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SMと快楽と事件

SMと快楽と事件・・・その12

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「殺された人たちはみんな死に損なの。どんなに飾り立てた言葉を並べてもね、その事実は変えられないの」

「でも、それは・・・」

「殺された人はそんな事を望んでいない。よく聞くワンフレーズよね?殺された人に訊いてもいないのに、そんな嘘を平然と言わせてしまうのが法律なのよ」

「はあ・・・。普通の人ならいざ知らず、霊能力者であり幽霊と話が出来てしまうあやねさんにそれを言われてしまうと返す言葉が見つからないです」

「でもね、そうでなければ、そこに暮らす人々を守れないの」

「えっ・・・?」

「法律ってね、冷酷でなければ誰も守れないの」

「えっ?だって、あの・・・さっき・・・」

「そして、その冷酷であるべき法律を歪ませてしまうのが人間なのよ」

「歪ませてしまうのが人間?」

「全ての人の命は平等であるはずの法に手を加えてしまうのが人間。人の命の優劣をね」

「人の命の優劣はちょっと言い過ぎでは?」

「奪われた命と奪った命を天秤に乗せる裁判がその答えを示しているじゃない?」

「でも、それは・・・」

「ああ、あのね、あたしが言ってるのは、非情にして無情無慈悲に人の命を奪った場合に限っての話よ。いわゆる、恨みつらみがない殺人、無差別殺人、そして、幼い命を奪う殺人。その方が分かりやすいでしょ?」

倉根は、別に何かの反論をしたかったわけではない。
いや、むしろ、その逆だったのかもしれない。

無慈悲に奪われた命と無慈悲に奪った命、その命を天秤に乗せて釣り合うわけなどない。
だが、あやねは、どちらの命も同じであるのだから、その両方の命は釣り合うのだという。
そして、それが憲法であり法律であり決め事なのだと・・・。

人の命はみな平等なのだと唱えておきながら、その命の平等が守られていないのが、
何よりも人の命の平等を守るべき場所であるべき裁判所なのだとあやねは言う。

「簡単な話ね、金と気分と舌先三寸で人の命を弄んでいるのが、人が人を裁くという権力に憑りつかれた者たちが求めている正義というわけ。分かる?」

「いや、そこまで言い切るのはちょっと厳しいような・・・」

「何言ってんのよ?さっき言ったでしょ?法律は冷酷でなければならないって?」

「ええ、何となくその意味は理解出来始めてきたのですが・・・」

「法律は半分なのよ?半分?分かってるの?」

「はい・・・?」

「あははっ!・・・ってか、まったく分かってないんじゃないのよ?」

「いや~はははっ・・・えっ?」

「まったく、もう~。まあ、いいわ。いきなり理解しろって言うのも無理があるもんね?」

「何とも面目ない次第で・・・」

「あははっ!で、死者の声を聞く?それとも、無視する?」

いや、そうハッキリと訊かれましても・・・
この場合、僕の立場としては答えは決まっているのではないだろうか?
と、言いますか・・・。それを知っていながら、あえてそれを訊いてくるの?

いや・・・問題はそこじゃない・・・。
真面目な話をしているはずなのに、あまりに短いショートパンツから覗く
いやいや、覗くではなく、限界まで丸見えになっているあやねさんの可愛い太ももが
テーブルを挟んで艶めかしく僕の瞳の中に飛び込んで来ている方が一番の問題のような気がするのですが・・・。はい。
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