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さりげなく恥辱まみれ

さりげなく恥辱まみれ・・・その18

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それを愛欲と言う・・・
愛欲って、私が思っていた愛欲とは少し違うような・・・。

「あの・・愛欲って・・・」

「にゃは!美奈子さんが思っていた愛欲とはちょっと違う?」

「ええ・・・少し違うかなって?」

「それは、立ち位置の違いじゃないかな?」

「立ち位置の違い・・・ですか?」

「言い方を変えてみるとね、媚びるか?媚びないか?」

「う~ん・・・」

「さっき言った言葉。美奈子さんは親兄弟を知り合いか友達のように見えてしまう」

「それと、どう関係しているでしょうか?」

「愛欲、読んで字の如く、愛を欲するですよね。相手の愛を欲するのか?それとも、自分の愛を欲するのか?その違いかな?」

「相手の愛か、自分の愛か・・・ですか?」

「うん、そう。美奈子さん場合は、自分の愛を欲するための愛欲になると思うですよ」

「えっ?それって、自己中心な性格ってことなのでしょうか?」

「違う!違う!全然、違うですよ!」

「へっ・・・?」

「自己中なのは、相手の愛を欲する方なんですよ」

「えっ?それって逆ではないかと思うのですか・・・」

「誰のために相手の愛を欲するのかな?」

「それは、自分のため・・・。あっ、なるほど!」

「そう、自分が満足するために相手の愛を自分だけのために奪おうとする行為になるんですよね」

「確かに、言われてみればそうですよね?それって、自分が欲しいだけなんですよね?」

「そなのです!」

「でも、それじゃ自分の愛を欲するというのは、どうなるんでしょう?」

「誰かのために、その愛欲を自分が手に入れようとする行為かな?」

「はい・・・?」

「例えが大きくカーブしちゃうけど、これと同じ意味になるんじゃないかな?例えばね、宝くじで考えてみると分かりやすいと思うんです」

「宝くじで・・・?」

「うん。10人が同じ考えを持ってるとしますね。その10人ともね、もし、一等賞が当たったらね、今、困ってる被災地にね、全額、寄付するんだってお互いに言い合っていたとしますよね?」

「お互いに・・・あっ!なるほど!そういう意味だったんですね!」

「にゃは!美奈子さんって、やっぱり、頭の回転が早いんだ!」

「ふふっ・・・。でも、例えがすごいですね?」

「にゃにゃ!たとへ10人が10人とも、それを約束していたとしても、本当に宝くじで一等賞が当たっちゃったら、人の事だから、どうなるか分かったもんじゃない!」

「でも、その中で確実に一人だけは、その約束を守る人がいる。それが、自分なんですね!」

「自分のために欲する。その意思が明確であればあるほど、そこにある偽りが薄れていくんです」

「分かるような気がします」

「でも、その行為は、自分だけしか信じられない・・・ではなくて、誰かを信じたい想いから生まれてくる自分勝手な願いになるんですよね」

「それを被災地で考えると、被災地の人たちは必ず復興を成し遂げるはず。それを信じようとする想いが、宝くじの一等賞を自分が・・・に、繋がっていく。だって、自分だけは、必ず約束を守るって信じ切れるわけなのだから」

「まま、そうとうカーブしちゃってる例えになっちゃいましたけどね」

「確かに・・・」

「でも、あたしの言いたい事って分かるでしょ?」

「ええ・・・分かります。というか、理解出来ました」

「自分のための愛欲って、こういう想いっていうか、考え方っていうか、それが起点であり中心にあるんですよね」

「この命に代えても必ず君を守ってみせるって、でも、その命を失ったら君を守れなくなってしまう。だから、僕は絶対に死なない。戦場などで生まれてくる事実と真実の光と影と同じなんですね」

「あっ!」

「へっ?私、何か変な事を言いました?」

「ううん・・・。その例えを、まさか、美奈子さんから聞くとは思わなかったんだわ!」

「へっ・・・?」

「これは、真面目に驚きの五段活用かも?」

「はい?はい?はい?」

と、あやねの言葉に、変な返事をしてしまう美奈子ではあるが・・・。
それよりも、これから数日後には、恥辱まみれが待っているかもしれないというのに
あやねとの真面目な会話が普通に通り過ぎていく不思議に自然と笑みが生まれてくる美奈子である。

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