ちょっとエッチな心霊探偵 あやね

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消えていくトリック

消えていくトリック・・・その7

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「でも、ですよね?確かに、あやねさんの言うように捕まってる男の無実を証明するのって難しいかもしれませんね」

「うんうん!良い傾向よ!」

「はい?」

「あに?」

「いえ、あの、良い傾向というのは?」

「ああ、それ?あんたもだんだん他人事みたいに思い始めて来てるって事」

「いえ、そんな事はないですよ!というか、そんなわけないじゃないですか?」

「んじゃさ、今、捕まってる男が犯人確定になったとしてさ、それで、あんたは何か困る事でもあるの?」

「えっ?」

「別にあんたが刑務所に入るわけじゃないんだし、あんたの身内や知り合いが刑務所に入るわけでもないでしょ?」

「いえ、あのですね?」

「違うの?」

「いえ、違わないですけど、違わないですけどね!でも、そういう問題じゃないじゃないですか?」

「何、言ってんのよ!ただ、赤の他人が刑務所に入っちゃうってだけの事でしょ?」

「赤の他人って、ちょっと、あやねさん?冤罪ですよ?冤罪になっちゃうんですよ?」

「ん?言い過ぎだった?でも、間違ってないでしょ?その男の人が冤罪で刑務所に入ったからってさ、あんたの毎日の楽しみのビールを取り上げられちゃうわけでもないでしょ?」

「ちょっと言い過ぎですよ!あやねさん!」

「ふんだ!何、良い人ぶってんのよ?んじゃさ、その人が刑務所に入ってる間、あんたもビールを禁酒してみる?ついでに女遊びもスマホゲームもさ!んでもって、車も辞めて徒歩の毎日を送ってみる?刑務所に入っちゃったら、そのどれも出来なくなっちゃうもんね?」

「確かに刑務所に入ればそうですけど。でも、そういう問題じゃなくて、気持ちの問題なんですよ!」

「きゃははっ!な~にが気持ちの問題なのよ?んなもん、3日も経てば、あ~、やっぱり仕事を頑張った日のビールは美味いな~ぷは~って!なるでしょ?」

「いや、3日はちょっと・・・じゃなくて!」

「きゃははっ!」

「まったく、もう!でも、それを否定出来ない自分に幻滅してしまいますけど」

「そんなもんよ!でもさ、勝手に人の心の中を土足で踏み荒らすような真似を、人情論って綺麗な包み紙で誤魔化して蜜の味を堪能してくる輩よりは、よっぽど、あんたの方が正直で良いと思うわよ?」

「はあ・・・そうなのかな?でも、あやねさん?男の無実を証明出来ないって、どうして、そうなっちゃったんでしょうか?」

「だから、最初に言ったでしょ?初めから存在しないトリックだって!」

「でも、それじゃ、いったい、どうしたら・・・」

「トリックを消しちゃえば?」

「はい?」

「ん?なに?」

「いえ、あの・・・だって、初めから存在していないんですよ?どうやって消すんですか?」

「真っ白な紙に迷路を書いていったのは誰?」

「我々警察・・・ですか?」

「だったら、その迷路を消していけばいいんじゃない?」

「いや、あの・・・どうやって消すんですか?」

「消しゴムで!にゃははっ!」

「ちょっと、あやねさん!」

「でも、まあ、あんたたち警察が迷路を消しちゃったら、捕まってる男が犯人じゃなくなってしまうし、んでもって真犯人も分からないってなったら迷宮入りになっっちゃうかもね?」

確かに、捕まっている男の無罪が証明されれば、もちろん釈放になるのだろうし
それで、真犯人の痕跡が見つからなければ、この事件が迷宮入りになってしまうのかもしれない。

でも、この結末って、さっき、あやねさんが言っていた誰も傷つかない終わり方になるのでは?
それって、もしかしたら、あやねさんは本気で真犯人を逃がすつもりなのだろうか?

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