにあり過ぎるわけなのだから
どう考えても、この事件の結末はもうすでに決まってしまっているのではないだろうか?
いったい、あやねさんはどう考えているのだろう?
今、捕まってる男が犯人でいいんじゃない?なんて言ってるけど、それって本心なんだろうか?
と、あやねの顔色にさりげなく視線を向けようとした倉根の座っている右側少し後方で鉢植えが転がるような音がした。
倉根が音のした方を見ると窓際にある細長いテーブルの上に飾ってある鉢植えが倒れたらしい。
「どうして鉢植えが?」・・・倉根がそう思った瞬間、鉢植えの下に敷いていた皿があやねに向かってものすごい勢いで飛んできた。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる