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消えていくトリック
消えていくトリック・・・その4
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「でも、まあ~。この被害者の女性にとって、捕まってる男なんてどうでもいいんでしょうね」
「えっ?」
「あんた、そう思わない?」
「いえ、それよりも、どうしてトラブルになったのかな?の方が気になりますけど」
「別にトラブルなんてないんじゃない?」
「はい?だって、それじゃ、どうして男が不利になるようなことを?という疑問が出てきますよ?」
「どうして?」
「だってですよ?そうじゃなかったら、その捕まってる男を陥れるようなことはしないんじゃないかな?って思うんですけど」
「他には?」
「ええ、ここに関してはもうひとつ疑問があるんですけど」
「ゆすり?」
「ええ、そうなんです。どう考えてもですよ?この場合ってゆすられて不利になるのは被害者の女性の方ではないかと思うんです」
「どうして、そう思うの?」
「だってですよ?この場合、情事っていうか、まあ、それもですし、それから大麻にしても、そんなことが明るみに出たら困るのは被害者の女性の方じゃないかな?って思うんですよ」
「旦那さんのこと?」
「ええ、もし、そんなことがバレたら旦那さんだってただでは済まないんじゃないですか?それにですよ?」
「それに?」
「被害者の女性と旦那さんの仲が悪いとかっていう噂も聞こえてこないし。どちらからというと夫婦の仲は円満だったらしいんですよ」
「それで?」
「ええ、なので、どうして被害者の女性が、わざわざ浮気なんかをしていたのか?とか、どうして大麻まで?ってなるんですよね?」
「それで、あんたたち警察は、その捕まってる男の虚偽だと考えたわけでしょ?」
「ええ、そうなんです。どう考えても夫婦円満の家庭の奥さんがそんな危ない情事に手を出すとは思えないんですよね」
「だから、男の方から、被害者の女性の弱みを何らかの方法で手に入れた?って推理したわけ?」
「ええ、なので、お金を要求していたのも男の方で、大麻にしても自分が買うとバレたらやばいので被害者の女性に買わせていたんじゃないかって?」
「まあ、その方がしっくりくるもんね!」
「でしょ?」
「うん!それで正解だと思うわよ?」
「ですよね!・・・ってか、違うんですってば!」
「何が違うのよ?」
「何がって・・・いいですか?それじゃ、あやねさんが言っていたことが間違ってるってなるじゃないですか?」
「きゃははっ!だからさ~、いったい、あんたは誰のために事件を解決したいわけなの?」
「誰のって、それは、もちろん被害者の女性のために決まってるじゃないですか?」
「それじゃ、犯人も捕まったことだし、これで被害者の女性も浮かばれるってもんじゃない?」
「ええ、確かに・・・。ってか・・・う~ん、確かに・・・かも・・・えっ?」
「やったね!根暗くん!これで、一件落着!」
「倉根ですってば!」
そうなんだろうか?
これで、こんなかたちで事件が解決ということでいいんだろうか?
でも、もしかしたら、あやねさんの言うようにこれでいいのかもしれない・・・へっ?
「いや、違いなす・・・違いなすってば!」
「違い・・・なす?」
「あっ、違った。違いなすじゃなくて違いますの方でした!」
「きゃははっ!」
「いや、そうじゃなくて、これで一件落着!って、やっぱりダメですよ!」
「どうしてダメなのよ?」
「だってですよ?このままでは、捕まってる男が犯人にされちゃいますよ?」
「100%なるかもね!」
「でしょ?それって、どう考えても間違ってると思うんです」
「だから、あんたは誰のために事件を解決したいのよ?」
「いや、だから、それは・・・う~ん・・・この場合、どうしたらいいんでしょう?」
「あんたとあたしのひみちゅ基地!」
「でも、それじゃ事件の真相はいったいどうなるんですか?」
「いいんじゃない?そんなのは気にしなくてもさ」
「そんな事を言ったら、あやねさんの推理が間違っていたってなってしまいますよ?」
「それでいいじゃない?」
「へっ?」
あやねさんは、そう言いながら笑ってるけど、本当にこれでいいんだろうか?
おそらく、あやねさんの推理は間違っていないんだと思う。
それに、あやねさんの言う、誰のための事件解決?
そう問われると答えに困ってしまうのも、正直言って否定出来ないのも事実なのかもしれない。
あやねさんは、どこまでも亡くなった人の想いに寄り添おうとしている。
それにくらべて、僕たち警察はいったい誰のために事件を解決しようとしているのだろうか?
霊の言葉を聞くことが出来るあやねさんと、霊の言葉を聞くことが出来ない我々警察。
我々警察は、殺められた人のために殺めた人に罪を償わせなければいけないという使命感が
どんなに困難な事件でも、諦めずにその事件の解決のために努力を惜しまない。
でも、それじゃ、もし、我々警察が殺められた人の霊と会話が出来たとしたらどうなるのだろう?
もし、殺められた人の霊が、それを望んでいないと知ったなら
いったい、我々警察は、その時、その事件と、どう向き合うのだろうか?
「えっ?」
「あんた、そう思わない?」
「いえ、それよりも、どうしてトラブルになったのかな?の方が気になりますけど」
「別にトラブルなんてないんじゃない?」
「はい?だって、それじゃ、どうして男が不利になるようなことを?という疑問が出てきますよ?」
「どうして?」
「だってですよ?そうじゃなかったら、その捕まってる男を陥れるようなことはしないんじゃないかな?って思うんですけど」
「他には?」
「ええ、ここに関してはもうひとつ疑問があるんですけど」
「ゆすり?」
「ええ、そうなんです。どう考えてもですよ?この場合ってゆすられて不利になるのは被害者の女性の方ではないかと思うんです」
「どうして、そう思うの?」
「だってですよ?この場合、情事っていうか、まあ、それもですし、それから大麻にしても、そんなことが明るみに出たら困るのは被害者の女性の方じゃないかな?って思うんですよ」
「旦那さんのこと?」
「ええ、もし、そんなことがバレたら旦那さんだってただでは済まないんじゃないですか?それにですよ?」
「それに?」
「被害者の女性と旦那さんの仲が悪いとかっていう噂も聞こえてこないし。どちらからというと夫婦の仲は円満だったらしいんですよ」
「それで?」
「ええ、なので、どうして被害者の女性が、わざわざ浮気なんかをしていたのか?とか、どうして大麻まで?ってなるんですよね?」
「それで、あんたたち警察は、その捕まってる男の虚偽だと考えたわけでしょ?」
「ええ、そうなんです。どう考えても夫婦円満の家庭の奥さんがそんな危ない情事に手を出すとは思えないんですよね」
「だから、男の方から、被害者の女性の弱みを何らかの方法で手に入れた?って推理したわけ?」
「ええ、なので、お金を要求していたのも男の方で、大麻にしても自分が買うとバレたらやばいので被害者の女性に買わせていたんじゃないかって?」
「まあ、その方がしっくりくるもんね!」
「でしょ?」
「うん!それで正解だと思うわよ?」
「ですよね!・・・ってか、違うんですってば!」
「何が違うのよ?」
「何がって・・・いいですか?それじゃ、あやねさんが言っていたことが間違ってるってなるじゃないですか?」
「きゃははっ!だからさ~、いったい、あんたは誰のために事件を解決したいわけなの?」
「誰のって、それは、もちろん被害者の女性のために決まってるじゃないですか?」
「それじゃ、犯人も捕まったことだし、これで被害者の女性も浮かばれるってもんじゃない?」
「ええ、確かに・・・。ってか・・・う~ん、確かに・・・かも・・・えっ?」
「やったね!根暗くん!これで、一件落着!」
「倉根ですってば!」
そうなんだろうか?
これで、こんなかたちで事件が解決ということでいいんだろうか?
でも、もしかしたら、あやねさんの言うようにこれでいいのかもしれない・・・へっ?
「いや、違いなす・・・違いなすってば!」
「違い・・・なす?」
「あっ、違った。違いなすじゃなくて違いますの方でした!」
「きゃははっ!」
「いや、そうじゃなくて、これで一件落着!って、やっぱりダメですよ!」
「どうしてダメなのよ?」
「だってですよ?このままでは、捕まってる男が犯人にされちゃいますよ?」
「100%なるかもね!」
「でしょ?それって、どう考えても間違ってると思うんです」
「だから、あんたは誰のために事件を解決したいのよ?」
「いや、だから、それは・・・う~ん・・・この場合、どうしたらいいんでしょう?」
「あんたとあたしのひみちゅ基地!」
「でも、それじゃ事件の真相はいったいどうなるんですか?」
「いいんじゃない?そんなのは気にしなくてもさ」
「そんな事を言ったら、あやねさんの推理が間違っていたってなってしまいますよ?」
「それでいいじゃない?」
「へっ?」
あやねさんは、そう言いながら笑ってるけど、本当にこれでいいんだろうか?
おそらく、あやねさんの推理は間違っていないんだと思う。
それに、あやねさんの言う、誰のための事件解決?
そう問われると答えに困ってしまうのも、正直言って否定出来ないのも事実なのかもしれない。
あやねさんは、どこまでも亡くなった人の想いに寄り添おうとしている。
それにくらべて、僕たち警察はいったい誰のために事件を解決しようとしているのだろうか?
霊の言葉を聞くことが出来るあやねさんと、霊の言葉を聞くことが出来ない我々警察。
我々警察は、殺められた人のために殺めた人に罪を償わせなければいけないという使命感が
どんなに困難な事件でも、諦めずにその事件の解決のために努力を惜しまない。
でも、それじゃ、もし、我々警察が殺められた人の霊と会話が出来たとしたらどうなるのだろう?
もし、殺められた人の霊が、それを望んでいないと知ったなら
いったい、我々警察は、その時、その事件と、どう向き合うのだろうか?
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